マルクとレナート
大量の荷物と2人のこどもと僕を載せリムジンで郊外に向かった。周囲には恐ろしいほどの数の警備の車が走っていた。
「僕たちをどこに連れていくつもり?」
ミニセルゲイ、略してミニセルが不安そうな顔で僕に尋ねた。
「さあね?」
「お前…誘拐犯か?」
「だとしたらどうする?」
「父上を呼ぶまでだ。」
「無駄だよ。君たちのお父さんは出かけていて今は連絡ができないからね。さあ、どうする?」
「兄上…。」
「大丈夫、僕がついてる。」
ミニセルはなかなか気丈らしい。
僕たちが到着したのはロマノ家が所有する森。近くにコテージがあるのは知っていたが僕はあえてテントを張る事にした。
護衛の人たちも一緒にテントを張ってくれた。
「リネア様…で良かったですか?」
「はい。」
「私は護衛担当のアキムです。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
アキムさんは二十歳くらいだろうか?引き締まった身体で髪の毛がもの凄く短いというのが第一印象だった。
「おいお前、僕たちをこんな所へ連れてきてどういうつもりだ?」
「おい。」
「…何だよ?」
「私には名前がある。君は一度名前を聞いたくらいじゃ覚えれないのか?」
「何だと?僕を誰だと思ってるんだ?!」
「ただのこどもだろう?」
「兄上…。やばいよ、離れて。この人変だよ!」
ミニミニセルがミニセルの後ろに隠れた。
「残念だったね。ここにはお前たちを守ってくれるパパもじいやもいない。この私と護衛の人だけだ。」
僕はテントの袋からテントを出した。
「さあ、これが今日から君たちの家だよ?自分で組み立てれる?できないなら私から教えを乞うんだね。」
「…っ!!」
「私は君たちの隣にテントを張るから。」
僕は一人用テントを組み立て始めた。
ミニセルが僕をじっとみている。
僕がまずポールを組み立てると彼も真似した。
組み立てたポールの上にテントを被せる。
二人も見よう見まねでやっていて微笑ましい。
テントを被せると最後はペグでテントを固定した。
二人はハンマーが上手く使えずてこずっていた。
「いい?こんな感じでやってごらん?手に気を付けて。」
「うん。」
僕げ見本を見せると二人が一緒にハンマーでペグをうった。
「うん、いいかんじ。…できたよ。よくできたね。二人の家だよ。」
テントのファスナーを開けると中に嬉しそうに入っていった。
「その中にマットとこのシュラフを入れて寝るんだよ。できる?」
「できる。」
「うん。」
二人がちょっと楽しそうな顔になってきた。
「ご飯はどうするんだ、リネア?」
あ、名前ちゃんと覚えていてくれたんだ。
「…自分で魚を取りにいったり兎を仕留めたり、ベリーをとったりしようと思う。やってみる?」
「やる。」
「僕も!」
僕はアキムさんとミニセルの四人で湖にでかけた。
まずは釣りだ。
「…またリネアだ。」
さっきから僕ばかり釣っている。
「ふたりは釣竿を揺らしすぎなんだよ。アキムさんも。」
「自分は今まで釣りをしたことがなかったので…。」
「あっ!ミニセル、君の釣竿にかかったよ!」
「リネア、僕の名前が分からないのか?」
「忘れた。一緒にひくよ。いい?」
二人で釣竿を上げると今までで一番大きな魚が連れた。
「やった!」
二人が一緒に喜んだ。
「リネア…僕はマルクだ。こっちがレナート。ちゃんと覚えて。」
「よろしく、マルク、レナート。」
少し恥ずかしそうに笑った二人がセルそっくりでセルが恋しくなった。元気にしてるかな…?
「今日は火おこしをして釣った魚と持ってきたパンとサラダをたべようか。マシュマロも焼こう。」
「リネア、料理できるの?」
「もちろん。一緒にやる?」
「やる!」
「やる!」
僕たちは護衛の一人と一緒に魚をさばいてフライにしてパンに挟んだ。こどもたちはお腹が減っていたようで物凄くたくさん食べた。
「美味しい!」
レナートがそう言ってまたおかわりをした。
「リネア…外で食べるなんて初めてだよ。」
「そっか。じゃあ今からマシュマロを焼こう。火に気を付けてね。焼きすぎると真っ黒になるから。」
「わかった!」
火を囲みながらの食事に護衛の人たちも楽しそうにしていた。マルクもレナートもアキムさんたちに遊んで貰えて嬉しそうだ。
「リネア様」
「はい。」
「彼らの護衛をしていてこんなに楽しそうにしている彼らを見たのは初めてです。正直最初こんな所へ連れてくるなんて危険で反対でした。でも、来て本当によかった…。」
「野外ではみんな平等でしょう?仲良くなりやすいんですよ。あと数日お付き合いよろしくお願いします。」
「はい。」
夜は二人で寝るのは怖いと言うから僕が一緒に大きいテントで寝ることにした。
テントにランタンを灯し三人でカードゲームをして9時過ぎには寝てしまった。
寝顔がセルと同じで可愛すぎる。
明日は何をしようかな…。




