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虚無
ここは、何処だ。
目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。
俺は、死んだのか。
すると、ここは地獄か。
予想とはだいぶ違うが、これはこれで恐ろしい場所だ。
この何もない虚無だけの空間に、永遠にいることになれば、人間の精神などすぐに崩壊してしまうだろう。
その時、後ろで声がした。
もしくは、真上だったかもしれない。
だが、声の主の姿は何処にも見えなかった。
「やりましたね。犬養さん。貴方ならやり遂げてくれると、しんじていました。」
犬養⋯その名前は、どこかで聞いたことがある気がした。
「俺の子孫が、ほんとに世話になったな。」
なんのことか、わからない。
「頭が、追いついてなさそうですよ。桃太郎さん。」
「ん?もう、忘れたのかよ。だらしねーおっさんだな。」
「ちなみに、私が先ほど言った、地獄云々は嘘ですよ。」
「あれは、ただ単に、お前を試しただけだ。」
「貴方は、予想以上に素晴らしい方でした。」
「桃さんもむこうでまってますよ。」
「早く、戻ってやれ」
2人の、あるいは1人と1匹の話し声がした。
なんのことか、さっぱりわからないが、桃という名前にも聞き覚えがあった。




