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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
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セルの決断

「…はい、また僕の勝ち!…ねぇ、セルゲイお茶でもいれてよ。」

「…。あの、もう部屋に戻りたいんですけど。」

「まだ11時だよ?!これからでしょ?」

「…私も宿題をやらなくてはいけないのですが…。」

「君たちはつまらないなぁ。やっぱりリネアを行かせなければよかった。」

父が不貞腐れている。面倒だ…。


「父上…、どういうつもりですか?フリッツとフレーデル王国へ行くなんて。」

「さっき話した通りだよ?カジノを共同運営するつもり。」

「…。」

「セルゲイ、君も行くかい?」

「私は…。」


「私は行きたい。」

「ミハイル、君は時間あるの?最近他にもいろいろ始めたみたいだし、個人的な感情だけで動いちゃいけないよ?」

「…しかし…。」

なぜセルゲイだけ…。


「リネアがフリードリヒと二人でいるのが面白くないのは分かる。だけど君にはいろいろあるから今回は大人しくしていなさい。」

「はい…。」

本当に面白くない…。


「セルゲイはバレエをやらないなら明日行きなさい。もう前の仕事をやっていないし、カジノなら君にあってそうだ。」


「…バレエ?」

「ミハイルは知っていたんだよね?彼がダンサーを目指していたのを僕が辞めさせた事。」

「…。」


「知らないとは言わせないよ。君のことだ。調べているだろう?」

「…彼の好きにさせてあげてください。」

「兄上…。」

「約束したんです。彼を自由にさせてあげると。」


「だから、彼に選んでいいって言ったの。ここに残って仕事を続けるか、バレエをとって帰国するか。」

「そうだったのか…。」

まさか、父がそんな事を言い出すなんて…。


「良かったじゃないか、セルゲイ。」

「…私はまだ決めてないんです。」

「どうして?」

「…。」


「この子はリネアから離れたくないんだよ。」

「…。セルゲイはリネアにすっかり懐いてしまったからな…。」

「リネアといたい。」

「父上…帰国せずこちらでやらせてあげたらいいじゃないですか?」

「君たちばっかりこっちにいて僕はずっと一人なんだよ?セルゲイの母親もいつもいないし、僕だって寂しいんだ!」

「…。」

何を言ってるんだこの人は。そんな事情は知らないし…。自業自得だ…。


「セルゲイの弟達がいますよね?」

「最近全然言うことを聞かないんだ。あまりにも腹が立つ時は閉じ込めてる。」

「トラウマになるからやめてください。」

私の小さいころを思い出す。まだそんな事をしていたのか…。


「だからリネアを夏に呼ぶんだ。」

「父上…。とにかく、セルゲイにはセルゲイの意志があります。好きにやらせてあげてください。」


「ミハイル…。君は僕の見方だと思っていたのに。」

「見方も何も、みんながあなたの思うようにはならないんですよ。もう小さな子どもじゃないんです。」

「…いつの間にか言うようになったね。ミハイルのくせに。それにすっかり仲良くなったみたいだね。」

くせにって何なんだ…?


「セルゲイ、君ははっきりしない子だ。僕は決断力が悪いのは好きじゃない。リネアとどうなりたいかも分からない。バレエ一本で生きていくかも決められない。イライラする。」

「…。」

こんなふうに意見を言えない子にしたのは自分にも責任があるはずなのに…。


「父上、少しだけ時間をあげてください。」

「僕は忙しいんだ。」

「しかし…。」

「兄上、ありがとうございます。…父上、明日、リネアと少し話す時間をください。二人で。それで決めます。」


「分かった。…ミハイル。」

「はい。」


「君は今から僕とチェスをやるよ。セルゲイはもう行ってよし。」

なんでそうなるんだ…?!

勘弁してくれ…!!




◇◇◇


「セルと話し?いいよ?どうしたの?」

翌朝荷物をとりに来たリネアを私は部屋に呼んだ。


「リネア…」

私は強くリネアを抱き締めた。会いたかった…。


「どうしたの?」

「会いたかった。寂しかった。」

リネアが頭を撫でてくれる。…安心する。


「うん。…何かあった?」

リネアが私のベッドに座ってポンポン、とたたいた。

私も隣に座ってリネアの肩にもたれる。


「父上が…選べって。バレエをやるためにリスラ共和国に帰国するか、ここに残って仕事をするか。」


「バレエ…?あぁ、そうか。そうだったんだね…。最近帰りが遅かったのは…。」

「リネア…。私はリネアと離れたくない。」


リネアも私といたいと言ってくれたら…。私は…。


「…セル、セルはどうしたいの?」

「私は…」

「ニコちゃん、真剣に君と向き合ってくれて、すごくセルの事大切に思ってるんだね。」

リネア…?何を言っているんだ?


「…どうして?私がリネアと離れたくないの分かってて、どちらも選べないの分かってて選択させてるんだよ?」

「セル、私は自分の将来の選択肢をフリッツがいるかいないかでは選んだりしないよ。」

「…。」


「自分のやりたいことをやっていくだけ。ヴィルと婚約したくなかった一番の理由は縛られたくなかったから。」

「じゃあリネアはフリードリヒがいなくなっても仕方ないって思える訳?」


「嫌だけどそう思うしかないよね。…だって私はフリッツといるために何もしないより、自分が好きに生きる事をまず選ぶから。セル…、私はセルが好きだけど、ずっと一緒にいられるかは分からないよ?私の行き先はニコちゃん次第だし、私は自分勝手だからさ…。だから、自分で決めるしかない。バレエをとるか、ニコちゃんの事業をとるか。」


「リネアといたかったら、自分が一緒にいれるよう動くしかないって事か…。父上が意地悪だと思ったけど、リネアに言われてそうじゃないって分かった…。」

「意地悪ならわざわざこんなとこまで来て泊まっていったりしないでしょ。…今選ばせてるのは年齢的にリミットだからじゃないの?私は見ていたよ?セルがダンスする時本当に楽しそうにしていたのを。本当に諦めていいの?」


「…そうだね。父上はちゃんと考えてくれてたんだね…。」

「まあ、あんなんでも君の父親だからね…。」




「父上…。」

「決めた?」


「はい。…。私に、二年間の猶予をください。」

「ん?」

「こっちで学校を休んで二年間バレエに専念します。チャーリーズの店は私とリネアが一緒に始めたので、途中で辞めたくない。バレエと仕事に絞ってがんばります。二年間でバレエに結果が出せなかったら、バレエは諦めます。それから、フレーデル王国には連れて行ってください。カジノに私も関わってみたい。私のコネクションも活かせると思うから。」


「…リネアの入れ知恵?」

「いや?私を抜きに考えてってはっきり言ったよ?ニコちゃんはいいパパだという事も伝えたし。」

「…リネア、君はパパの扱いがうまい。」

「まあね。…じゃあ、そういう事で?あ!セルが学校にいなくなったら誰が私のノートをとるの?」

「イーチェンじゃない?」

「…全く期待できない…。」


「まぁ、勉強は私がみてあげるから…。」

「ユーラ!」

「その代わり…。」

「…ミハイル、俺の前で不届きな交換条件を出してくるな。」

「フリッツ、君には関係ない話だ。」

「あるだろ?!おいリネア、何とか言え!」

「学業優先だね。」

「なんだそれ!?」


「…フリードリヒとリネアがいると賑やかでいいね。昨日はセルゲイとミハイルの三人で葬式みたいだったよ。」

「父上…。」

「さっ!じゃあ行くとしよう。ミハイル、留守番よろしくね!」

「はいはい。」





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