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特異社会の『傍観者』として  作者: はるぱる
第二章 『伏見稲荷編』
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58話 淡い青色の瑞光

伏見稲荷へ着いて、みたと会う蒼真と榮。その後は――



8月16日 編集済み



「俺、今日ここに来る約束なんてしてましたっけ?」


蒼真が少しばかり抗議するも、みたは何食わぬ顔で彼を見ている。


「しておらぬが」


「……」


「じゃが、わしは待っておった」


「なら、それは遅刻って言わないですよ……」


「まあ、よい」


みたは2人へ手招きし、木の椅子へと促した。


「せっかく来たのじゃ。そこへ座れ」


「はいはい……」


蒼真は頭をさすりながら、隣の榮と並んで腰を下ろす。



――今日も参拝客が多い。鳥居の向こうからは、人々の話し声や足音が絶えず聞こえてくる。



「……ふむ。やはりここで長々と話すのは、あまり良くないの」


みたはくちびるをへの字に曲げ、周囲を一瞥する。


「前と同じじゃ。わしの神域に案内する」


みたが近くの一本の木へ歩み寄り、ごつごつとした幹へ指先をそっと触れた。

すると、木の表面に淡い黄色の光が広がって、空間が揺らぐ。まるで水面に石を落としたように、景色が静かに歪んでいった。


「行くぞおぬしら」



◇



「ここなら、話を聞かれる心配もない」


みたはそう言って、2人を適当な場所へと座らせる。


みたの神域。以前にも訪れた場所だが、改めて見ても美しい。歴史の教科書で見る日本庭園とはどこか異なるが、雅で、不思議と心が落ち着く心地よい空間が広がっていた。

榮はその景色を、感嘆の目で見つめている。


「それで、今日は何の話をするんです?」


蒼真の問いかけに、みたがパッと視線を向けた。


「蒼真」


「はい?」


「お前さん、自分の異能を見せてみよ」


「……今? ていうか、いきなり?」


「そう。今じゃ」


あまりにも唐突な要求に、蒼真は目を丸くし、


「ここで使っていいんですか?」


「構わぬ」


(一体何を考えているんだ……?)


蒼真は不安に駆られた。


いきなり異能を使えと言われても困惑する。が、『神』であるみた様のことだ。きっと何か考えがあるのだろう、と。


「まあ……少しなら別にいいですけど」


口ではそう応じた蒼真だったが、心中は穏やかではない。


彼の異能は、使うだけで体力を根こそぎ持っていかれる。それどころか、最悪の場合は命にすら関わるほどの猛烈な代償があるのだ。


「ほれ」


みたが、どこからともなく取り出した木刀を蒼真に渡す。


「これを使ったほうが、やりやすいじゃろ?」


「……はい」


(もう、やるしかないか……)


覚悟を決めた蒼真が木刀をガチッと掴んで構えた瞬間、その手の周囲に「シュワワワワ――」と淡い青い光が集まり始めた。


「これが……蒼真さんの異能……」


必然的に、榮は息を呑んだ。


以前、澪華さんから『蒼真にも異能がある』と説明は受けていた。しかし、当時は言葉だけだったので想像しづらかった。今、目の前の圧倒的な光景を見て、榮は初めてその力を理解する。


木刀に集中していた青い光は徐々に濃くなり、蒼真の腕へ、そして身体へと流れていく。みたは何かを考えつつ、その様子をじっと見据え続けていた。


「よしよし、なるほど」


「はぁ、はぁ……」


またたく間に、蒼真の顔から余裕が消えていく。だらだらと冷や汗が流れ、呼吸が荒くなっていく。しかし、みたは蒼真を止めようともしない。


「もう、いいですか……? ちょっともう体力が……」


「いいや、まだじゃ」


「へ?」


「もう少しだけ見せてみよ」


(……冗談ですよね、みた様……!)


蒼真の心に焦燥が走る。

自分の異能の代償を知っているはずなのに、なぜやめさせてくれないのか。


「みた様、俺の代償知ってますよね?」


「うむ、知っておる。すまんが今回ばかりは、わしの言うことに従っておくれ」




――さらに時間が経過する。蒼真の呼吸は次第に荒くなり、木刀を握る腕には明らかな疲労と震えが滲んでいた。それでも、彼は必死に異能を維持し続ける。


その様子をしばらく冷徹に見届けていたみただが、蒼真の身体が限界へ近づいたところで、ようやく口を開く。


「もうよいぞ、蒼真」


「……っ! はぁ、はぁ……っ!」


青い光が霧散し、身体から一気に緊張が抜ける――。


「これ……結構きついんですよ……」


「分かっておる」


みたはそう言って、そのまま蒼真の肩へそっと手を置いた。


「少しじっとしておれ。回復させるから」


みたの掌から温かい光が放たれ、蒼真の体へ吸い込まれていく。


「……本当に便利ですね、その力」


蒼真の呼吸が落ち着いていくのを見て、榮もようやくホッと胸を撫で下ろした。

そんなみたは悪戯っぽく微笑んだ。


「神(・)じゃからな」






















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とにかく、皆様からの反応が欲しいです。正直な感想でもいいです。(読みずれぇと思ったとしたら、それも書いていただければ、今後の執筆に生かせるので)

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