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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
133/350

歓迎会 1-2

相変わらず…クラブに来るとこうなっちゃうのか。

セルは本当に踊るのが好きなんだろうな。

セルのダンスにクラブのホールが騒然となる。一人だけ全くレベルが違う。踊っている時のセルは自由で本当に楽しそうな顔をしている。


「あれ…あの大人しいしセルゲイ?」

「…うん。」

「なんかうますぎない?」

「…うん。」

「クラブに初めて来たって感じじゃないよね?」

「…だろうね。」



「リネア、踊ろ?」

ルークが声をかけてくれた。

「うん。」


ルークはオレンジ色でふわふわした髪の毛、青い目をしている。僕より一つ年上らしいけど童顔でセルくらいの印象だ。

「初めて来た日から可愛いなって思ってたんだ、リネアの事。」

「そうなの?…ありがとう。あまり言われないから恥ずかしいな…。」

ルークは穏やかで紳士的な少年だった。ダンスのリードの仕方もとても丁寧だ。


僕たちが数曲踊るとセルが僕の手を引っ張った。

「リネア、久しぶりに踊ろ?」

セルがニヤっと笑う。

「…ほどほどにね?」

久しぶりでワクワクする。



僕たちが踊り出すとまわりの人達が集まってきた。

相変わらずセルは技を仕掛けまくってくる。

僕だってフレーデルにいる間欠かさず特訓をしてきたんだ。どんなダンスも踊れるように。受けて立つ!


「へぇ、随分上達したね。」

「セルに言われると頑張った甲斐があるよ。」

「…やっぱりリネアは楽しいね。」

「セル、今度は私が仕掛けるよ!」


僕はあえて男のパートを踊る。僕のリードにセルが完璧に合わせてくれる。面白い…!


何曲も連続でセルと踊るとさすがに少し疲れてきた。

「セル…ちょっと休憩。」

「何か飲もうか。」



セルが飲み物を持ってきてくれた。

「これは?」

「ノンアルコールのカクテルだよ。」

「へぇ…綺麗だね。」

ブルーのカクテル…。そういえば、前にもこんなことあったっけ。あの時は…。


「何も入ってないから。」

「はは、分かってるよ。」


僕たちはクラスメートの座るテーブルに向かう。

「セルゲイもリネアも…あなた達、何者?」

「何って…。」

「セルゲイもすごいけど、リネアもすごく上手いわ。」

「フレーデル王国で専属コーチに半年しごかれたから。」

「それにしても…。」

マリーが理解できないって顔をしてる。


「マリー、私と踊る?」

「え?私と?」

「うん、行こう!」


僕はマリーを誘ってホールにでた。

僕が彼女をリードすると彼女が驚く。

「リネア、男性パートも踊れる訳?」

「うん、どちらも練習したんだ。」

「リネア、あなたって不思議な人ね…。」





僕がマリーと踊っている間、マギーがセルゲイに話しかける。

他の二人は飲み物を買いにいったようだ。


「セルゲイはリネアの事が好きなの?」

「…どうして?」


「貴方に興味をもったから。」

「…へぇ?」

「貴方、綺麗ね…。エンゲル王国の女性と付き合った事は?」

「ないよ。」


「そう…私と試してみない?」

「…どうかな。」

「…考えておいて。」

マギーがそう言ってセルの額にキスをした。



僕たちがテーブルに戻ると今度はマギーが僕をダンスに誘った。

マギーは茶色の長い髪の毛と茶色の瞳、大人びた印象の令嬢だ。

「リネア…本当にダンスが上手いのね。」

「ありがとう。」


「…私、セルゲイに興味をもったの。リネア…協力してくれない?」

「協力…?」

「ええ。」

「…よくわからないけど…。」


協力…してもいいんだろうか?

セルはもうミーシャにしたような事をしないだろうか…?

僕はセルの事を少しは知っているけど知らない事も多い。


「駄目?」

マギーが僕を上目遣いで見つめる。困ったな…。

「…私のできる範囲なら…。」

「嬉しいわ、約束よ!」


マギーが僕の手を握った。

僕は少しドキドキした。





帰りの馬車の中で僕はマギーの話をした。

「マギーが君に興味をもったみたいだよ。」

「…面倒くさい。」

セルは嫌そうに顔をしかめた。


「私に協力して欲しいって頼んできたけど、協力って何をしたらいいの?」

「…私にそれを聞く?」


「セルは令嬢に興味ないの?前は結構遊んでなかった?」

「前はそうだけど、今はちょっといいかな…仕事もしなきゃいけないし勉強もあるから…。リネアこそルークに気に入られたんじゃない?」

「さあ?可愛いとは言われたけど、お世辞じゃない?」


「…リネア…君は自分への好意には本当に鈍いね。」

「男に言われてもね…。どちらかと言えばマギーに手を握られた時の方がドキッとしたよ。彼女は私のタイプじゃないけど。」


「面白いな…。ねぇ、リネアはどんな女性がタイプなの?」

「えー?恥ずかしいな。」

そんな質問初めてされた。ボーイズトークっぽい。


「いいじゃない、私には言ってくれても。」

「そうだなー、先にセルが言ったら。」

「私…?どうかな?そう言われてみると難しいな。今までそういうふうに令嬢を見たことがないし。」

「そうなの?こんなに可愛いのに?令嬢にもてるのに?」


「ない…。誰でも良かった。」

「そっか、早く見つかるといいね。セルが好きになれる人…。」

「…そうだね。…で、リネアは?…この場合、オスカル、と聞くべきなのかな?」

「んー、私が初対面で滅茶苦茶ドキドキしたのはさ…、恥ずかしいんだけど…。」

「何?」


「…女装したヴィルフリートだったんだ。」

「えっ?!」


「それとユーラ」

「はい!?男ばっかりじゃないか。しかも綺麗な顔の人ばっかり…。君の対象はどっちなの?」


「…あとシャーロット様」

「えー?何それ!?あの人男みたいじゃない?」

セルが珍しく興奮気味だ。


「なんだろう…、特にタイプがある訳じゃないみたいだね。なんか中性的な雰囲気の人に魅かれるのかもしれない。」

「付き合った奴は思いっきり男だったのに?」

「んー、不思議なんだよね、自分でも。…フリッツは人として本当に好きっていうか…、尊敬してるっていうか…。最初は変な人だとしか思わなかったのに…。」

あ、駄目だ、思い出すと辛い。考えないようにしていたのに。

フリッツ…今何してるかな…。

「…会いたくなってきた…。」



「…リネア、寂しい?」

「うん…」

「よしよししてあげようか?」

「うん、して…。」


僕はセルの肩にもたれた。

セルがアパートにつくまで僕の頭を撫でてくれた。


フリッツに会いたい…。



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