ランク王国にて 2
何故僕はまた飛行機に載せられたんだ?
しかも、マルクとレナートも一緒って…。
「アキムさん、理由をご存知なんですか?」
「いえ、私は子どもの護衛について行くよう言われたまでです。」
「だって執事さんにまたキャンプに連れていってあげるように言われたから用意をして、ミハイルにもそう伝えたんだよ?意味がわからない。」
「リネアー。街が小さいね。」
レナートが嬉しそうに窓の外を眺める。
「本当だね。飛行機は初めて?」
「うん。出かけることもほとんどなかったから。」
街が見えてきた。どうやら僕たちはランク王国を目指しているらしい。…どういう事だろう?
…だいたい飛行機を使ってってのが…。
「やっ、久しぶり!」
飛行機を降り、馬車に乗ると何故か大人版ユーラがすでに乗っていた。
「…ニコちゃん…。」
マルクとレナートが瞬間的に僕の席側に座る。
「へえ?さすが…。もうリネアに懐いたんだね。どんな魔法を使ったのかな。」
「魔法じゃないよ。時間と気持ちだよ。ニコちゃん…。ユーラが今どんな思いでニコちゃんの代わりをしているか分かってやってる?いい加減にしなよ。」
「…お手並み拝見だよ。いつかはこういう日が来る。」
「だとしても、ついていい嘘と悪い嘘がある。彼は本当に心配してるんだよ。早く本当の事を伝えて。」
ニコちゃんが僕を隣に座らせ耳打ちをした。
「…リネア…。ここだけの話僕が病気なのは本当なんだ。病名は違うけど。今回はどうしてもここにこなければならなかった。だから君たちが来るタイミングを利用させてもらったんだよ。僕には時間がもうあまりないかもしれない。」
何なんだそれは…。
「…だとしても、そうならそうだと言って欲しかった。どちらにしたって協力はするから。」
「…そっか。ごめん。」
「私でさえ心配したんだよ?ユーラなんか…。」
感情が高ぶって涙が溢れてきた。
「ごめんね。僕には心配してくれる家族がいたんだね…。」
「馬鹿…。」
ニコちゃんが僕の頭を撫でた。
「マルク、レナート、リネアとは、仲良くなったのかな?」
「うん。…父上、どうしてここにいるの?」
「君たち二人と旅行がしたくて。」
「…リネアも一緒に行ける?」
「僕リネアと一緒にいたいんだ。レナートもだよ。」
「…大夫懐かれたみたいだね。」
「…とりあえず、目的地についたらユーラに連絡とってくれる?通信手段はあるよね?」
「もちろん。とりあえず僕の所有する別荘に行こう。」
ランク王国の王都から少し離れた閑静な場所に大きな邸宅が現れた。これが別荘…?
昔の貴族のお城だろうか?
「昔の王族が離宮にしていた建物だよ。部屋を案内しよう。」
マルクとレナートを部屋に案内するとリビングに僕はニコちゃんと二人にしてもらった。
子ども達はアキムさんが遊んでくれる事になった。
「…どういうつもり?」
「…エンゲル王国から帰国してすぐ体調が悪くなって病院へ行ったんだ。」
「…何だったの?」
「胃に癌が見つかった。」
「…。」
「幸い初期だったからそれはすぐに切除できたたんだけど、再検査したら他にも転移が見つかって…。」
「悪いの?」
「まだ何とも言えない。これから精密検査を受けるから。」
「…何でそんな時にこんな所へ?」
「…もし僕に何かあった時の為にマルクとレナートを世話してくれるべき人を迎えに行こうと思ったんだ。」
「…奥さん?」
「うん…。でも駄目だった。」
「駄目?」
「彼女に全くその気がなかったから諦めたよ。彼女は僕と子どもを憎んでいる。愛情なんか全くなかった。…すべて僕の責任だ。」
「…彼らにはきちんと愛情を注ぐ人が必要だよ。」
「…分かってる。僕も自分がこんな状況になって焦ってる。セルゲイやミハイルを変えてくれた君に期待したんだけど…、ちゃんと応えてくれたんだね。」
「私ができる事には限界があるよ。ニコちゃん、少しでも彼らと一緒にいる時間を作って。」
「分かってる。何とかするつもり。」
「私たちをここへ呼んだのは?」
「たまには彼らに特別な経験をさせてあげたかったのと、君がメルア大陸に行く前の視察にちょうどいいかなって…。」
「あのさ?私は今ニコちゃんの家族なんだよね?」
「そうだね?」
「家族がもしかしたら先が長くないかもしれないって言う一大事に仕事を優先すると思う?」
「…?だけど君はもうすぐメルア大陸に行くんだから…。」
僕はニコちゃんの頬をおもいっきりつねった。
「だから、そんなの後回しだよね?国の一大事でもあるんだよ?そんな時に家族が助け合わなくてどうするの?メルア大陸なんか行かなくたって別に誰も困らないけど今ニコちゃんがいなくなったらみんな困るの分からない?ニコちゃんはそんな事が分からないほど馬鹿じゃないよね?」
「…リネア。相変わらず結構きついね。」
「…とりあえず、ユーラに至急連絡して、でなければすぐに帰国したい。」
「…ミハイルにまず連絡するよ。あ、でもミハイルが怒ると彼の母親みたいに怖いから君から連絡してくれる?電話をかけるから。」
僕は初めて電話というものを使った。
なんて便利なものがあるんだ。
「…ユーラ?私。…うん、リネア。とりあえず話を聞いてくれる?」
僕はユーラに一通り話をするとユーラの話をニコちゃんに伝えた。
「…こっちに今から来るって。セルやアリーナも呼び寄せるって。」
「…なんか家族旅行みたいだね?ワクワクしてきたよ。」
「…いい加減にしてよね。」
僕はニコちゃんをもう一度つねった。




