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ファンタジークエスト  作者: 里山
三章 はじまりは唐突に

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くえすと45 番外編 とある日の話

また過去話です


「はぁ……今日もお客さん来ないなぁ」

 久しぶりにお店のカウンターで気分転換に店番をしてみたがココ何日もプレイヤーのお客さんは着ていない。ただこの世界から出られなくなりお店にずっといて気づいたのだけどNPCのお客さんが偶にやってくる。こんな風になる前までは普通に戦闘もこなせていた為店を空けることが多かった為――ただの人見知り対策ともいうのですが――接客用のNPCを雇って店番をしてもらっていたので気付かなかっただけかも知れないですが、どうやらNPCも料理や簡単な狩りで武器や包丁などを消耗する様子で簡単な整備やお買い物に着ているみたいです。

 前もそう言った手入れの以来は着ていたみたいだけど間にNPCの売り子が入っていたので普通にプレイヤーが持ち込んでいると思っていたけどどうやら違ったみたいです。


「……ああいうのもクエストになるのかな?」

 一応NPCからの頼まれもので料金も発生しているのでゲーム的に言うとクエストになるのかもしれない。だけどそう考えるとリアルの仕事も基本はクエストと似たりよったりなのかもしれない。ただ難易度がハードだったりするけど。と個人的に人生ハードモードな私はひとり思う。

 

 リアルでもぱっとしない私はそんな事を思いつつボケーッとお店の棚を眺める。そこにはここ数日かけて造った弓と杖と薙刀が並んでいる。

「自分で造っておいてなんだけど……弓って綺麗ね」

 あの日頼まれた弓と杖と薙刀、杖と薙刀は既に製作レベルがかなり高かったので聞いていたステータスで使える最高のものをすぐに作ることが出来た。だから残りの日数を全て弓制作のレベルアップとこの弓の製造に費やスことができた。

 その弓は持ち主になるはずのあの子の白銀の髪のようなプラチナ色の美しいコンパウンドボウだった。

「造るまでは知らなかったけど……弓ってこんなに機械的なものもあるんだ」

 

 ホント綺麗だなぁ。

 元々何かを造ったりすることが好きだった私はリアルでも開発系のお仕事をしている……でも最近の世の中は何かにつけて“売れる前提のもの”しか作らないからあまり私の好きな物は造れない。私の好きなものとはどういうものかというと“それだけのための物”つまり専用品というか何というか“何かに特化した物”が私は大好きだった。何故なら美しいから。無駄のない洗練されたフォルム、その中に垣間見える製作者の意思。そういったものが私は好きだった。


 つまるところ私は“武器”も大好きなの……。ふふふふふ……。と若干トリップしていると。

「こんにちは~リオさんのお店ってココですか~?」

 そんな声を上げつつ一人のプレイヤーがお店に入ってきた。そのプレイヤーはパッと見た感じ山賊だった……。なのでわたしは。

「…………」

 返事もせずにバタバタと店の奥に引っ込んだ。

「いきなり無言で店の奥に入られるような事した覚えがないんだけど……酷くね?」

 何やらそんな事を言いながらしょんぼりしている山賊風の男にわたしは壁のはじから顔を覗かせ問いただす。

「……た、たしかにわたしがリ、リオですけど。あ、あなただれですか? なんで私の名前知ってるんですか……」

「あ~ごめんごめん、俺はアックス。アックス・フォレストって言って、え~とリリィから聞いてない?」

 とその山賊は名乗った……あ、そう言えば「パッと見アレなおっさんが二、三十分後にそっち行きますから~」ってチャットが来たっけ……。

「あ、はい……聞いてます。じゃ、じゃあ、あなたがギルドマスターさんですか?」

「一応」

 そう答える山賊改めアックスさんを壁に隠れつつジーっと見てみいると何故か苦笑された。

「な、何がおかしいんですか……」

「いやその昔そんな風にしてる奴がいたからちょっと思い出してただけ」

「そ、そうですか……」

 何かを懐かしむような顔でそういうアックスさんに私は何か懐かしさを覚え記憶を探るがアックスさんの言葉に現実に引き戻される。

「それで早速なんだけどギルド申請だすね」

 そんな言葉と同時に視界に『ギルド〈The Light Stuff〉から加入要請がきています。加入しますか?Yes/No』というシステムメッセージが表示された、のだけど。

「あ、あのう。これ綴り間違ってないですか?」

 そう正確には“The Right Stuff”のはず。

「ん? あぁこれであってるんだよ。俺達にはそんな資質なんてないからな」

 と肩をすくませ答えるアックスさん。

「それに俺達にはこれくらいがちょうどいいしさ」

 そんな言葉にリリィさんたちを思い出す……確かに合っているのかもしれないな……でも私は。

「で、でも私そんなに明るくないし……」

 そう私はこんなだし……。と俯く私に。

「明るい? ……あ、そっちか、あーそっちも確かにダジャレ的に含んでたけどこれ“軽い人々”って意味だから」

「そ、そうなんですか……でもそれだとますます私は合わないような気が」

「大丈夫だって色々考えちゃうのはみんな一緒だしそんなに重く考えないでそれこそかるーく行こうよ」

 アックスさんはそう微笑みながら言ってくれる……。その笑顔から視線を外ししばし俯きながら色々と考え決断する。

「わ、わかりました、よろしくお願いします」

 私はそう言いながらyesボタンをタップする。と目の前に『ギルド〈The Light Stuff〉に加入しました』とシステムメッセージが出たと思ったら。

[お、リオさんあらためてよろしくねー]

[あらためてよろしくお願いするわねリオさん]

[よろしくお願いしますねリオさん]

[リオよろしくね]

 そんな声が頭の中に響く。その声に私は

[よ、よろしくお願いします]

 なんとかそう答えることができた。


 




 今日も私は一人工房に篭っている。

 工房に響くのは私が道具を振るう音だけ。

 今までと一緒私は一人。

 ただ違うのは。

[ちょっとシオンそこじゃまー]

[今詠唱中よ動けるわけ無いでしょっ!]

[そこはアレよ、私ごと撃ちなさい! とか言うところじゃなくて? 中二病的に]

[だから私は中二病とか言うのじゃないって言ってるでしょっ!]

 なぜかたまにギルドチャットからそんな声が聞こえてきたりする……なぜパーティチャットで話さないのかはわからないけど昔からラジオを聞きながら勉強したりしていた私としては昼はともかくこっちの世界のあまりにも静かな夜は少し苦手だったのでちょうど良いBGMになっている。


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