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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
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治療の始まり

9月に入り、ニコちゃんのエンゲル王国への移動が決まった。

僕はスクールが始まったから週末を利用してエンゲル王国へ一緒に向かった。

マルクとレナートもついてきたいというから一緒にきた。


エンゲル王国がニコちゃんの為に用意してくれた病院の滞在先もまたホテルのスイートルームのように豪華なところで部屋が何室もある。

セルは治療の間、病院に滞在してくれる事になった。


マルクとレナートはセルを見ると僕の後ろに隠れた。今ではユーラにすっかり懐いた彼らだけどセルは実の兄なのに苦手のようだ。


「マルク、レナート、お兄さんのセルゲイだよ?挨拶は?」

「…いい。」

「…。」


「セル…二人とあまり話したことない?」

「ないね。別々の家庭教師に育てられたし、関わりも特にない。私が知っているのは父上に叱られ、お仕置きされて泣いている時くらいかな。」


僕はニコちゃんを見た。ニコちゃんが目をそらした。

「…後悔してるよ、君たちにまともな兄弟の交流をさせてこなかったのは僕の責任だ。」


「まあ、これからじっくり交流していけばいいんだよ。」

「そうだね。マルク、レナート、これからは兄弟としてつきあっていこう。」

セルが二人の頭を撫でた。


「兄上…。」

マルクが嬉しそうな顔をして、

レナートは恥ずかしそうにはにかんだ。


「リネア、もうどうせみんなこっちに来たんだし、兄上だけリスラ共和国でよくない?」

「賛成。セルゲイにしては良いことを言ったね。」

ニコちゃんの言い方…。


「セル、ニコちゃん…、ユーラをひとりにするの?」

「だって兄上なら仕事なんかどうにでもなるよ?」

「そうだね。僕もこっちである程度作業してミハイルとやり取りできるしね。」


「…それに店も気になるでしょ?いよいよ二軒目がオープンするし。」

「…そりゃ気になるけど。」


「リネアがこっちにいてくれるならあの高級シアナレストランもエンゲル王国の有名デパートのアフタヌーンティーも定期的に行かせてあげるよ。」

ニコちゃんがとんでもない提案をしてきた。


「…やっぱりこっちにいようかな?」

「僕がミハイルに電話をして聞いてみよう。」


ニコちゃんがユーラに電話をすると数秒で電話を切られた。

「…リネア、今度は君がかけて。」

「えー?」


仕方なく僕が電話をかける。

「ユーラ?…どう?一人でなんとかなる?」

「リネア…。冗談だよね?冗談ならこの忙しい時にそういうの止めてほしい。」

「いや、ユーラが大丈夫そうならそれもありかと…。」


「…食べ物にでもつられた?」

「…。」

「私とヤーパンに一緒に行くんだよね?美味しいもの食べたり美術館にも古い街にも行くんだよね?」

「うっ…。」


僕は電話を切った。


「…帰りマス。」

「シアナ料理以上の餌があったのか。」

「…ユーラがヤーパンに連れていってくれるらしい。」


「兄上は相変わらず卑怯で抜け目がないな。」

「それがミハイルの取り柄だろう?それがなかったらただのつまらない美男子だ。」

「…。」



僕たちがくだらない話をしているとイーチェンがお見舞いに来てくれた。ニコちゃんがイーチェンに挨拶をする。


「イーチェン、今回は色々ありがとう。」

「ロマノ大統領、お礼はいいので早く治してリネアをこちらに戻してください。」


イーチェンは歯に衣着せぬ物言いでニコちゃんにお見舞いの花束を渡した。


「ヒマワリか。リスラ共和国の国花だね。嬉しいよ。」

イーチェンのプレゼントのセンスの良さは相変わらずだ。抜け目がないのは彼も同じかもしれない。


「イーチェン、僕もリネアにこっちにいて欲しいと思ってるんだよ。何か引き留める術はない?」

「リネアが好きなレストランの食べ放題とか?」

「それはさっき言った。」


「…リネア、お前未知の食べ物にでもつられたのか?」

「はい。」


「はー…。店もいよいよ二件目がオープンするし、そろそろ帰ってきてくれると助かるんだが。」

「そしたらなるべく早くユーラのサポートを終えてこっちに戻ってくるよ。」


「無駄だな。ミハイルはお前をこっちに返さない為にタスクを増やすだけだ。」

「イーチェン、君はミハイルの事をよく分かっているね。」

ニコちゃんが楽しそうな顔をする。


「ミハイルは基本すました顔をして物凄く計算高いからな。」

「イーチェンまで…。ユーラは確かに策士だけど、話せばちゃんと分かってくれるよ。」


イーチェンとセルが僕をみてため息をついた。



「リネアー。」

レナートが僕に抱きついた。


「どうした?」

「そろそろリスラ共和国へ帰りたい。」


「どうして?」

「だって帰ったらリネアとお出かけにつれてってくれるから必ずリネアと家に帰るようにって…。」


「誰がそう言ったの?」

「兄上さまだよ。」


「え?」

「兄上さまがリネアと絶対に離れないようにって言ったんだ。みんながリネアを引き留めるかもしれないから気を付けろって。兄上さまの言う通りだったね。」

「…レナート、質問なんだけど、今回エンゲル王国に行きたいって言ったの誰なの?」

「え?僕もマルクも言ってないよ。兄上さまがリネア一人だと心配だからボディーガードに僕たちについていって欲しいって。」



今度はニコちゃんとセルとイーチェンが僕を気の毒そうに見た。

「…リネア、お前はもうミハイルから逃れられないかもしれないな。」

「もしかして僕が病気になったのもミハイルの作戦なのか?」

「父上…その冗談はいくらなんでも…。」



「…リスラ共和国に帰るのが急に不安になってきたよ。ユーラは私を知りすぎてる。」

「僕が早く治すしかないみたいだね。」

「…そうだね。ニコちゃん、早く帰ってきてね。」




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