ランク王国にて
海を見渡せるランク王国のリゾート地。
僕は昨日ここに来た。
彼女と会って話をする為に。
…正直気が重いけどいつかはこうしなければ行けなかったんだ。
僕は彼女の住むヴィラのドアを開けた。
「久しぶりね、ニコライ。何しに来たの?」
僕を敵意むき出しの目で見る彼女。昔はこんなふうじゃなかったのに…。
「ソフィー、そろそろ帰ってきてくれない?」
「…勝手に養子をとったらしいじゃない。小さな王国の貴族の娘を。その娘を側室にでもしたら?」
「…君が僕の事を嫌っているのは知ってる、だけど、マルクとレナートには君が必要なんだ。」
「…私はもう妻としての役割は果たしたはずよ。健康な男子を3人も産んだ。後はシッターでもなんでも雇ったらいいのよ。あなたにそっくりな子どもを私が育てたいと思うとでも?」
「…何故そこまで…。私が彼女と結婚したのがそんなに許せなかった?」
「私はあなたと婚約する為に夢を諦めたし、私にも好きな人がいたけどいつも自分の恋を諦めてきた。幼なじみのあなたを好きになろうと努力もした。なのにあなたときたら勝手にほかの女と結婚して、あげく死別したらまた周りが勝手に再婚するよう決めて…。私は使い勝手のよい道具みたいに利用されたのよ、許せる訳がないでしょ?」
「ごめん、身勝手な僕が君の人生を巻き込んでしまって。」
「そうよ。分かっているなら一生罪を償っていきなさいよ。私に生涯自由でお金に困らない暮らしをさせて。子どもはあなたにあげるから。私はたくさん恋もしたいし、あなたに縛られたくないの。」
「…君は子どもたちが可愛くないの?」
「あなたそっくりの子ども達が?可愛いどころか見たくもないわ。あなただって私が子どもたちの側にいる間ほとんど何もしなかったわよね?仕事のせいにして、私だけ悪いみたいによく言えるわね?」
「…君は昔からファーストレディとしての仕事もしていないじゃないか。」
「…冗談じゃないわ。私はあなたの為に何かをしたりしない。」
これ以上は…無理だな。こっちも限界だ。
「…じゃあソフィー、離婚しよう。」
「…え…。」
「離婚して欲しい。お金は欲しいだけ払うから、自由にしてくれて構わないから。」
「…何よそれ?…好きな女でもできた?」
「僕は自分の子どもたちと向かいあうと決めたから、君と一緒にそうしたかったけど君が無理なら諦める。君には本当に申し訳ないことをした。だから君を自由にしてあげたい。」
「…。また勝手に決めるの?私はファーストレディの地位を簡単に捨てたりしないわよ?」
「ソフィー…。僕は僕なりに幼なじみの君を大切に思っていたつもりだったんだ。でも、君が欲しいのが財産と地位だけだとしたら、僕は一緒にいたくない。」
ソフィーが近くにあったグラスを僕に投げつけてきた。
「いやよ!離婚なんてしてあげない!」
「君が僕と離れている間に色々な人と関係をもってきたのは知っている。今まで黙ってきたけど…。証拠もちゃんとある。ソフィー、残念だけど僕の気持ちは固まった。君が母親として妻としての役割を果たす気がないのが分かったからもうこれで終わりだ。」
「ニコライ、何言って…。」
「今までありがとう。…さあこれにサインを。」
僕は離婚届の用紙を彼女に出した。
「嫌よ!絶対に書かないから。出ていって!!」
…ここまで馬鹿な女だったなんて…。
もっと早くにこうすればよかった。
僕はポケットからレコーダーを取り出して、スイッチを入れ、彼女が他の男としている会話を録音したものを流した。
「…あの人が死んだらあなたが大統領になればいいのよ。」
「…なれるかな?」
「…きっとなれるわ。」
「…じゃあ協力してくれる?」
「…そうね。チャンスを待ちましょう。まずは計画をきちんとたててから…。あの男は簡単には殺せないもの。」
「そうだな…。」
ソフィーがレコーダーのスイッチを押して再生を止めた。
「…ちがうのっ!」
「…何が?」
「違うのっ!!分かってるわよね?これはそんなんじゃ…。」
「ソフィー、もう遅い。僕が持っている証拠を全部集めれば君を犯罪者にする事もできるんだ。おとなしくサインして、慰謝料を貰って別れた方がいい。僕も嘘をついて国に仕事を置いてきちゃったんだ。早く子どもたち会いたいし帰りたい。」
「そんな…。いや…。別れない!」
「さっさとしろ。もう他に用はない。」
僕の後ろに控えていたボディーガードが彼女に銃口を向けた。
「ニコライ…。」
震えた手でソフィーはサインを書き終えるとその場にへたりこんだ。
小さな頃から一緒だった僕の大切な幼なじみ…。まさかこんな形で終わるなんて。
「さて…。」
「ニコライ様、今すぐ帰国されますか?」
「いや、マルクとレナート、それからリネアをこちらに呼び出してくれる?ランク王国の首都へ移動する。あと、ミハイルには僕はまだ集中治療室にいて面会謝絶と伝えてね。」
「…いいんですか?」
「ミハイルの事だ。大丈夫だろう。何かあれば私に連絡するように。」
「分かりました。」
リネア、あの二人とうまくやれているだろうか…?




