デチュバ
「え。」
血まみれになって目の前で倒れる先輩。周囲で悲鳴をあげる人々。そして、さっき先輩の肩越しに見えた真っ黒な人の形をした物体。
グシャッ。
「うわっ!あれ?俺、生きてる・・・。」
「ゴホンッ。説明の途中にもかかわらず居眠りをしていた人がいるようだね。君、名前は?」
「あ、松ノ上甲聖です。すみませんでした。」
「松ノ上君だね。講義が始まるのを楽しみにしているよ。」
ーこの講義室、あの嫌味な先生。間違いない。今はオリエンテーションの最中だ。起点が違う。これは今までのループとは違う。じゃああれは本当に夢だったのか?
夢にしては目にリアルに焼き付いてる光景。甲聖のなかで何かが引っかかっていた。
オリエンテーションが終わり、甲聖はあの通りへ急ぐが、いつもの場所に先輩はいない。
「お、いたいた。おいこうせー置いていくなよなー。てかなに、お前めっちゃ注目されてんじゃん。」
聞いたことのあるセリフ。
「りゅ、隆二。」
「おいどうかしたのか?お前顔真っ青だぞ。」
これも聞いた。
「も、もしかして先輩ですか?」
隆二の顔が風船のように膨らむ。
パンッ!!
先輩の後ろに見える見覚えのある黒い物体。
「あれ?何で分かったの?これ、まだ見せたことないよね?」
ーやめてくれ。
「おーい。先輩を無視とは感心しないなー。」
グシャッ。
グシャッ。
弾けるような音が2つ。
「先輩ッ。」
立ち上がって手を伸ばしていた。
「ゴホンッ。私は君の先輩ではないが、私の説明は涙が出るほどに素晴らしかったかね?」




