カジノ建設に向けて
カジノ建設の話は、建物建設の為の資源の調達から、デザイン、中に入れる機材、働く人材、また周辺環境の整備と、工事行程、多岐にわたりとても1日で終わるようなものではなかった。
今回は基本的な計画の流れを確認する事にとどまったがリスラ共和国から来た建設、運営に関わるチームとフリッツ、父、リネアを中心に話が進められ、正直私は聞いているだけだった。
リネアはイーチェンのところで間近でビジネスをみてきたせいか色々な意見を述べ、父もフリッツも満足そうにしていた。
彼女はこういうのが本当にあっているのだと思う。ビジネスの話をしている時の彼女は本当にいきいきしているし、父もそんな彼女を買っているのが分かる。
フリッツも楽しそうだ。この3人はある意味似ていて基本的に自己中心的であまり人を気にしない。それでいて好奇心旺盛で人を楽しませるのが好きな人たちだ。この人達は説明不要な共通の感覚を持っている。
私はそこには入れないし、正直入りたいとも思えない。
リネアは兄上が好きだと言ったけど、やっぱり彼女はフリッツがあっているのだと思う。
もちろん兄上を応援したいとは思うけど…。
フリッツがいつの間にか酒を持ってきて宴会が始まった。リネアももうすぐ17になると言い張って酒を飲み始めた。
そのうちに国王が来て、フリッツの姉が来てめちゃくちゃ騒がしくなった。
久しぶりに賑やかな夜だった。リネアがいると何故か騒がしくなる。私も久しぶりにお酒を飲んで、リネアがダンスに誘ってきたから一緒に踊った。
そうしたら対抗意識を燃やしてきた父上がリネアとダンスをしたいと言い出した。驚いた事に父上はダンスがめちゃくちゃ旨かった。
フリッツの姉のヴィクトリアもいつのまにか父と踊っているし、何故か私はフリッツと踊る羽目になるし、フリッツの家族は明るく騒がしい人ばかりだった。
「リネア…。」
「ん?」
「君はどこででも楽しめるって確信したよ。」
「…そういえば、イーチェンは今どこにいるの?」
「イーチェンはシアナ共和国にいるよ。」
「エンゲル王国に帰ってこないの?」
「さあ…。リネアが帰ってくるなら来るかもね。」
「…イーチェン自体は嫌いじゃないんだけどさ、なんか二重人格なんだよ。」
「何それ?」
「一番ヤバかったときは、手錠をかけられて頬を叩かれ馬乗りになってきた。」
「何それ?!」
後ろで聞いていた父上も会話にまじってきた。
「…やばくない?その性癖。」
「いや、性癖かしらないけど、怖いからあれは絶対結婚したくないし、させないで欲しい。」
「…そこまでヤバイとは…。イーチェンはもう仕事以外関わるのはやめよう。」
「うん、友人としてはいいんだけどね。ちょっとキレるとやばいから。」
「…まさかイーチェンがそんな感じだったなんて。」
なんか、物凄いショックだ。
「セルは一番仲が良かったからショックだよね?」
「…うん。」
「でもいつもはセルの知っているイーチェンなんだよ。どちらにしてもチャーリーズはイーチェンがいないと継続が難しいし、一度どこかで会うつもり。」
「…よくそんな気になるね。」
「まあ、シアナ共和国での生活は楽しかったし。」
「リネア、次にイーチェンと会うときはフリッツかセルゲイを同行させるように。」
「…ユーラは?」
「ミハイルは駄目。しばらく君に会わせない。不定行為があっても困るし。」
「…もう、ニコちゃんとは口をきかない。」
「へぇ?そんな事していいと思ってるの?君の将来は僕が握っているのに?」
「本当に卑怯だよね!」
「何が悪い?」
「悪い。最低。嫌い!」
「うわっ!言って良いことと悪いことがあるよね?僕だって今のは許せない!」
「うるさい!」
「セルゲイ…。あの二人はいつもあんな感じなのか?」
フリッツが私の横に来て座った。
「まぁ概ねあんな感じだね。」
「やっぱりニコライ大統領が一番のライバルなんじゃないか?」
「何の?」
「リネアの夫のポジション」
「は?」
「え?お前、知らない?」
「…知りたくない。」




