フリッツと僕 2
フリッツと久しぶりに城の庭を散歩した。エリザベスも一緒だ。
「…怒っているか?」
「…怒ってない。寧ろ私がいけないんだよ。フリッツを裏切ったのは私だから。」
「なぜミハイルを選んだ?」
「…それ聞く?」
「なんとなく、理由は分かってるけど。」
「…私はさ、めちゃくちゃ自分勝手だし我が儘だから。だから、それに付き合ってくれるユーラがいいと思ったんだ。何があってもユーラは私を最初に選んでくれるから。」
「…子どもの我が儘だな。」
「うん。ニコちゃんにもそう叱られた。ユーラはちゃんとした立場の人だから振り回してはいけないし、私も立場を弁えろって。」
「…で?」
「しょげた。」
「リネア。」
「ん?」
「お前はさ、俺があってると思う。俺はミハイルみたいにお前に何かあってもすぐ駆けつけてやれないし、優先してやれないけど、お前の馬鹿な所も勝手な所もちゃんと分かってるし、振り回されたりしないから。だからお前は好きに生きれる。」
「…。フリッツ、私がユーラを好きなままでも平気なの?」
「平気じゃないが、俺は別に遠慮したり我慢したりしない。俺とお前は婚約したも同然だし、ミハイルみたいにストイックじゃないからキスしたかったらするし、それ以上もする。」
「強引だよね。」
「いちいち遠慮していたら欲しいものは手に入らないだろ?俺は負けるより卑怯な方がいい。」
「…なんか変わった?私の知らない人みたい。」
「変わるよ。お前が変わったように俺も変わる。それは当たり前だし、悪いことじゃない。」
「そうだね。」
「イーチェンと婚約してみろ。毎日ハラハラするぞ?」
「…それはないって確信してる。」
「とりあえず、学生生活の続きができるのも楽しみだ。」
「フリッツは何を専攻してるの?」
「色々。工学、医学、法学…。」
「相変わらずだね。」
「お前も少し学業に身をいれた方がいいぞ?」
「うん。そうだね。」
「…そんな顔をするな。」
僕は気づいたら涙が溢れていた。ユーラにも会えない。フリッツを傷つけて、婚約者同然になって…。
ユーラ…。クラウディアと婚約しちゃうのかな。
フリッツが僕を抱き締める。
「…フリッツ、ごめんね。」
「謝るな。」
「ごめん。」
「俺はもうお前をはなさないから。」
「エンゲル王国やメルア大陸に行かなきゃいけないんだけど。」
「…なるべく一人で勝手にいかせない方法を考えておく。」
「…好きに生きていいんじゃなかった?」
「俺のテリトリー内でならって意味。」
「…話が違う。」
僕は顔をそらすとフリッツが僕にキスをする。
「…やっと一緒にいられるようになったんだ。どれだけ俺がこの状況を待ち望んでいたと思う?俺はもう同じ過ちはおかさない。お前を自由にさせすぎて俺が嫌な思いをするなら、俺の手の届く範囲で放し飼いにしておくし、外に出すならもう綱は切らない。」
「…。フリッツはさ、なんで私を選んだの?本当はライヒ王国を選んだ方が国としては正しい選択だったよね?」
「確かにそうだ。だが俺だって人間だ。私情を挟むこともある。俺はお前がいいから、リスラ共和国のお前の地位をを利用してみんなを説得する事にした。」
「…。フリッツでもそういう事あるんだね。」
「言っただろ?お前への執着心はミハイルよりも強いかもしれないって。」
「…言った。」
「嫉妬心もな。」
「…。」
「俺、今回浮気された事は本当は死ぬほど腹が立っているし、正直今すぐお前を部屋に連れていってめちゃくちゃにしてやりたいって思ってる。」
フリッツが僕を睨んだ。
「…。」
「だが、今回お前がここに残るのが決まったから、とりあえずは我慢する。時間はあるからじっくりと分からせてやろう。」
「…怖すぎるよ。」
「誰のせいだと思ってる?」
フリッツが僕の頬をつねった。
「すみません。」
次の日、セルがフレーデル王国に到着した。
「リネア!!」
セルが僕を抱き締めた。
うわ…背も伸びたし、めちゃくちゃハンサムになってる。ユーラとも似てるけどまた違う綺麗さが…。
「久しぶり…元気?」
「うん。元気。リネアは?」
「元気だよ。バレエは?」
「うん、役ももらえるようになった。」
「よかった!!」
「セルゲイ、約束の日は昨日だ。ちゃんと仕事を優先してもらわなくては困る。」
「すみません、店でトラブルがあって、対応していたら遅れました。」
「ふうん。あ、これからは定期的にリネアもそちらにいけるから。」
「そうなんですか。エンゲル王国には戻れないのですか?」
「うん。リネアはフリードリヒの婚約者になったし、カジノ建設の担当としてしばらくこちらに残る事になった。」
「…え?リネア…?」
「…」
「兄上とうまく言ったんじゃ…。」
「セルゲイ、フリードリヒは我が国との結び付きを強くしたいと言ってリネアを望んでいるんだ。君はもう関係ない話だよね。」
「…。フリッツが…。」
セルがフリッツを見たがフリッツは気にしていないようだった。
「さあ、とりあえず計画の話を。時間がもったいないので。」
「そうだね。」




