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第7話 毛利輝元、退路の門を完全に閉鎖し、家康に「チェックメイト」を告げる

慶長五年(1600年)九月十五日、午後三時前――関ヶ原・東軍本陣後方。


「おい、まさかこっちもダメなのか……っ!?」


徳川家康は、何人もの近習きんじゅに肩を担がれながら、必死の形相で伊勢街道へと続く脱出ルートを走っていた。


正面からは島津義弘の狂気的な「チェスト」突撃によって前衛がミンチにされ、側面からは小早川秀秋の電撃リストラ作戦によって本陣の横腹を完全に消し飛ばされた。


もはや東軍の崩壊は誰の目にも明らかであり、家康に残された道は、歴史上での島津とは真逆に「決死の敵中突破」をして敗走することだけだった。



しかし、逃げ道の先にある狭い谷口の門は、すでに見たこともない数の「一文字三星」


――毛利家の旗印によって隙間なく埋め尽くされていた。


「遅かったね、家康公。こっちのルートはすでに通行止め(クローズ)だよ」


馬上に揺られながら、退路のド真ん中で冷たく言い放ったのは、西軍総大将・毛利輝元。


その目は、かつて数々のデスゲーム系ラノベを制覇し、戦略シミュレーションで世界ランカーにまで上り詰めた冷徹な現代人ゲーマーのそれだった。


「輝元……っ! なぜ、なぜお前がここにいる! 吉川広家はどうした! あ奴が貴様らを止めていたはずだ!」


「だから、そのトロール(利敵行為)アカウントは昨日のうちにBAN(永久追放)したって言ったじゃん。お前が仕込んだ裏工作バグ全部修正アプデしといたから」


輝元は退屈そうにため息をつき、パチン、と指を鳴らした。



その合図とともに、南宮山から無傷のまま駆け下りてきた毛利秀元の精鋭3万、さらには長宗我部盛親、長束正家の軍勢が、家康の敗残兵を完全に包囲する。一分の隙もない、完璧な「鳥籠」の完成だった。


「おのれ……! ワシの、ワシの天下が、このようなところで……!」


「あんたの戦術は古すぎるんだよ。身内の調略に頼って、現場の純粋な火力を軽視した。それが今回の敗因。はい、チェックメイト(詰み)だ」


輝元が冷酷にそう告げた瞬間。

「チェストォォォォォーーーーッッ!!!!」


「家康殿、一括請求(支払い)の時間だ!」


背後から、血煙を上げて突っ込んできた島津義弘と、怒涛の勢いで押し寄せる小早川秀秋の軍勢が、ついに家康の目の前にまで到達した。 


前を毛利に完全に塞がれ、左右と後ろから島津・小早川が牙を剥く。


東西両軍合わせて20万が入り乱れた関ヶ原の戦いは、現代の知識と最強のメンタルを持った3人の転生者によって、歴史上類を見ない「東軍の完全ワンサイドゲーム」として幕を閉じた。




数日後――大坂城・大広間。



戦後処理のための会議室。上座には、西軍を完全勝利に導いた3人の転生者が顔を揃えていた。


「いやー、島津殿の初手チェスト、最高にエキサイティングだったわ。あの火力は完全に環境トップのチート(ぶっ壊れ)性能だよ」 


輝元がコーラ(の代わりに用意させた冷やし甘酒)を飲みながら笑うと、島津義弘が豪快に胸を張った。


「ハハハ! 経営(戦)はスピードが命ごわす! 最初からフルパワーで市場を独占すれば、どんな強豪他社(徳川)も倒産するしかねぇが!」



「本当ですよ。おかげで俺のタスクも予定より早くクローズできました。家康の隠し資産(領地)の差し押さえ手続きも、これでスムーズに進みますね」 


小早川秀秋は、すっかりブラック企業から解放されたホワイト企業の超有能若手役員のような、爽やかな笑顔を浮かべている。




本来の歴史では、この関ヶ原の後に裏切り者の汚名を着せられ、若くして狂死するはずだった小早川秀秋。 


へそ曲がりとして戦後に冷遇されるはずだった島津義弘。


そして、大減封されて毛利家衰退のきっかけを作るはずだった毛利輝元。



らの運命は、今、完全に書き換えられた。


「よし、邪魔な徳川家は綺麗に排除したし、これからは3人でこの国を『共同経営』していこうか」



輝元が不敵に微笑み、2人に右手を差し出す。


「よかごわす! 我が社の技術(武力)で、新しい天下を立ち上げるが!」


義弘がその手を力強く握りしめる。


「法と秩序の徹底された、ホワイトな新時代を作りましょう」


秀秋もそこに手を重ねた。


3人の現代人の魂が、戦国の世をガチで終わらせる。


それは、誰も見たことのない、新日本創世記の始まりの瞬間だった。

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