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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
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スモーランドへの一時帰国

8月に入ってニコちゃんの治療が始まった。

マルクとレナートを連れて僕は毎日病院を訪れた。まだ彼の病気の事は公にされていない。

子どもたちには、知り合い以外の人に病気の事を他の人に伝えないよう約束をした。


僕はレナートとマルクに勉強を教えているが、この二人もユーラと同じで一度見たこと、聞いたことは大概忘れないという特技を持っている為教えた事はすぐに覚えてしまい、あっという間に課題をこなしていった。


ユーラはかなり忙しいようで最近はほとんど顔を合わせていない。選挙も今年中に行うと決めたようで反体制派が力をつけないよう押さえたり、選挙の準備も進めているようだ。


セルとは定期的に連絡をとっていて次の店も開店に向け順調に準備が進められていると教えてくれた。

それからバレエでは次の公演で舞台に立てるという事も決まって嬉しそうな声が聞こえてきた。


僕はヴィルからスモーランドとの取引について一度会って直接話がしたいと要請を受けたため、スクールが始まる前に行く事にした。




◇◇◇


僕の移動は飛行機が当たり前になってきた。物凄く環境に悪いと分かりながら、便利すぎて手放せない。

石油エネルギーに代わる環境に優しいエネルギーを使う飛行機を開発するようなプロジェクトを進めたいと思った。


「久しぶり…でもないかな。」

「まあ、短期間に色々ありすぎて久しぶりな感じがするよ。ヴィルは元気にしてた?」

「まあね。」


ヴィルが僕を抱き締めた。


「…カニエルブッラ、食べる?お茶にしようか?」

「嬉しい。食べたいな。」

故郷と思い出のつまった味…。おいしい。


「はー…、美味しいしほっとする。そういえばずっと気になっていたんだけど、カールはどうなった?」

「…侯爵の爵位は剥奪されたけど、彼自身が国に貢献したこともあって新たに伯爵の地位を得て、スクール卒業後にリスラ共和国やフレーデル王国の貿易担当の役職につく予定だよ。」

「…よかった。」


「君こそ…、大変な事に巻き込まれたね。君がロマノ家の養子にならなければこんな事にならずにすんだのに。…申し訳ない。」

ヴィルが僕に頭を下げた。


「ヴィルのせいじゃないから。僕が自分で決めたんだ。だから謝らないで。」


「君はミハイルの婚約者になるのか?」

「…可能性は高いかな。彼がいきなり政治を引き継いでもきっと心許ないだろうし何かしらのサポートが必要だ。」

「セルゲイがいるだろう?それは君がしなければいけない事じゃない。」


「…そうなんだけど。セルにはセルの人生があるから。」

「君はお人好しすぎる。」

「…まあ、いいんだ。」


「…フリッツの事は?」

「状況次第かな。」


「…複雑な気持ちだよ。」

「僕もだ。…もう、ひとつ食べていい?」

僕はカニエルブッラを指さした。

「…好きにして。君は相変わらずだね。」



「さて、そろそろ本題に入ろうか?取引の話について。」

「そうだね、カールも同席させるよ。」

「うん。」






僕は仕事の話を終えるとアリーナの部屋に呼ばれた。

女性らしい清楚で可愛らしいインテリアだった。

彼女はすぐにお茶を用意してくれた。


「先日はありがとう。」

「こちらこそ、急な呼び出しだったのに来てくれてありがとう。」


「リネア…私あなたに本当に感謝しているの。あなたがいなかったら私たち家族はあんなふうに集まる事もなくバラバラになっていたと思うわ。あなたがいてくれたからお兄様もお父様の跡を継ぐと言ったし、セルゲイや弟たちもあの場に集まれた。」


「感謝なんかいらないよ。私は何もしていないし。」

「…私は本当に今までお父様が苦手で…、あんなふうに話せるあなたが羨ましいとさえ思えるわ。マルクとレナートの事も…。私はあの子たちの母親にいじめられて嫌な思いをしてきたから、あの子たちに何かしてあげようなんて思えなかった。あの二人に罪はないのにね。本当なら私がやらなくてはいけないことをあなたにやらせてしまって…。」


「アリーナ、ヴィルには君が必要だから、今のままでいいんだよ。私は今自分がしている事もやりたくてやっているから気にしなくていいよ。」

「…あなたは本当に不思議な人だわ。お兄様があなたを好きになったのが分かる。」


「…ユーラも頑張っているよ、何かあったら協力をお願いする事もあると思うけどその時はお願いね。」

「わかったわ。」

「じゃあ、私は実家に行くから…。」


「ありがとう、またね。」

「うん、また。」







次は実家だ…。ようやく、ようやく久しぶりに心から休める気がした。

実家に到着するとすぐ母上と父上が出迎えてくれた。


「元気にしてた?」

「うん、父上達は?」

「ああ、あれから色々裁判や何かで忙しいがなんとか。殿下も積極的に政治に参加してくれるようになったから大分助かってるよ。」

「それは良かった。」


「お前はエンゲル王国にいるのか?」

「今はリスラ共和国にいて、そこから来たんだよ。しばらくそっちにいる事になった。」

「…相変わらずあなたは忙しいのね。」

母上が呆れ気味に言った。


「まあ、何故か忙しく、充実した毎日をすごさせてもらってるよ。」

「…それなら良かったけど、少し痩せたんじゃない?」

「最近少し睡眠不足かも。」

「お肌に悪いわよ。」

そんな肌を気にするような生活はしたことがなかったし…。


「とりあえず今日はここに泊まっていい?」

「もちろんよ。今日だけ?」

「うん。明日には帰らなきゃ。」



「残念だな。」

父上がしょんぼりしている。


「本当、またミハイルさんを連れてゆっくり来てね?」

「母上は面食いだね。」

「だって…。ねえ、あなた?」

「僕は…誰でも嫌だ。」


何なんだこの会話は…。


久しぶりにゆっくり三人で食事をしてリネアとして使っていた部屋で寝ることにした。

寝る前にオスカルの部屋に入ると、亡くなった同時のままにしてあった。僕の好きだった本やおもちゃも遊んでいた時のまま残っている。変な感じだ。


この頃の自分はまさかこんなふうになるなんてまったく想像もつかなかった。


でも僕は色々あるけど今の自分とこの生活に満足している。

オスカルのままなら僕は今どうしていたんだろう?ヴィルとそちらの世界にいっていたのだろうか?


…考えるのはやめよう。

他に考えるべき事はたくさんあるのだから。



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