覚醒
目を覚ますと、そこは真っ白な空間だった。
しかし、先ほどの何もない空間ではない。
白い天井、白い壁、白い布団に白い服。
清潔に保たれた病室だった。
ずっと、何年も眠っていた気がする。
ふと右に目を向けると、そこには雉羽田が椅子の上で丸まって眠っていた。
(よくそんな狭い範囲で眠れるな。器用なやつだ。)
(雉羽田がいるということは、仕事中に怪我でもしたのだろうか、俺は)
確かに、先ほどから、体の節々が痛い。
甚平の裾をたくし上げて、腹を見る。
包帯が何重にも巻かれている。
犬養は、そっと傷口に触れた。
「ぐっ!!」
あまりの痛さに、犬養は顔をしかめた。
「ボス⋯?」
犬養のうめき声を聞いて、雉羽田が目を覚ました。
「おはよう、雉羽田。よく寝てたな。」
「それは、こっちのセリフですよぉ〜!!」
雉羽田が犬養に抱きつく。
「ぐはっ!!!」
痛すぎる。
「よかったよぉぉぉ〜。」
雉羽田は泣き始めた。はじめて、彼女の涙を見たかもしれない。
そのとき、病室に猿飛がやって来た。
「うるさいっすよ、雉羽田。ここは、病院っす⋯⋯⋯⋯。」
そして、犬養を見ると、手に持っていたバナナを落とした。
「犬養さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!!」
「やめ!!こっち来るな!!」
案の定、猿飛も犬養に飛びついた。
「ごっふ!!!」
そろそろ、痛みで失神しかねない。
***
「すみません。犬養さん。はしゃいじゃったっす。」
「まったく、危うく死ぬとこだぜ。」
猿飛と雉羽田は反省して、正座している。
「ところで、俺はなんでこんなに傷を負ってるんだ?」
「犬養さん、覚えてないっすか?」
「ああ、まったくな。確か、解散する話をしてたような⋯。それに⋯。」
それに、誰かが足りない気がする。キビキビ団のメンバーは全員いるのに、物足りない。
その時、廊下を走る音が聞こえた。
病院なのに、非常識な。
その足跡は、犬養の病室に入って来た。
「犬養さん」




