チュバループ2
ー大会当日。
家の地下に眠っていたチューバを背負って、集合場所である大学に向かう。
「あ、来た来たー。今日はよろしくね!」
「ッス。」
「後ろに背負ってるのが例の?」
「ッス。チュバッス。」
「自前のチューバがあるってすごいね!」
「ッス。代々音楽やってて」
『全員集まった?そろそろ会場に向かうよー。』
部長と思わしき人の先導で、俺たちはアメフトの大会が開かれる会場へと移動を開始する。今回の会場は大学から歩いて行ける距離にある。聞いた話によると、吹奏楽部が他の部活動やサークルの応援をするのはこの会場のときくらいらしい。
会場に到着すると、屈強な男たちの中で1人、よく見慣れた男がこちらに向かってくる。
「おう、甲聖。今日は応援よろしく頼むぜ!」
「隆二、お前カードショップよりもここの方が馴染んでるな。」
「そうかそうか、お前も俺のたくましさに気付いたか。」
隆二は得意げに鼻をこすっている。
「そういえば、お前、聞いたぜー。練習、1度も参加してないんだって?大丈夫なのかよ。俺の勝利のファンファーレ、ちゃんと響かせれるんだろうな?」
「何も問題ないよ、譜面は頭に入ってる。それに、入学式で聞いた感じ、ここの吹奏楽部そんな上手くないっぽいし。」
「ふーん。ま、それならいいけどよ。」
「お前は俺の保護者かよ。」
「はは、じゃあ俺、そろそろ行くわ。上手くやれよー。」
ーはぁ。これじゃどっちが応援する側なのか分からんな。
そんなことを思いつつ、俺も吹奏楽部の集団の中に戻り準備を始める。練習に行ってなかったため知らなかったが、彼女の楽器はフルートらしい。
いよいよ演奏が始まる。
隆二には頑張って欲しいし、もちろん応援する気でここに来たのだが、俺の眼は彼女をとらえて離そうとしなかった。
ーいよいよやばいな。そろそろチューバの出番だし演奏に集中しないと。
彼女への意識を完全には消し去ることができないまま、俺はチューバに息を吹き込む。
”ボーーー”
低音が会場に鳴り響く。
「甲聖、今日新弾の発売日だし、オリエンテーション終わったら爆速でカドショ行くぞ。」
「ついに頭がやられたのか隆二。新弾ならこの間オリエンテーションの後買いに行っただろ。それにだいたい今演奏ちゅ・・・ん?」
「は?頭がやられたのはお前のほうだろ。演奏ってなんだよ。シャカパチして目ぇ覚まさせてやる。」
ー痛い。じゃあなんだ?これは夢じゃないのか?それならさっきまでのが夢?いやおかしい。あの時のショットガンシャッフルも死ぬほど痛かった。
ーなるほどな。つまり俺は同じ時間を繰り返してるってことか。




