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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
214/350

病室にて

僕がリスラ共和国へ帰国すると久しぶりにユーラに会った。


「おかえり」

ユーラが僕の頬にキスをした。


「ただいま。」

「みんな元気にしてた?」

「うん。仕事の話も進めてきたよ。」

「そう。お茶でも飲む?」

「うん」




「…ニコちゃんはどう?」

「かなり身体に負担がかかっているみたいだけど、わりと話もできるし、いきなりどうこうっていう事にはならないみたいだよ。」


「…よかった。」

「…君は、どうして他人の私たちにここまでしてくれるんだ?正直そんな義理はないはずだよ?本来君のしている事はセルゲイかアリーナがやればいい事なんだ。」


「…いいんだよ。私は必要としてもらえるならそれに応えたいんだ。」

「…信じられない。父上も本当に感謝していた。本当なら私たちがこれを機に君を父上の養子から外し自由にしてあげるべきなんだけどね…。」


「私を自由にしてくれるの?」

「君はどうしたい?フリッツの所へ行きたい?」

「今この家族を放置して行きたいとは思えないよ。」


「…正直、仕事面からも君がいてくれると非常にありがたい。君は語学も得意だし、交渉もできる。何より人柄が良いからみんなに好かれる。私も慣れない事が多くて色々行き詰まりそうなんだ…。」

「分かってるよ。だから私にできる事があるならやるよ。」


ユーラが手で顔を覆ってソファーに寝転んだ。

「はー…。ヤバい。」

「何が?」


「君をフリッツにかえしてあげなきゃいけないって、そう言わなきゃって思っているのに君に会うと決心が鈍る。」

「返すもかえさないも、私は誰のものでもないし。だからユーラがそんなふうに思う必要はないよ。」


「だから…君のそういう所がさ…。私は君の良心につけこんで婚約までしようとしてるんだよ?」

「…じゃあさ、こうしよう?前回私がみんなの前で言ったこと覚えてる?」

「父上の回復が見込めず私が王位につくことになったら婚約するという話?」

「うん。それでさ、ちゃんとニコちゃんが回復したら、私は養子を破棄して、レースもしないってどう?」


「…いいよ。本当は嫌だけど。ただ、父上には確認しよう。これは君と父との契約だからね。」

「うん。」




僕はユーラと夕方病院に行ってさっきの話をニコちゃんにした。


「…嫌だな。」

「何が。」

「僕は養子の破棄はしたくない。だってあれはスモーランドを救う条件の一つだったんだよ?」


「父上、リネアは本来この状況に無関係なんです。それなのに彼女はこうして私たちを助けてくれている。あなたは感謝をしているならそれをちゃんと態度で示すべきでしょう?」


「嫌だ!僕はリネアに側にいて欲しいし、うちの家族は彼女がいなかったら崩壊するのは分かってるよね?レースはやめたかったらやめればいい。だけど養子は僕が生きている限り破棄はしない。分かった?リネア。」

「…分かった…。」

そこまで言うのなら仕方ないか…。まあ契約は契約だし。


「ミハイル、君がさっさとリネアを恋人にしてしまえば済む話でもあるんだよ。」

「…しかし彼女には…。」


「ニコちゃん、レースはやめてもいいと言いながら結局ユーラ以外を選ばせないってこと?」

「そうだね。僕はこの状況ではそれが一番いいと思ってる。僕は王位についてもしばらくしたらミハイルに譲るつもりだ。その時彼の隣にいて仕事も補佐できて家族とうまくやれるのは君しかいないじゃないか。」


「…ニコちゃんは私を過剰評価しすぎだよ、私は期待に応えられるかなんてわからない。」

「できる。僕は君を信頼している。そして君にどう言えば納得してもらえるかも知ってる。」


「…嫌な予感がするよ。聞きたくないなぁ…。」

「その予感は当たってるよ。」


ニコちゃんが僕の手を握って僕の目を見た。


「リネア、君とミハイルには正直に言おう。僕はもう回復の見込みはない。我が国の現在の医療レベルでは難しいと医者にもはっきり言われた。だからミハイルと婚約してほしい。彼と私の跡をついで国を支えて欲しい。」


「それは…命令?」

「お願いだよ。」





「…さすがニコちゃんだ。」

「だろう?」

「うん…腹がたつくらい私をよく分かっている。」

「…じゃあ婚約のサインしてくれる?」


「父上!」

「…遅かれ早かれ結論は同じ事じゃないか。だとしたらフリッツとの未来を期待させて後でがっかりさせる方がひどくない?」

「父上、…リネアは…。」


「ミハイル、君が望んだ事じゃないか。そして君と僕との利害も一致している。今更何を言っているんだ?」

「…あなたがそうやって今迄他の人の意思を無視してきたから家族がバラバラになってしまったんですよ?彼女は道具じゃない。彼女の好きにさせてあげてください。私は自分が落ち着くまで支えて貰えたら、あとは自由にさせてあげたいと思っています。セルゲイも同じ意見です。」


セルとユーラがそんなふうに思っていてくれたなんて…。


「良い子ぶって後で後悔してもしらないよ?」

「それでも…もう彼女には十分すぎるほど色々与えてもらったんです。だから私はリネアの意思を尊重します。」


「…とミハイルは言っている。僕は養子の件は破棄はしないが、君はどうする?」

「私は前回言った通りだよ。気持ちは変わらない。」


「リネア、フリッツは…!」

「ユーラ、私の最優先項目は恋愛じゃない。フリッツも同じだから分かってくれる。ニコちゃんもそれを分かっているんだよ。」


「リネア…。」


「ニコちゃん。サインをする際、私にも見返りを要求できる?」

「もちろん。何を望む?」


「少し考える時間が欲しい。私の人生を変えるんだからかなりの対価を要求するつもりだよ。」

「分かった。君が何を言い出すのか楽しみだな。」


「ニコちゃんはまずは回復するよう最善を尽くして。私はまだ諦めた訳じゃない。それから数日間飛行機をチャーターできる?」

「好きに使うといい。」

「リネア…?まさか…。」


「うん、フレーデル王国とエンゲル王国へ行ってくるよ。話がまとまったらサインをする。また数日留守にするからマルクとレナートには申し訳ないけど。」

「…私がみているから。少しは時間がとれると思う。」


「じゃあユーラ、…頼んだよ。」


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