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特異社会の『傍観者』として  作者: はるぱる
第二章 『伏見稲荷編』
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60話 五葉の異能――陰陽五色・輪廻

残りの澪華と五葉の異能とは――


8月19日  ユニークアクセスが1000人を突破しました〜! ありがとうございます!

それと、50,51,52話を読みやすく修正しました。

――しばらくして、五葉(いつは)と澪華(れいか)が伏見稲荷の前へと到着する。


赤く連なる鳥居の前では、すでに榮(はる)が二人を待っていた。


「榮」


五葉がひらひらと手を上げて、こちらへ駆け足で向かってきた。


「お、来たか」


「待たせちゃった?」


「いや、そんなに」


定型文のようなやり取りを交わしながら、澪華も榮のそばへと歩み寄る。


「みたさんは……?」


「境内の奥にいるよ。蒼真さんも」


「分かりました」


以前と同じよう、あの独特な浮遊感を伴って、三人はそのまま境内の奥へと進んでいく。



◇



雅で心落ち着く日本庭園――とは少し違うけど、似たようなみたの『神域』。


「来たか」


神社の結界からやってきた、三人の姿に気づいたみた。そこには、すでに疲労も抜けて、普段通りの様子で座っている蒼真の姿も。


五葉と澪華は促されて腰を下ろすと、みたは二人をじっと見つめて、


「さて……来て早速じゃが、見せてもらおうかの。お前さんらの『能力』を」


「――」


「……え?」


急な思わぬ要求に、五葉が目をパチクリと丸くする。澪華も同じく、


「私たち……ですか?」


「うむ、そうじゃ」


「ずいぶんと急ですね」


「なに、蒼真にもさっき見せてもらったからの」


まるでお茶でも淹れるかのような気軽さで言う。しかし、その琥珀色の瞳の奥にある光は真剣そのものだ。


「説明だけでは想像が難しかったから、改めて直で見て確かめておきたい」


そこまで黙ってやり取りを見ていた蒼真も、やれやれと肩をすくめて口を挟む。


「俺のときと……同じパターンですね」


「そうじゃ」


「なら……先発は五葉からか?」


「うん……って、え? ちょっと待って?」


先発という蒼真の発言に、五葉がじっと蒼真の方を見据える。


「なんで当然のことのように、私が先?」


「え、いや、俺はさっきもう見せたし……順番的に五葉かなって」


「それなら、先に澪華からでもよくない?」


「……別に、どっちが先でもいいじゃないですか……」


澪華はジト目を向け、冷ややかにため息ながら言い放つ。



(……思わぬところで、謎の押し付け合いが始まってしまった……)



三人の様子を傍観していた榮は、自然にそう思った。


「みたさん……これ、本当に今からするんですか?」


なおも往生際が悪く、少しだけすがるような視線を向ける五葉。


「うむ、やるのじゃ。せっかく全員が揃ったのじゃからな、後回しにする必要がなかろう」


有無を言わせぬその口ぶりに、五葉と澪華は顔を合わせてしまう――。





「じゃあ。私から」


結局、観念した五葉がすくっと立ち上がる。


……これまで、『本当にピンチの際』などに能力を使ったことはあった。でも、誰かに見せるために発動させるのは、これが人生で初めての経験。


「――無理はするでないぞ」


「うん……。すぅ、はぁ……」


みたの優しい言葉にうなずき、ゆっくりと、自身の両手を前へと突き出した。



(出て……お願い…… 暴(・)れ(・)な(・)い(・)で(・)……!)



カチ、と頭の中で何かが噛み合う感覚。 直後、彼女の手のひらの上に、ぽっと小さな『火』が灯った。


「ん……!?」 と、それを見た榮が、驚きに目を見開いて思わず声を漏らす。



(澪華さんの言った通り、五葉はファンタジーみたいな魔法を使えるんだな……)



本当に、これは夢ではないのか――。


小さな火は意思を持つかのようにすぐにふっと消え、今度は――五葉の周囲を鋭い『風』が駆け抜ける。


彼女の綺麗な白髪がふわりと宙に舞い、足元の地面から砂埃が綺麗な円を描くように巻き上がった。


「なるほど、公園のときに使ったのもこれか……」


「うん、そうだよ。あの時はこれを工夫して使ったけど」


続いて、五葉はすっと重心を下げ、姿勢を低くする。


「それから……これは、身体を強くするやつ」 


彼女が脚にぐっと力を込め、トンッと軽く地面を蹴った。


――刹那。 五葉の身体が、まるで弾丸のように一気に前方へと飛び出す。



ドヒュュン――!



「えっ、速っ……!?」 


あまりの速度に、榮は驚愕して辛うじて目で追うのが精一杯というレベル。


だが、澪華やみたは少し唖然とするだけの反応。

彼らはこれが当たり前だと言うのか――。

しかも、あんなに速く動いている五葉の姿を、正確に追ってるし。


当の本人は、凄まじい速度でありながらもどこか楽しげに、神域の中を軽々と疾走していく。



――途中で鋭く方向転換を決めると、そのまま流れるような動きで元の位置へと戻ってきた。


ぴたりと着地した足元から、わずかに砂利が散らばる。


「――うん、こんな感じっ」 


少しだけ息を弾ませながら、五葉は照れくさそうに笑ってみせた。






















星評価もどうぞよろしくお願いします!


投稿頻度は週4です。(日曜日は投稿をお休みします)

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