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チュバらしい恋

ー大学デビューなんて馬鹿馬鹿しい。


 忌々しい受験勉強から解放され大学生になると、周りは青やら金やらに染めたりパーマをかけて遊ばせてみたりと着飾るのに必死な輩ばかりだ。


ーいくら見繕っても人の本質なんて変わらないのに何がしたいのだろうか。


 世の中には絶対に理解できない人間というのがいると思う。というか俺からすればそんな奴ばっかりだ。きっと根本的な考え方が全く違うのだと思う。だから他人のことなんて考えるのは時間の無駄でしかない。というのが18年少々生きてきてたどり着いた一つの結論である。

 そう、他人のことなんか考えても仕方がない。そんなことより今は、今日発売のカードゲームの新弾を買うためにいち早くカードショップに向かわなければならないのだ。


 なのだが、


「君、がたいいいね!何かスポーツとかやってたの?」

 

 またどこかのサークルが勧誘目的で声をかけてきた。もちろん目当ては俺ではない。隣にいる男、朝比奈隆二。俺と同じカードゲーマーであり、元々身長が高かったのもあるが、高校3年間のラグビー部での活動により100kg近くまで体重も増え、人ごみの中でもよく目立つ。


「あ、ラグビーやってました。」

「なるほどね。え、じゃあさ、アメフトとか興味あったりしない?」

「いやー、興味はあるっすけど…。暇があったら見学行きます。」

「絶対来てね!隣の君も!」

「え。」


ーこういうとってつけたような配慮がかえって人を傷つけると分からないのだろうか。俺のことなんて放っておいてくれればいいのに。


「ちなみに君は?高校時代何してたの?」

「吹奏楽部です。」


 その時だった。


「え!今吹奏楽部って言ったよね!」

「は、はい…。」


 近くにいたと思われる知らない女の人が割り込んできた。


「え!楽器は?楽器は何してたの?」

「チュー…バ…。」

「ん?何て?」

「チュバ…。」


 おかしい。動悸が治まらない。言葉がうまく出てこない。そして何より、彼女の顔をまともに見ることができない。


ーそうか。分かった。彼女は俺にとって全く理解ができない人間なのだ。だから、俺の身体が彼女に対して拒絶反応を示しているのだ。

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