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シチュバウ

 次の日。オリエンテーションを終えた俺は、再びあの通りに来ていた。サークル勧誘でごった返すあの通りに。今日はこの通りを抜けるのに何分かかるのだろうか。


 1分は経っただろうか。俺は大学の門にいた。隆二がいないだけでここまで違うだろうか。誰一人として俺に話しかけてこなかったのだ。話しかけられると鬱陶しいが、誰からも話しかけられないのはそれはそれで腹が立つ。これを承認欲求というのだろうか。むかついた俺の身体は再び人混みに消えていく。

「吹奏楽サークルでーす。興味ありませんかー?」

 聞き覚えのあるその声に、俺の頬は次第に熱くなる。イライラした俺はあえて奴の近くを通り過ぎる。

ー 昨日はあんなに食い気味に勧誘してきたんだ。今日もまた誘われちまうんだろうな。今日はなんて言って逃げようかな。

「あ、ごめん。」

 次の瞬間俺に向かってきた声は、俺が想像していたのとは異なるものだった。どこかのサークルの人がぶつかってきたのだ。よろけて片膝をついたが、それでもなお俺に声をかける者も俺を見る者もいない。俺1人ではこんなにも存在感がないのだろうか。大学という小さな社会に淘汰された俺は、1人孤独に大学を後にするしかなかった。


 ベッドの上で、今日のことを思い返す。結局のところこの世はルッキズムで溢れているのだ。俺は人間に、世界に失望した。いや、しチュバうした。

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