助太チュバ
「りゅ、隆二!ちょっと来てくれ!」
後ろに座る隆二の腕を引く俺。退屈な話で飢えた周囲の視線を集めたのは言うまでもない。
「ちょ、お前何やってんだよ!?」
「いいから!お前が先輩だってことは分かってんだよ!」
「先輩?どういうことだ?何言ってんだ!?」
「な、お前、先輩じゃないのか…!?」
「そこの君!!何をやっているんだ!?」
先生の怒号が聞こえる。あぁ、めんどくさい。
「おい!?ちょっと!」
制止を無視し、俺は体育館を飛び出した──。
「……ここまで来れば大丈夫か。」
オリエンテーションを飛び出すなんて不良みたいだ…。まぁ、何度も聞いた話だからいいか。
あれは、一体何なんだろうか。
先輩を何度も殺した黒い物体──影のようなあれは。
影が現れてから、ループのスタート地点も変わった。以前までオリエンテーションの日の朝だったのが、オリエンテーションの始まりになっている。
俺は──先輩を好きになってはいけないのか…?
「ねぇ、お兄ちゃん。」
服の裾が引っ張られ、声の主に目を向けると、俺の腰よりも小さい男の子が立っていた。ここは大学のキャンパスだ。こんな小さい子がいるはずないが…、なぜか俺はこの子を見るのが初めてではないような気がした。
「ど、どうしたの?誰かの弟君かな?たしかあっちに事務室が…。」
「ぼく、わからないよ。どうしてなの?お兄ちゃん。」
「大丈夫?何が分からないの?」
「わからない、わからない、わからなぃ、ゎからなぃ、ゎ嘉ラなぃ、ヮ嘉ラ峨ィ、繧嘉°ㇻ峨↑ィ、繧上°繧峨↑縺、繧上°繧峨↑縺、繧上°繧峨↑縺。」
俯きながら意味の分からない言葉を繰り返す男の子を見て、俺は思わず後ずさりした。
その小さな体が、影が伸びるように大きくなるのを、俺は茫然と見ていた。
「遘√?蜷帙□。」
その男の子──影がこちらを見た時、俺はようやく気が付いた。
「お前は、俺なのか。」
そう理解したとき、影の手は胸元まで迫っていた。
「ふんっ。」
目の前に振り下ろされた何かが、影の手を切り落とした。真っ黒な影と対比するように、見慣れた人が燦爛とそこに立っていた。
「せ、先生!?」




