捜索
「リネアを探して欲しいの。」
「…え、あのおっしゃっている意味がよく理解できません。」
「だから、リネアを探して欲しいと言っているの。」
「あの、何故ですか?」
「理由は言えないわ。ただ見つける必要が出来たの。」
「まだ生きているかどうか…。」
「とにかく探して頂戴。見つけたら報酬は支払うから。ちゃんと連れて帰ってきて。手荒な真似はしないで頂戴。」
「…はぁ。分かりました。」
男との会話はそこで途切れた。
「…どう思った?」
「…'リネア'とさらっと呼んだだろう?以前にも話しにでていたと思う。男も'まだ生きているかどうか'って言った。何か知っているはずだ。とにかく私は彼女の家から出ていく車のあとをつける。」
「俺も行く。」
「イーチェン、君は顔をあちこちで知られているから駄目だ。」
「しかし…!」
「絶対にこの機会を逃すわけにはいかない。君は彼女がまた不審な行動にでないか引き続き監視を頼む。彼女じゃない場合もあるわけだし。」
「分かった…。気をつけろよ。相手はプロの刺客集団だからな。」
「こちらもそれなりのを用意してきたから。…さっそく私はあちらへ向かう。」
「あぁ、その方がいいだろう。」
メイユイの自宅から一台の車が出てきた。
目立たない普通の車だった。
こちらもあとをつけている事がばれないよう一定の距離をとって動いた。
どんどん山道に入っていく。道は狭くすれ違うこともできず、うっかりすると崖に転落するような状況だ。
ヤバい、もしかして罠だったか?
焦らずまずは護衛のみでいかせるべきだっただろうか?
リネアに一刻も早く会いたい気持ちで来てしまったが、作戦ミスだったかもしれない。私とした事が…。
「ミハイル様、車が停車しました。どうしますか?」
「まずは一旦こちらもこの位置にとめよう。」
車を止めた瞬間、物凄い勢いで車がバックしながら走ってきた。
「車を降りて山へ!」
とっさに私たちは車を降り、崖の森へ入っていった。
車のライトでこちらを照らされ、銃を乱射された。
こちらも銃は装備しているが今銃撃戦になるのは避けたかった。
私の目的は彼女を見つける事で使い捨ての刺客を捕まえることではない。なんとか奴らについていきリネアを見つけなければ…。
私たちが見つからない事が分かると彼らは私たちの車を奪って走り去っていった。
私たちは森で朝を迎えた。
食糧は少し持っていたが、こんな山奥ではGPSも使えない。イーチェンに連絡もとれない。
「ミハイル様…、どうしますか?」
「とりあえず、ハイキングに来たとでも思って少し散策してみようか?今、どこにいるか分かる?」
「いえ、ナビがついていない車でしたので詳細は分かりませんが移動距離や経路からいくと国境付近ではないかと。」
アキムという護衛がそう言った。彼はリネアの顔を知っているから今回護衛に来てもらっている。マルクとレナートにも慕われている人物だ。
私たちが山道を歩いていると馬車が通りかかった。
私が声をかける。
馬車には女性と男性3人が乗っていた。
「あの、人を探していたら道に迷ってしまって…。」
私はシアナ語で話しかけると女性が私にリスラ語でこう言った。
「あなた、オスカルの知り合い?」
「オスカル…?」
何故オスカルの名前を?
「私が探しているのは年齢が16歳になるリネアという少女で、私の妹です。3ヶ月程前この辺りで行方不明になったのではないかと思ってずっと探しているのです。何かご存知ありませんか?」
「…多分、知っていると思うわ。ただ…。」
「ただ?」
「会ってもびっくりしないでね。彼女、記憶を失くしているの。自分を11歳だと言っていて、オスカルっていう男の子だと思っているから。」
…なんだって?!
「私たちは街で予定を済ませたら村へ戻るつもりなの。街で馬車を借りましょうか。お金はもっていますか?」
「リスラ共和国のお金は使えますか?」
「ええ、ここはキリム共和国ですからリスラ共和国のお金なら使えるはずです。」
ローラという女性が私たちに馬車を借りてくれた。
山道を5時間ほどかけ馬車で行くと私はリネアがいるという村へ到着した。




