チュバレルワールド2
「好きにならないでって…、そ、そんなこと言われましても…。」
急に恥ずかしくなり、思わず目をそらした。
「君が私を好きでいる限り、私は次の世界─パラレルワールドに移れないんだ。」
「な、なんかすみません…。」
「いやいやいや、謝んないでよ。別に、君からの好意が嫌なわけじゃないからね!?」
「えっ、それって…。」
突然体が傾き、視界が倒れていく。地面が大きく揺れ、思わず姿勢を崩した。
「せ、先輩!これは…。」
「ニヒトスが崩壊を始めたんだ。本来この空間は存在していないものだから、そもそも長くは滞在できないからね。ほら空も壊れ始めてる。」
空は、まるでそこに虚空が生まれるようにパラパラと崩れている。このままではやばい。直感的にもそう分かった。
「ど、どうすれば…。先輩を好きじゃなくなるって…、一体どうやって…。」
地面には亀裂が入り、空は乾いた粘土のように崩れ落ちてくる。先輩はこちらを見ながら微笑んでいる。
「ごめんね。この世界の君とは、お別れだね。」
額に金属の当たる冷たさを感じる。それを拳銃だと認識したとき、すでに意識はなくなっていた。
目が覚めると、俺は自室のベッドで天井を見つめていた。さっきには夢だったのか…。はっきりとした意識でさっきまでのことを思い出す。
「チューバを吹いてて、タイムリープして、パラレルワールドに行く先輩と──俺は、先輩に殺されたのか?」
どこまでが夢でどこからが現実なのか。全部、夢だったのか…?考えをまとめようとしたも、脳が沸騰したかのように泡立ってまるで駄目だった。
逃避するようにスマホを見ると、俺は思わずそのホーム画面を二度見した。五月一日。俺が先輩と初めて出会った日だ。
俺は、またタイムリープしている…!?




