ミハイルの覚悟
長い時間をかけて、ようやくリネアと両思いになり、ようやくこれから、という時に、身内から邪魔をされるとは。
しかも、つい最近までリネアとの婚約を推奨していた人物から…。
こんな事になるならスモーランドから帰国しなければよかった。しかもフリッツまで父と結託してリネアと婚約同然の契約を交わす行動にでるなんて…。
目の前が、真っ暗になった。
唯一望んだものが手に入った途端、別の人のものになろうとしている。
リネアがいない人生なら
もう、終わりにしよう。
「父上、もしあなたが私からリネアを奪い、無理やりライヒ王国の皇女と婚約させるというのなら私にも考えがあります。」
「どんな?」
「…死んであげますよ。あなたの前で。」
「…くだらない冗談だ。」
「もしくはあなたを殺してもいい。」
私は銃を出した。
「…ミハイル。」
瞬間的に父上も銃を出す。
「言いませんでしたか?私はリネアにしか関心がないって。リネアを失って手に入れるものが王位だとか大統領の地位だとしたら、私はそんなものはいらないからさっさと捨てます。私はリネアと一緒にいれるならあなたの跡を継ぐことを受け入れる。だけどそうじゃないなら、あなたが私を諦めるか私があなたを諦めるか、それしか選択肢はありません。」
「君は…。すごいね。僕には真似できないな。」
「私はあなたの跡をつぐことをフリッツと違って望んでいない。」
「じゃあ、リネアの命を守るためなら?」
「…脅しですか?」
「君が僕を脅すなら僕も君を脅す。」
「卑怯すぎる。」
「お互い様だよ。」
「あなたが死んでいたらリネアと一緒にいれたのに。」
「ミハイル。」
父上の顔がひきつった。
私は、持っていた銃をこめかみにあてた。
「恨みますよ、父上。」
「…っ!!」
私が引き金を引こうとしたその瞬間、
父が自分の銃で私の持っていた銃を撃った。
「…ミハイル…。君には驚いたよ。まさか本当に、リネアが死ぬほど好きだなんて…。」
父が膝をついて動けなくなった。
「分かってもらえました?リネアを失うなら私も失うって。」
「…皇女の件は諦めよう。君に死なれたら意味がない。ただ、フリッツと私は契約をした。リネアが三年以内に私との契約を守れなかったら彼と結婚させると。彼女は表向きフリッツの婚約者になったんだ。」
「…また元の状態に戻っただけですよね?」
「…まあ。」
「では私を彼女の元へ行かさせてください。私はしばらくあなたの顔を見たくない。」
「君は自分の立場が分からないのか?いつまで女一人を追いかけて生きるつもり?」
「別に嫌なら親子の縁を切ってくださっても構いませんよ?どうせさっき切れる所だったんですから。」
「…ただの一般人が大統領の娘と結婚できるとでも?」
「養子を解消してもらえば済むことだ。」
「リネアがそんな駆け落ちみたいな事を望むと思う?彼女は元々公爵の子どもで世間知らずだ。お金にも困った事がないし、彼女のやりたい事はお金がなかったらできないことばかりだ。」
「私だって困らない程度に自分で生活していけるだけの資金はあります。飛行機には乗れませんが。」
「じゃあ好きにしてみなよ。三年間、僕は君に一切の援助をしない。その代わり君は好きにしたらいい。ただし、三年後、リネアが契約を守れなかったら君は私の跡をついでもらう。それでいい?」
「いいでしょう。」
「僕の所有する飛行機や通信機器の一切を今から使わせない。勝手に出ていってフレーデル王国でフリードリヒに留学でも頼み込んでみたら?彼が許可を出してくれるかは知らないけど。」
「分かりました。では失礼します。」
マルクトとレナートを置いていく事は可愛そうだと思ったが私はやらなければならない事がある。
それをやり遂げてリネアを私の妻にする。




