ニコちゃんとフリッツ
「…それで、出ていったんですか?」
「うん、だからそのうちそっちに到着するかもしれない。その時はまあ、君に対応は任せる。嫌なら突き放してくれても構わないから。」
「…自殺をはかるって…やっぱりヴィルそっくりだ。いや、ヴィルよりヤバイな。」
「何その話」
「いえ…ヴィルはそうやって自分の死を引き換えに、かつてリネアに婚約を迫ったらしいんです。その話を聞いた時、正気の沙汰じゃないと思ったんですが、まさかミハイルが…。」
「僕も冗談だと思ったんだけど本気だったんだよ。やっぱり僕の育て方が悪かったんだよね。あ、それで僕はもう皇女の件は諦める事にしたから、また君に話がいったらごめんねって言うのが電話の要件。」
「それ本音じゃないですよね?…ミハイルが到着したら連絡しますよ。ちゃんと受け入れます。本心は嫌だけど。」
「…フリードリヒ、ありがとう。」
「あなたも少し強引すぎたんじゃないですか?私があなたならミハイルをリネアと婚約させたと思いますよ。それで彼がしっかり働いてくれたら十分だったのに。」
「だってまさか死ぬなんて発想ある?一人の女性の為にだよ?僕には理解できない。」
「まあ私にもできませんが、でもあなたが病気の時、あの二人があなたの為にどれだけ頑張ったか知っていて、それを考慮してあげないのは冷たいと思います。ミハイルが怒るのも尤もかと。」
「…痛いところをつかれたな。僕は国を繁栄させることがすべてにおいて優先事項だから…。君がライヒ王国を選択しなかったのも少し意外だったし。リネアより価値があるよね?」
「ないと思いますよ。政治的にはあっても、私の人生にとっては価値がない。私の人生は一度きりですから、私は私のやり方で国を繁栄させる。私が幸せじゃなかったら意味がないんです。」
「…やっぱり僕は君が好きだな。君やリネアと話していると楽しいし、ポジティブになれる。」
「ニコライ大統領、私はリネアを譲る気はありません。私にとって彼女の代わりはいないし、彼女といる自分も好きなんです。ミハイルもまったく同じ気持ちのはずです。」
「そのようだね。」
「まあこの三年間が勝負だと思ってお互い頑張りますからみていてください。」
「うん。」
「ライヒ王国の件はよかったら共同で資金援助や財政建て直しを行うよう提案しますか?別にあの国も身売りしたい訳ではなく苦肉の策だった訳ですから…。」
「…君は…。」
「そちらの担当にはリネアをつけてください。彼女の政治手腕をみてみたい。ビジネスにおいてはすでに一目置いています。」
「分かった。どんどん彼女のタスクを増やしていくところがうまいね?」
「なんの話か分かりかねます。…それでは、失礼します。報告ありがとうございます。」
「うん、よろしく…色々と。あ、ミハイルの件はリネアには内密に。」
「承知しました。こちらこそ、よろしくお願いします。」




