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第9話 その後 東西大名のスクラップ&ビルド

「よし、それじゃあ各支社(大名)の処遇について、最終の査定(論功行賞)を始めようか」


最高戦略責任者(CSO)の毛利輝元が、手元の分厚いバインダーをパチリと閉じた。


会議室に集まっているのは、実務担当(内政)の小早川秀秋と、現場監督(軍事)の島津義弘。


そして、緊張のあまり胃に穴が開きそうな顔をした西軍・東軍の諸大名たちである。


「まずは我が西軍の『功労者』の評価からいこう。秀秋、プレゼンよろしく」


「はい、毛利先輩」


秀秋はプロジェクター(を模した巨大な紙の表)を差し示し、爽やかな笑みを浮かべた。




【西軍(勝ち組)のインセンティブ評価】石田三成


査定:現状維持、および「総務部・コンプライアンス室長」へ異動。


秀秋の解説:

「三成さんは現場のマネジメント能力(人望)は最悪ですが、事務・財務の処理能力(コンプライアンス意識)はチート級です。領地(佐和山)をこれ以上増やすと他部署(他の大名)とモメるので、石高は据え置き。その代わり、中央の財務大臣としてフルにこき使います。これで彼は『行政に専念できる』と大喜びです」



大谷吉継

査定:北陸一帯への大加増。

輝元の解説:

「うちの小早川が裏切らなかったおかげで、五体満足で生き残った最高の人材。戦術眼・人望ともにトップクラスだから、北陸の物流・防衛の拠点を丸ごと任せる。彼には最新の医療技術(現代知識による衛生管理)を投入して、健康面もしっかり社内サポート(ケア)するよ」



宇喜多秀家

査定:現状維持、および「海外事業部・先遣隊」への出向。


義弘の解説:

「宇喜多の若造はガッツだけはあるが、ちょっと猪突猛進すぎごわす。国内に置いとくとまた暴発するから、我が島津の海外進出(ルソン貿易)の『切り込み隊長』として一緒に海へ連れて行くが。暴れたいだけ暴れさせてやる!」






【東軍(負け組)のリストラ・事業仕分け】


続いて、秀秋が書類をペラリとめくると、大広間の空気が一瞬で凍りついた。


そこには、青ざめた顔で座っている東軍の大名たちがいた。


「次は、競合他社(徳川)に加担した連中の『事業仕分け』です。基本方針は、能力のある者の『救済(再雇用)』と、有害な老害の『デリート(改易)』です」



黒田長政

査定:筑前博多(福岡)から、出羽国へ左遷(大幅減封)。


秀秋の解説:「小早川(俺)を裏切らせようと、裏でせっせと根回ししてくれた黒田君。君の営業努力は認めるけど、ターゲットの中身が違ったね。情報の解像度が低すぎる。君の調略能力は危険だから、東北の何もない山奥で寒さに震えながら、一から新規開拓(開墾)を頑張って」


長政:「そんな……調略がすべて裏目に出るなんて……っ」



福島正則

査定:改易(お家取り潰し)、ただし「島津軍・特攻部隊長」として再雇用。 


義弘の解説:「福島ぁ! おはんのゴリゴリの戦闘力だけは評価してやるが! 大名としてはお家断絶じゃが、我が島津の『傭兵部門(荒事担当)』の部長として雇ってやる。明日から俺と一緒に海を渡って、南蛮のイカつい奴らと毎日『チェスト』のやり合いじゃ! 嬉しいやろ!」


正則:「う、嬉しくねえぇぇぇ! でも島津あいつらに逆らったら殺されるぅぅぅ!!」




藤堂高虎

査定:現状維持、ただし「建築・土木セクター(インフラ部)」の専門職へ。


輝元の解説:「主君をコロコロ変えるジョブホッパー高虎。政治に関わらせるとまた裏切りするから、大名としての発言権は全部没収。その代わり、お前の『築城スキル(建築デザイン)』は超一流だから、これからの日本全国のインフラ整備(道路・港湾・城郭の近代化)のチーフエンジニアとして死ぬまで現場で働いてもらうよ。職人として生きな」


高虎:「……御意に。現場仕事なら、誰が主君でも関係ありませんな(職人の目)」




「よし、これで全支社のスクラップ&ビルド(戦後処理)は完了だね」


輝元が満足そうに地図を眺める。


徳川という巨大な既得権益が消滅し、日本の土地と人材は、3人の現代知識によって「最も効率的で、最も生産性の高い形」へと完全に再配置された。


不満を持つ大名など、一人もいない。 


なぜなら、文句を言おうにも、正面には怒髪天を衝く島津の狂戦士、横には冷徹なサラリーマン小早川の法理論、後ろには完璧な包囲網を敷く総大将・毛利が控えているのだ。


逆らうこと自体が「無理ゲー」であった。


「戦(内戦)で不毛にポップ(発生)する被害はこれで終わり。明日からは、この最強の布陣で『世界市場グローバル』に殴り込みをかけるよ」 


輝元が宣言し、秀秋が微笑み、義弘がチェストと吼える。


東西の大名たちを完全に統制した3人の転生者は、ついに日本という枠を飛び越え、大航海時代の荒波へとその舵を切るのだった。


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