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特異社会の『傍観者』として  作者: はるぱる
第二章 『伏見稲荷編』
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51話 殺戮者の企み

51話をお読みいただき、ありがとうございます!


アスピラの五葉に対する目的とは――


五人は輪になるように座り、それぞれが胸に抱えた情報を持ち寄る。


『アスピラ』

『異能』 

そして、この一連の『事件』


これまで散らばっていた点をつなぎ合わせるための話し合いが、静かな伏見稲荷の奥で、静かに始まろうとしていた――。




「まず最初に考えるべきは、なぜアスピラは五葉を先に狙ったのか、じゃ」 


みたの言葉に、全員の視線が五葉へと集まる。


「う……」 と、一斉に注目を浴び、五葉は少し居心地が悪そうに頭をかく。


「私も、それは気になってたんだよね」


「最初に路地裏で会ったときと今日。……一番狙われてたのは私だった」


五葉は小さく息を吐き、自分の両手を見つめる。


「最初に路地裏で会ったときも、今日も……。結局、一番狙われてたのは私だった」


その言葉に、隣にいた榮が深く頷いた。


「確かに……あの住宅街でも、最初に攻撃されたのは五葉だったな。その後のアスピラも、明らかに五葉だけを執拗に追おうとしていた……」


あのアスピラの動きには、明確な『意図』があったはず。そうでなければ、しつこく追う必要がないのだから。


(アスピラ……)


榮の脳裏に、あの時の彼女の異常な執着がよみがえる。


一同が考え込むなか、蒼真がポツリと呟き、


「単純に……一(・)番(・)厄(・)介(・)そ(・)う(・)だ(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)、という可能性もあるんじゃないか?」


うーんと腕を組み、険しい表情で話し続けている。


「しかし、アスピラは五葉の事を何も知らないはず……なのになぜ狙って来たのが、どうにも不可解なんだよな……」


言われてみれば、確かにそうだ。 


アスピラは五葉の名前くらいは知っていたかもしれない。 だが、五葉がどんな人間なのか、ましてやどんな『異能』を持っているのかなど、見当もつかないはずなのだ。


――それなのに、なぜ、初手から執拗に五葉を狙った?


(……いや、待てよ)


脳裏に、自分がアスピラと初めて相対したときの記憶がフラッシュバックする。


(もしアスピラが最初から五葉を認知していたなら……あいつは俺に『あの少女の事を知ってる?』なんて質問はしてこないはずだ)


何か、大きな目的があって狙っている。 いま手元にある情報だけでは、そう結論付けるのが限界……だな。


「まあ、それについてはそのうち分かって来るじゃろ」


と、重苦しくなりかけた空気を、みたの陽気な声がパッと散らした。


「それより、お前さん達に話さなければならぬことがある。今日、実際にあやつ(アスピラ)と相対して、確信したことじゃ」


みたの確(・)信(・)と言う言葉に、蒼真が身をガタッと乗り出す。


「何か分かったんですか……!?」


「蒼真……お前さんから聞いた話を覚えておるか。金髪、声色の特徴、雰囲気。そして人とは明らかに違う気配――」


「はい。全部、あの日話したことです」


「その話を聞いた時点では、半信半疑じゃった。見間違えということも考えられたからのぅ。じゃが今日、実際にあやつと向き合って分かった」


その場の全員がみたへ視線を向け、みたはゆっくりと語り始めた。




「――時は数年前。初詣ということもあって、ここ(伏見稲荷)には参拝客も多く、今のようにとても賑わっておった」


「……じゃがその中に一人だけ、どうしても気になる子がおったのじゃ。年は……そうじゃな、お前さんらよりずっと幼い、小学生くらいの娘じゃったかの」


みたは当時の光景をありありと思い浮かべるように、目を細める。


「髪は黒髪、瞳も黒。見た目だけなら、ごく普通の子どもじゃった」


そこで一度言葉を切り、深く息を吐いて、


「じゃがな……わしの目には、その娘だけがあまりにも異様に映った……」


五葉が不思議と首をかしげた。


「異様、って……?」


「神であるわしから見ても、似つかわしくなく不自然な気配をまとっておった」


「邪悪というわけではなく、殺気でもない。……ただ、その年の子どもが纏うものではない気配だったのを、今でも鮮明に覚えておる」


『神』であるみたに、そこまで言わせるような少女。


少しだけ目を丸くしながら、思わずといった様子で蒼真も質問する。


「その子……一体、何をしに神社まで来ていたんですか?」


「お願い事じゃ。一人で鳥居をくぐり、本殿の前まで来てな。真剣な顔で手を合わせておった。願い事の内容は確か……健康祈願じゃったっけか」


黙って聞いていた澪華も、聞いた事を整理しつつ、おずおずと質問した。


「あの……その子がその……今の、アスピラなのですか?」


「……おそらくその可能性が極めて高い。髪や見た目のことはともかく、あの気(・)配(・)だけは忘れようがないほど強く印象に残ったからの」


「……その時は『毒気』のようなものは感じなかったのだがのう。今のように、人を殺すことを厭わない人間になってしまったのは……何か――誰かが、あの娘を変えてしまったのかもしれんのう」


みたが話し終わった後、誰も次の言葉を発することができなかった。



アスピラ――宝来 愛莉(ほうらい あいり)という女の過去は、自分たちが想像しているものより、複雑なものなのかもしれない――。


















気が向いたら、前回の話などもご覧になってください!


追記 投稿時間が遅れてしまいました。本当にすみません!

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