新しいスクール生活
帰国すると僕はリスラ共和国のスクールに通いだした。
広大な敷地に建つスクールは今まで通ったどのスクールより大きかった。中央に庭園を配置しそれを囲むようにシンメトリーに各校舎が配置されている。
マルクとレナートも同じ敷地内のプリスクールに通っている。
朝は四人で一緒に食べて僕はマルクとレナートと登校する。たまにユーラも授業を受けにきているようだけど一緒に登校するのはまれだ。
彼をスクールでみかけることもあって、たいてい隣にナターシャさんという女性がいた。以前ユーラと一緒にいた人だ。少しもやっとした気分になったが敢えてユーラには何も言わなかった。
僕はたまたま授業で隣に座った女性と話をするようになった。彼女はクラウディアと言ってフレーデル王国の隣に位置するライヒ王国から留学してきたらしい。
ダークブラウン髪の色でショートヘアーに近いくらい短い。目の色はライトブラウン、活発な人で年は僕より一つ上だった。
「リネアがいてよかったよ。アタシはまだリスラ語が苦手だから。」
「私も数学が苦手だからクラウディアが教えてくれて助かるよ。」
クラウディアはこの国にテクノロジーの勉強をしに来たらしい。
「アタシたちの国は、原点回帰してからすべて昔のようなアナログな暮らしを推進してるでしょ?でもアタシはやっぱり新しい技術はどんどん取り入れていくべきだて思うんだよね。」
「そうだね。電話とか一度使い始めたら本当に便利だと思ったよ。」
「だよね?古いものも大切にしていくべきだけど同時に新しいものも取り入れていくのが正しいんだよ。」
クラウディアは僕が今まで会ったどの女性とも違って話しも合うしとても居心地が良かった。僕がこんなふうに女性といるのは初めてかもしれない。
「リネアはどうしてリスラ共和国へ?」
「うん、あまり詳しくは言えないんだけど、親戚が仕事でこっちに来る事になって、一緒に来たんだ。」
「へえ…。複雑そうだね?言いたくないなら聞かないよ。」
「ありがとう。言えるようになったらまた話すね。」
スクールが終わると僕はマルクとレナートをピックアップして帰宅する。
それから三人で夕食を作って食べる。
僕はいくつかのリスラ料理をつくれるようになってきた。ペリメニは手間はかかるけどこどもたちも好きだから定番になりそうだ。二人もよく手伝いをしてくれる。特にマルクは料理を作るのが好きになったらしい。
ユーラは仕事が忙しいようで夕食を一緒に食べてもすぐに仕事に戻る。僕はユーラの持ち帰った仕事の一部を整理したりする手伝いをする事になった。
「ユーラ、このデータはこのまとめ方で合ってる?」
「あ、これはね…。」
ユーラが僕に計算ソフトの使い方を教えてくれた。
「あ、なるほど。分かった。」
「理解が早くて助かるよ。スクールから帰って疲れているだろうに申し訳ない。」
「全然。その為に残ったんだもん。」
「ありがとう。」
「あ、紅茶でもいれようか?」
「ああ。そう言えば美味しいお菓子を貰ったから食べる?」
「食べる!」
「じゃあこの書類をまとめたら休憩にしようか。」
僕はエンゲル王国から買ってきたユーラのお気に入りの紅茶をいれた。
「…いい香りだね。」
「早く帰りたい?」
「…もう帰れない可能性が高いかな。」
あ、そうだった…。無神経な発言をしてしまった。
「…ニコちゃんきっと治るから。」
僕はユーラの隣に座った。
「そうだといいね。あ、昨日から父上の治療が始まったみたいだね。」
「うん、最新機器をメルア大陸から輸入して、薬はフレーデル王国のとシアナ共和国のを両方使ってみるみたい。」
「…ワガママ言ってセルゲイを困らせてないといいけど。」
「それは無理だろうね。電話で少し話したけどセルもぐったりしてたよ。」
「…気の毒に。」
ユーラはそう言って苦笑いした。
「スクールには慣れた?」
「うん、少しずつね。初めて女性で気の合いそうな人に会えたんだよ。」
「シャーロット様も友人でしょ?」
「シャーロット様は友人だけど私にとっては憧れの人なんだよ。」
「…本当に女性?」
「女性だよ。ユーラじゃあるまいし。ライヒ王国出身で自分の事をアタシって言うんだ。ちょっとユニークだよね。」
「へぇ…。」




