16話 何度目の再会
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――榮が帰宅すると、祖母が買い物メモを持っている。
「おかえり、榮」
「ただいま」
そしてなぜか、祖母は少し申し訳なさそうな笑顔になり、
「榮、帰ってきて早々悪いんだけど、お買い物をお願いしてもいい?」
「ん、あぁ、いいよ」
祖母から一枚の買い物メモを渡される。
「いつものお野菜と、お肉、牛乳。それとね、この前買ってきてくれたケーキ、とってもおいしかったでしょう?」
「そうだね。確かにおいしかった」
「おじいちゃんも気に入ってたし、また買ってきてもらえたら嬉しいなって」
「分かった。ケーキも買ってくればいいんだね」
榮はメモを受け取り、再び玄関の外へと向かう――。
◇
五葉が家に戻り、一息ついた頃。
澪華は台所でコーヒーを飲んでいた。そこで、ふと視線が机の上に置かれた空箱へ向く。
――五葉のために買ってきたショートケーキ。
さっき、五葉がおいしそうにパクパク食べていた姿を思い出す。そして、数日前に自分も別のケーキ屋で買ったものを、一口だけ食べた時の味が頭をよぎった。
「………」
(たまには、私も。ちょっとくらい、いいですよね)
普段、あまりスイーツを自分から買うことはそうそうない。それでも今食べたくなったのは五葉の影響……そう、五葉の影響。
そう考えつつも、黒い財布を手に取って、玄関の前へ向かう。
「五葉、少し出かけてきます」
「わかったー」
向かう先は、あの個人のケーキ屋――『かみしろ』に似た男、榮に会った場所。
◇
それから、しばらくして。
榮は祖母から預かった買い物袋を片手に、商店街への道を歩いていた。道行く人々の話し声や、自転車が通り過ぎていく音が耳へ頻繁に届いた。
「買い物リスト、もう一度確認するか」
祖母から頼まれた買い物はそんなには多くない。野菜や調味料、豚肉、牛乳それに――
「あのケーキか」
数日前に立ち寄ったケーキ屋を思い浮かべ、小さく笑みを浮かべる。
祖父母が喜んでくれていたのなら、それだけで十分。二人がおいしく食べているところを見ると、何故かと心が落ち着くのだ。
商店街の入口が少しずつ近づいてくる。もう少し歩けば、あのケーキ屋が見えてくるはずだ。
◇
澪華は榮より一足先に、目的のケーキ屋へと到着していた。
以前買いに来た時と同じく、ショーケースのガラス張りの中には、チーズケーキ、ショートケーキ、チョコケーキなど、色とりどりのケーキがズラッと陳列されている。どれも丁寧に飾り付けられ、見ているだけでも食欲を誘われそうだ。
「………」
自分も少しだけ口にした、あの優しくほんのりとした甘さ。その物足りなさを補うためにここへ来たのは間違ってはなかった、と改めて思った。
「どれにしましょうか……どれもおいしそうですし……」
たくさんのケーキを好奇心の目で見渡していると――
カランカラン――
と、小気味よいベルの音が店内へ響いた。
「いらっしゃいませー!」
店員の明るい声が聞こえ、その声に、澪華は何気なくチラッと振り返る。
店へ入ってきたのは、一人の少年。買い物袋を片手に持った、どこか見覚えのある顔立ち。
その少年もまた、店内をスッと見渡したあと、目線の少し先にいた澪華へと目を向けた――。
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