第10話 東軍全大名の処置(完全なる企業買収と市場独占)
大広間に集められた東軍の大名たちは、一人残らず通夜の席のような顔をしていた。
すでに徳川家康はデリート(謹慎)され、徳川家は完全崩壊の危機。
後ろ盾を失った彼らに残された道は、西軍の新経営陣――毛利・島津・小早川による「最終査定(戦後処理)」を無条件で受け入れることだけだった。
「さて、それじゃあ東軍の残り全ての支社(大名)の事業仕分け(戦後処理)を終わらせようか。一気にいくよ」
最高戦略責任者(CSO)の毛利輝元が冷徹に告げ、実務担当の小早川秀秋がタブレット(に見立てたノート)を開いた。
【東軍・主要大名の「事業仕分け」最終リポート】
伊達政宗
査定:現状維持、ただし「海外貿易・奥州支社長」へ就任。および人質。
秀秋の解説:「『天下の時流が遅すぎた』とか言って、裏で100万石のお膳立てをしてコソコソ動いていた奥州の独眼竜。君の野心とマーケティング能力(自己プロデュース力)は認めますが、国内で暴れられるとバグの元です。なので、君がかつて計画していた『慶長遣欧使節(サン・ファン・バウティスタ号による世界進出)』を前倒しでやってもらいます。島津の社長と組んで、太平洋を渡ってスペインやアメリカ大陸の市場(新規開拓)を開拓してきてください。あ、奥方の愛姫様と子供は当然、大坂城(本社)で預かりますね」
政宗:「まさか我が世界への野望が、このような形で強制成就させられるとはな……(冷や汗)」
最上義光
査定:現状維持、ただし伊達政宗の「相互監視役(コンプライアンス監査)」。
輝元の解説:「出羽の鮭様(義光)。お前は伊達のストッパーとして優秀だから、そのまま東北の治安維持を任せる。政宗が変なバグ(反乱)を起こさないよう、隣でしっかりログ(行動)を監視しといて。成果に応じてボーナス(米)を出すよ」
細川忠興
査定:丹後から「僻地」への減封、およびメンタルヘルスケアの推奨。
秀秋の解説:「奥さん(ガラシャ)がキリシタン特攻で亡くなったことで、完全にメンタルがブレイクして狂暴化している細川君。今の君は組織の輪を乱す『地雷社員』です。前線の領地は没収。九州かどっかの静かな田舎で、大好きな茶道でもして心を落ち着かせてください。あ、お父さんの幽斎さんの文化知識は我が社の中央図書館(文教部門)で引き取ります」
浅野幸長
査定:改易(お家取り潰し)、ただし「土木部門・藤堂高虎の部下」として再雇用。
義弘の解説:「南宮山から駆け下りた毛利の秀元大将に、初手でワンパン(一撃粉砕)された浅野君。君の戦闘スタイルは完全に今の環境に追いついていらんど。大名としてはクビじゃ。明日から藤堂高虎の現場に入って、シャベル持ってインフラ整備(お城の石垣掘り)からやり直せ!」
加藤清正 & 黒田如水
査定:九州の領地は完全没収(国替え)、および「海外進出・アジア方面軍」へ強制配属。
輝元の解説:「九州でコソコソ留守番しながら『関ヶ原の戦いが長引いたら天下を獲る』とかガチで狙ってたブラックユーモア大好きな如水のおじいさんと、その子分の清正君。残念、関ヶ原は半日で終わりました(笑)。お前らみたいな優秀すぎるハイエンド大名を国内に置いとくのはリスクしかないので、領地は全没収。その代わり、島津の社長と一緒に『対馬・朝鮮・明国』を結ぶ東アジア巨大貿易ルートの『初代総督』に任命するよ。不満があるなら、今ここで島津軍一万五千とチェストし合う?」
如水:「……半日で家康を詰ませるなど、どんなチートを使ったのだ……。老い先短い身、大人しく海の向こうで暴れるとしよう」
清正:「三成の奴が中央でふんぞり返っているのは腹が立つが……海外の強敵と戦えるなら、悪くはない……!」
「よし! これで東軍に与した全大名、約百もの全社(全家)のリストラおよび再配置(スクラップ&ビルド)が完了したね」
秀秋がバインダーをパタンと閉じ、爽やかに一礼した。家康が数十年かけて作り上げようとしていた「徳川の幕藩体制」は、現代の知識を持つ3人によって、わずか三ヶ月で「日本国という名の超巨大グローバル企業」へと完全に生まれ変わったのだ。
国内の利権争い(内戦)という無駄なコストは一掃され、すべての戦闘狂(武将)たちのエネルギーは「海外市場の開拓」というベクトルへ強制的に方向転換させられた。
「素晴らしいごわす! これで我が社の戦闘部門(武士)も、リストラされずに世界でチェストできるが!」
島津義弘が豪快に笑い、輝元がニヤリと地球儀を回す。
「さあ、国内のバグ修正は全部終わった。明日からは世界(グローバル市場)を買い取り(M&A)に行こうか」
転生者トリオの不敵な笑みが、二条城のローソクの光に照らされる。
彼らが創り出す新しい日本は、歴史のレールを完全に踏み外したまま、世界の覇権へ向かって爆走を始めるのだった。




