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第6話 島津義弘、福島正則を完全に踏み潰し「チェスト」の咆哮と共に家康の首を狙う

島津とかというやべーやつ

慶長五年(1600年)九月十五日、午後二時前

――関ヶ原・前線。


「う、嘘だろ……。これが、あの島津なのか……っ!?」


東軍の猛将・福島正則は、血の海のなかで絶望していた。


彼が率いる福島軍一万弱は、猛将揃いの東軍のなかでも屈指の武闘派部隊である。


それが今、わずか一千五百の島津軍によって、文字通り「塵」のように踏み潰されていた。




本来の歴史であれば、戦いの終盤に退路を断たれた島津軍が、生き残るために家康の本陣をかすめて敵中突破する決死の戦術――通称『島津の退き口』。


だが、今の義弘の魂は、倒産寸前のベンチャー企業を死に物狂いのハードワークで業界トップに押し上げた、熱血体育会系の元CEOである。


「生き残るために最後に全力を出す? そげん費用対効果の悪かね計画性があるか! 最初からフルパワーで市場を独占するのが、我が社の鉄則ごわす!」 


義弘は血飛沫を浴びながら、巨大な大太刀を豪快に振り回した。  


その背後には、開戦から一度もスピードを落とさず、狂気的なモチベーションで敵を蹂躙し続ける薩摩隼人たち。


「福島正則ィ! おはんの陣の分配は、我が社が完全に買収した! 破産手続き(命乞い)の準備はよかか!」



「ひっ、ひいいいっ! くるな、くるなあああっ!」


バキィィィンッ! と、義弘の一撃が正則の構えた日本号を容易く叩き折る。


そのまま正則は落馬し、泥まみれになりながら後方へと這いずり逃げていった。 


東軍の最強の盾が、完全に崩壊した瞬間だった。



「よし、第一段階フェーズワンはクリアごわす! 営業目標(福島)は達成した!」


義弘はギラギラと飢えた目で、その先にある徳川家康の本陣を見据えた。 


すでに家康の本陣は、松尾山から爆走してきた小早川秀秋によって横腹を喰い破られ、背後は大坂城からガチ進軍してきた毛利輝元によって完全に塞がれている。



「残るタスクは、競合他社のトップ――徳川家康のヘッドハンティングだけじゃ!」


義弘は愛刀を家康の本陣へと真っ直ぐに向け、腹の底から声を張り上げた。


「おい薩摩ん隼人ども! ボーナスタイムじゃ! 最後の力を振り絞って、徳川の親玉をチェスト(買収)するぞ! 全軍、チェストォォォォォーーーーッッ!!!!」


「「「「チェストォォォォォォォーーーーッッ!!!!」」」」


その咆哮は、関ヶ原の空を震わせた。


前線から、まるで津波のように押し寄せる島津の狂戦士集団。



徳川の本陣で、へし折れた扇子を握りしめながらガタガタと震えていた徳川家康は、正面から迫り来る島津の「チェスト」の地鳴りを聞いて、完全に顔面を蒼白にしていた。 


「正面から島津……横から小早川……後ろから毛利……。な、何じゃこれは……。ワシが一体、何をしたというのだ……!」


家康の脳裏に、明確な『死』の二文字が浮かび上がる。


かつて三方ヶ原の戦いで武田信玄に追い詰められた時以上の、絶対的な、逃れようのないチェックメイトの瞬間が迫っていた。



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