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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
フレーデル王国編
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僕とセル 2

歓迎パーティーの前にヴィルが離宮のゲストルームを案内した。

城の敷地内の小さな石造りの建物だ。定期的にゲストを受け入れているためとても綺麗にしてあった。


馬車の旅と違い飛行機での移動は快適だったから全然つかれなかった。僕は荷物を置いたみんなに声をかけた。

「パーティーまで時間があるし、せっかくだから観光に行ってみる?」

「私はパーティーの準備もあるし、今日はやめておくわ」

「僕も準備がある」

「私も今は部屋でゆっくりするよ」

「みんなつまんないなー。」

「私は行く。」

「セルー!」


僕はセルを連れて馬車で街の旧市街へ出かけた。

石畳の可愛い街。フレーデルのクリスマスも素敵だったけどスモーランドのクリスマスはやっぱり特別だ。

「まだ昼を少しすぎたばかりなのにすでに暗いって不思議な感じだね。」

「緯度が高いからね。冬は本当にうんざりするほど暗いんだよ。」


セルと僕はいつの間にか本当にいろいろな事を話せる仲になった。もちろん彼の仕事の話以外だけど。

セルは小さい頃本当にダンサーを目指していたらしい。彼の父に許してもらえなくて10歳の時に諦めたと言っていた。僕も、僕の生まれ変わりの秘密を打ち明けた。そしたら本当に'兄'だったと言って喜んでくれた。僕は彼を知れば知るほど年相応の13歳の少年だと感じた。セルは素直で可愛くて、僕を慕ってついてくる可愛い弟みたいな存在になった。


「うん。このハンバーガー好きだな」

「スモーランド発祥のお店なんだよ。私も久しぶりに食べたかったんだ。」

うーん、やっぱりここのポテトがおいしい。


「リネア」

「ん?」

「ありがとう、スモーランドへ寄ることを許可してくれて。私は…こんなふうにみんなで過ごせるなんて、留学した時は想像もできなかったよ。」

「私もみんなで来てくれて嬉しいよ。」


「私はずっと一人だったから…。最近は兄上ともたまに二人で話ができるようになったんだ。リネアの話ばかりだけど。」

「どうせろくでもない話なんだろ。」

「…そんな事ないよ。…ねぇ、リネア」

「何?」


「兄上をどう思う?」

「ユーラを?好きだけど?」

「男として?」

「友達として。」

「そっか…。」


なんでセルがそんな寂しそうな顔をする訳…?

「私はね、君が本当に兄上の彼女になってくれたらって思ってるんだ。」

「なんで?」

何でそんな話…。


「私がリネアの事が好きだから、ずっと側にいたいから。」

「…よく理解できないよ。なんでセルが私を好きだとユーラと付き合う訳?」

「だって恋愛関係になったらこうやって気ままに会えなくなるじゃないか。別れる別れないとかそういう面倒なやりとりを君としたいとは思えないし、弟ポジションでずっとこのままの関係でいられる方がよっぽどいい。」

「そういうもの?…なんか不思議だね、セルは…。」


「別に不思議じゃないよ。だからさ、早く兄上と付き合ってよ。そうしたらこれからも一緒にいられるし。」

セルは僕の手を繋いだ。

「弟ポジションで手を繋いだり抱き締めたりする訳?」

「ブラコンだからね。君が望むならその先もありだよ。」

「…君はかなり危ない奴だ。」

「そう?」

「…少し歩こう。頭を冷やしたい…。」






夕方から身内だけで小さなパーティーが開かれた。

みんな各々に話をしている。ミハイルの営業スマイルと営業トークにヴィルのお母さんもうちの母もうっとりしていた。


僕は久しぶりにヴィルの妹のユリアに再会した。


「リネア!」

ユリアが僕に飛び付いた。

「久しぶり、ユリア!元気だった?」

「寂しかったわ。留学の延長を決めたんですって?私も来年追いかけていくつもりよ。」

「そうなの?」

「背も延びたわね。見た目も…綺麗になったわ。リネア…こちらの方は?」

「友人のセルゲイだよ。セルゲイ、彼女はユリア。幼なじみで私の妹みたいな存在なんだ。」


「初めてまして。ヴィルフリートの妹のユリアです。」

セルが無言で僕の後ろから僕にしがみついた。

「…なんか嫌。」

「セル、挨拶しなさい。」

「やだ」


人見知りの猫が飼い主の後ろで威嚇しているみたいだ。

「ごめんねユリア。この子人見知りが激しくて。君と同じくらいの歳なんだけど。」

「あら、13歳にもなって挨拶ができないって事?」

「ちっ…」

セルが舌打ちをした。


「こらセル。駄目じゃないか。」

「なんかこの人好きじゃない。リネア、あっちに行こ。」

「…ごめんねユリア。…また後で。」


セルは隅っこでむくれている。

「セル、どうしたの?」

「やだ。」

「何が?」

「私以外にああいう存在がいるの、知らなかった。」

「ユリアの事?仕方ないじゃないか、昔からの知り合いなんだし。」

「でも今は私が一番仲いいんだもん。あんな子が留学してくるなんて絶対嫌だ。」

「嫌だといわれても…。」

「せっかくヴィルフリートがいなくなるのにさらに邪魔な存在がくるなんて…」


「君は本当にそういう事をさらっと言うよね。」

「どうしたリネア?」

「ユーラ…。セルゲイが拗ねちゃったみたい。」

「困った子だな。セルゲイ、こんな場所でみっともないよ。」


「兄上、早くリネアと付き合ってください。兄上がもたもたしてるから私も安心できないんじゃないですか。」

「…だそうだ。私としては弟の願いを兄として叶えてやりたいと思うが…。」

「弟のわがままを叶えるだけが愛情じゃないよ。」

「…もーリネアにおやつあげないからね。」

「セル…」




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