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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
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ユーラと僕の決断

9月の終わり頃ニコちゃんの治療が順調に進んでいるとセルから連絡があった。開発中の薬があっていたようで、癌の進行を抑えられそうだという。とりあえず、一番恐れていた事は回避できそうだ。ただ、まだ定期的な治療と現地での経過観察が必要らしいから年内はこちらに帰れそうもないとの事だった。



国内でもこれ以上容態を隠しておく事はできなくなったから、病名を公表し、経過も伝える事にした。

表向き副大統領が政治を担当するよう発表するが、実際の仕事はニコちゃんが判断し、ユーラが主に処理している。



僕も色々な案件の相談にのったり実務に関わるようになってきた。ずっとやりたかった外交の仕事もたまに参加させてもらえるようになった。女になったからできないと諦めかけていた事を積極的にユーラがやらせてくれた。




ニコちゃんが退院して戻ってきたら僕は自分がどうするか決断しなければならない。

婚約もゲームも破棄されたら、僕は養子である事を除き再び自由になる。


僕はメルア大陸に行って自分を試してみたいと思うと同時に、ここに残ってこのまま仕事を手伝いながらマルクやレナートの世話をする生活も捨てがたいと思えてきた。



ユーラはどうする気なんだろう?

ニコちゃんがもし回復すれば政治体制を変える必要がなくなるかもしれない。

そうだとしたらエンゲル王国かメルア大陸に行く可能性もでてくるのだろうか?

それとも彼は真面目だからやはりここに残ってニコちゃんをサポートすると決めているのだろうか?




マルクとレナートが寝てから僕はその事を聞いてみた。

「…そうだね。今の父の状況からすると王政に変えなくても済むかもしれない。ただ、それを決めるのは私じゃないし…。」


「ユーラはどうしたい?以前大統領になりたいとは思ってないって言ってたけど、今は継ぐつもりになった?」

「…そうだね。遅かれ早かれそうなる予感がするから、もう継ぐつもりでいる。振り回されるのも嫌だし。」


「じゃあ、ニコちゃんがこちらに帰ってきて復帰してもリスラ共和国に留まるんだね。」

「そうだね。私はもうメルア大陸には行けない。」

ユーラが僕の目を見てはっきりそう言った。


「…そう。」


「君は…どうする?」


「私もそろそろ結論をだすつもりだよ。…一週間マルクとレナートの面倒を、シッターさんに頼むことできる?」


「できるけど、どうやって…?」


「エンゲル王国へ行ってニコちゃんと話をして、それからフリッツに会いに行く。」

「リネア…。」


「行かないで…。フリッツの所には今行って欲しくない。」

「…でも私はフリッツと話をする必要がある。」

「嫌だ。」


「ユーラ。自分勝手でごめん。でもフリッツと会って話をしたいんだ。」

「何の…?」

「それを確かめる為に会いに行く。」


「いい予感がしない。君が帰って来ない気がする。」

「…どちらにしてもニコちゃんが帰国するまではここにいるから。」


「リネア…」


ユーラが僕を抱き締めキスをしようと顔を近づけた。僕は無意識にユーラの首に腕を回しキスを受け入れた。言葉にはしなかったけどユーラに僕の気持ちは伝わったと思う。


僕はフリッツが好きなのに、ユーラのことも好きになってしまった。



このままではいけない。

フリッツもユーラも傷つけることになる。

僕自信がはっきりさせなゃいけない…。







エンゲル王国についてすぐ僕はニコちゃんの病室に行った。

ニコちゃんは治療のせいで元々痩せていたのにさらに痩せて、痛々しい。


「…体調は?」

「いいとは言えないけど、お陰で死ぬことは免れたみたいだ。君たちには感謝しかないよ。」

「よかった…。」


僕は気づいたら涙がこぼれていた。


「泣かないで。」

「嬉しいよ、死なずにすんでよかった…。」

僕はニコちゃんを抱き締めた。


「今回は一人で来たんだね。」

「うん、色々はっきりさせて、次に進みたいと思って。」


「ただのお見舞いに来たって訳じゃなさそうだね。」

「…ニコちゃん、私、ユーラを好きになっちゃったんだ。」

「そう。」

「驚かないんだね。」


「まぁ最近の君たちを見ていたらね。物理的にいつも一緒にいるからそうなっても不思議じゃないよね。」

「それでね、フリッツに会ってどうするか結論をだそうと思うんだ。」


「どうやって?」

「別れてユーラとリスラ共和国で一緒にいることにするか、フリッツと一緒にいることを継続するか。」

「そんなの決断できるの?」


「するしかないよ。こんな中途半端な気持ちじゃどちらともいられない。」

「君はモヤモヤを解消してスッキリするかもしれないけど選ばれなかった方にとっては物凄く残酷な話だ。」


「…私が自分勝手なんだよ。」


「フリッツにしてみたらさ、ミハイルが好きになったから別れろと言われる方が酷だよね。君がミハイルを選ぶつもりなら、僕が婚約をさせてしまったと言われた方がプライドも傷つかないはずだよ。ミハイルにしても同じだけど。」


「…一緒にいる人がユーラでは魅かれるなというのが無理だよ。」

「僕に似てハンサムだし優しいしね。面白味には欠けるけど。」


「…ユーラは優しいよ、面白さはフリッツに勝てないけど。」

「…リネアはさ、フリッツを選んでもメルア大陸には行くんだよね?」

「フリッツを選んだらそうするよ。」


「つまり、フレーデル王国には残らないんだよね?どうして?」

「フレーデル王国には私の役割もやりたい事も今はないから。」

「じゃあ結局、フリッツとは離ればなれなんだね、それで平気なんだ。」


「…平気だよ、たまに会えれば。フリッツもそうだと思う。」

「ミハイルは?」


「ユーラは…半年以上ほぼ毎日一緒にいて、常に色々な意味でパートナーをしてきたから正直離れるのは不安だよ。ユーラは保護者で家族で友人で…。」


「…僕に言わせれば君の結論はでてると思うけど、でも会って確かめたいんだね?」

「うん。」


「僕は君と約束したからレースの話しはやめる。だから君はスモーランドやフレーデル王国の貿易できちんと利益を出してくれたら後は何も言わない。ただ…。」

「ただ?」


「セルゲイやイーチェンが何て思うかな。ミハイルを選んだ場合。」


「…そうだなぁ。二人とも話す必要があるよね。」

「そうだね。その方がいいと思う。ただ会う時は三人でね。イーチェンと二人にはならないように。」


「…とにかく行ってくるよ。」



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