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チュバループ

 「ループ証明に入ります。」

 やっとのことで勧誘の群れを抜け出せた俺と隆二は、行きつけのカードショップに来ていた。俺が最近使っているのは、先行2ターンキルできるループデッキだ。相手に何もさせずにこちらの長々とした説明をきかせるのはこの上なく気分がいい。

 「では、チュバントドラゴンの効果で、…チュバ…。」

 「甲聖、どうかしたか?お前にダイレクトアタックしてやろうか?」

 「いや、チュバントドラゴンの…チュバ…。」

 「さっきから何なんだ?お前の体でシャカパチするぞ?」

 「ああ、チュバn…チュバ…。」

 「もういい、お前でショットガンシャッフルする。」


 その後のことは記憶になく、目の前に隆二の姿はない。ただ、受験期を共にした英単語帳のような自分の身体をみれば、だいたい察しがつく。

ーなんだよ。カードゲームで負けたからって暴力をふるうとか幼稚すぎるだろ。

 俺は一人孤独に家路につく。その間も常に頭の中には彼女がいた。俺はあの一瞬でどれほどの嫌悪感を抱いてしまったというのだろうか。

 

 意外かもしれないが、俺はこれまでの人生で人を嫌いになったことが無い。もちろん好きになったこともないのだが…。理解できない人はいる。幼稚だなと思う人もいる。だが、価値観が違う他人であることを加味すればそれは当然のことであり、俺はそんな些細なことを気にするほど器の小さい男ではないのだ。それなのに、気がつくと頭に彼女の顔が浮かんでおり、その度に心拍数は上がり身体が悲鳴をあげるのだ。ここまで他人のことを意識したのは初めてであり、嫌悪感の研究対象として俺は彼女に興味がわいてきた。

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