49話 澪華 方解の瞳――『カルサイト眼』
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警察署に連絡を済ませた後、澪華と榮はとある話をする――
榮と澪華。
二人は警察署での長い説明を終え、ようやく夜の街へと戻ってきた。
現場の正確な場所や、被害者を発見した経緯、そして犯人と思われる人物の特徴。
ただ、『異能』や『みた』という超常的な存在については綺麗に伏せ、現実的な事実だけを警察へ伝えてきたのだ。
ひと仕事終えた二人は、みたに言われた通り伏見稲荷に戻る。その道中で――
「神代君。――何か私に聞きたいことでもありますか?」
「……え」
隣を歩く、急な澪華の問いかけに、不意に情けない声を出してしまう。
「聞きたいこと……どんなことでもいいんですか?」
「はい。私が分かる範囲でなら、なんでも」
澪華のこちらを見透かすような視線を受け止めながら、
「それなら……異能の事について聞きたいです」
一度だけ、五葉に異能のことについては簡略的に教えられたことがある。が、それだけではやっぱり、完全には理解できない。
「襲ってきたアスピラもそうだし、蒼真さんと五葉、みたさん……。それに、あなたの事についても、俺はまだ完全に理解できてません」
「なので、その……包み隠さず教えてほしいです」
「……」
榮の真っ直ぐな問いに、沈黙して立ち止まる。
彼女の美しい黒色の瞳の奥で、どこまで真実を告げるべきか、言葉を慎重に整理しているようだった。
「……そうですね。今のあなたなら、知っておいたほうがいいこともあります」
(どのみち――神代君とは長い付き合いになりそうですし……)
「では、目的地へ着くまでに、私が知っている範囲でお話しします。異能とは何なのか。そして、それを扱う者がどのような存在なのかを――」
――夜道を歩きながら、横並びで話す二人。早速澪華が話し始める。
「まず最初に知ってほしいのは、一口に『異能』と言っても、そこには様々な種類が存在するということです」
――公園で、五葉に異能の種類については教えてもらった事を思い出す。
あの時、火の異能、身体能力強化、水を操る異能とかがあるとか言ってたっけ……
「人それぞれですし、一見同じように能力のように見えても細かな違いがあることも珍しくありません。なので私にも全てはわからないです」
澪華はそう前置きすると、自分の端正な顔立ちの、その『目の近く』へとそっと白い手を当てる。
「私の異能は……目」
「目……?」
思わず、彼女の横顔をちらっと見つめ返した。
「はい」
目の異能。アスピラと初めて出会したとき、澪華が咄嗟に使った――神秘的かつ冷静な銀色の目。あれが――
「正式名称はわかりませんが、五葉がカルサイト眼と名付けてくれたので、私はそう呼んでいます」
カルサイトって、あの衝撃を与えると一方向に割れる鉱物のことか。
澪華さんの目と、一体どんな関係があるんだ……
「この異能の効果としては、片方の目ならば車、両目で低い建物程度なら一瞬で『破壊』できます」
「……」
(え、それってかなり規格外の強さなんじゃ……)
――そこまで話し終えた際、澪華の表情は急に暗く沈んでいった。
「ですが……、この力は万能ではありません。それを使えば、私はそれ相応の『致命的なダメージ』を負うことになるのです」
「ダメージ……? それって、あの路地裏で目から血が流れていた、あの時のことですか? でも、あれはアスピラの毒とかの影響じゃ――」
「あれは、毒のせいではないのです」
(じゃあ、一体……)
「確かにあの時は、毒に侵されていたから目から血が出ていた――そう思うのも無理はありません。けれど、違います」
「アスピラの足元……コンクリートを、私が破壊したときのことです」
コンクリートを破壊したとき――あ、アスピラの気を一時的に引いたときの事か。
「あの時、コンクリートを破壊した瞬間――私の『目』には、言葉では言い表せないほどの凄まじい激痛が走りました。……なので出血は、その反動によるもの……」
「ですから、アスピラの毒の効果で目が出血したわけではないんです。――まあ、私の異能はこんなところですね」
澪華さんの異能は、どんな敵や障害物であっても一瞬で粉砕できる、圧倒的なチート能力。
だがその分、使えば使うほど、自分自身の身体を内側から破壊していく。
(いわば――使うたびに命を削る、完全な『諸刃の剣』ってことか……)
投稿する時間帯がバラバラですみません。




