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ファンタジークエスト  作者: 里山
三章 はじまりは唐突に

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48/52

くえすと43 NPC のんぷれいやーきゃらくたー

三ヶ月あいちゃったのでコレまでのあらすじ!



前二話くらいを読めば何となくわかるよ!






 俺達は昼飯も食べ終わり海岸線から街道に戻りのんびりと西に向かって歩いていると遥か彼方にキラキラと光を反射する塔が見え始める。

「お、リリィ念願のクリスタルタワーが見えてきたぞ」

「やっと念願の……いや別にそこまで行きたいとは言ってなかったような?」

 そんな俺の言葉に小首を傾げるリリィをよそに。

「やっぱり綺麗ね」

「ええ、綺麗ですね」

「周りに高い建物が無いとこんなに印象が違うものなのね」

 シオン、イノリ、ラピスは三者三様の言葉を発しつつキラキラと煌めくタワーを眺めている。



 『クリスタルタワー』リアルで言うところの福岡タワーは高さは二四〇メートルなのでそれほど高くはない、リアルだとマンションなどで視界が遮られて余り遠くからは見えなかったりする。だがしかしこっちの世界だと遮るものは全くといっていいほど無くかなり遠くからでも太陽光をキラキラと反射する姿が見て取れる。ただその素材はリアルと違ってハーフミラーではなくクリスタルになっている。



「まあ、まだつくまでに結構あるけどな」

「だねぇ、まあのんびり行こうよ」

「そうね、急いでもそんなに事態が好転する訳ではないものね」

「私もゆっくりでいいわよ」

 と最近何やら素直になってきたシオンがそんな事を言う。


 それから数時間街道沿いをあっちこっち見て回りつつNPCに色々と話しを聞きながら旅を続ける俺達だが最近気になっていることが改めて浮き彫りになってくる。

「なあNPCの反応がおかしくないか?」

 そんな俺の声に。

「そうなの? VRMMORPGはちゃんとやったことなかったからこういう物だと思ってたのだけど」

 VR自体には慣れてるがVRMMORPG自体は初体験のラピスがそんな答えをし。

「言われてみると何か前とは違うような」

 サービス開始からやってはいるが余り街などに行かなかったらしいシオンはそう答え。

「段々と私達人間に近い受け答えに成って来ているような気がします」

 何やら心配気の妹はそんな事を言い。。

「そう言えば前から思ってたけどたまに尋ねた事より多い情報くれたりなんか不思議な答だったりすることが増えたかな」

 リリィはそんな事を言い出した。

「例えばどんなのだ」

「え? ん~っと美味しいお店を聞いたら、あっちのお店はなになにが美味しくてこっちのお店はアレが美味しいとか、あとは前に来た冒険者の人はあっちのお店が美味しいって言ってたよ~とか」

「……なんだそれ、もう人間じゃないか」

 う~んと思い出しながらそんなことを言うリリィの言葉に俺は困惑の言葉を漏らす。

「私達はあまり話しかけませんからね兄さん」

「あぁゲームに慣れすぎててクエスト関係のNPC以外は話しかけても得られる情報があまりないって思い込んでるからな」

「ですね、コレはもうちょっとNPCの方々とお話してみるのもいいかもしれません」

 そんなラブリーシスターの声に答えるように。

「つまり、街だな」

 何やら真剣な顔でそんな事を言うリリィ……。

「まあそうだけど……もうお腹すいたのか?」

「私を舐めるなよ?」

 そんなセリフを何やらイケメンっぽい決め顔で言ってるつもりなリリィだがどっちかというと彦○呂の決め顔にしか見えない。まあスクショでも撮ってここだけ見ればすごい美形のエルフが決め顔してるように見えるわけだけど。

「だいたい何でそんなに腹減るんだよ普通に歩いてるだけだろ? そんなに戦闘もしてないし」

「それに戦闘になっても私と一緒であんまり動かないじゃない」

 戦闘中大体リリィと一緒にいるシオンがそんなことを言う。

「ん~アレのせいかな」

 と何やらいうリリィを。

「どれのせいなのかしら?」

 そうラピスが促すと。

「私って暇な時ずっと〈ホークアイ〉使いっぱなしなんだよね」

「……何やってるのよ貴方」

 リリィの返答を聞いたラピスが呆れ顔でそんな事を言う。

「え、いやレベル上げも兼ねて普段から使ってたほうが違和感なく使えるしさ」

「でもアレって確かパッシブスキル扱いだろ? ならスタミナとも関係ないしそれで腹減るとは思えないんだけど」

「そうなんだよね、でも他に思い当たる物もないんだよねぇ」

 そう小首をひねって考えるリリィだが面倒くさくなったのか。

「まいっか、お腹が減るんだからしょうがないよ。幸いこの世界はいっぱい食べても胃もたれもしないしお肉もつかないしね」

 何やら勝手に納得して街に向かって歩き続けるリリィの後を四人と一匹はやれやれと言った感じでついていく。





 歩いていた場所的にハカタの街は少し距離があったのでリアルではアイランドシティがある辺りに存在する漁村に私達一行は夕暮れ時に到着しました。

「船がいっぱいだね~」

 リリィさんがいくつも並ぶ漁船を眺めながらそんな声を上げている。

「リアルだと陸路でココらへんとあそこ辺りが繋がってるんだけどコッチは繋がってないから何するにしても船がいるっぽいからな」

「へ~そうなんだ~」

「お、ちょうどいい所にNPC発見色々と聞いてみるか」

 何やら対岸ちょうどNPCの漁師のおじいさんさんが一人漁の道具を手入れしていたので兄さんがお話を聞きに行きます。

「すみませ~ん」

「おう、なんじゃお前ら」

「俺達旅の冒険者なんですが最近この辺りで見慣れない冒険者を見ませんでした?」

 兄さん冒険者は皆見慣れないと思うんですが……。と私達が呆れ顔で眺める中会話は進んでいます。

「ふむ、最近は見ないな、少し前なら結構見たんじゃが、何でも金印島で大きな戦いがあるって言っておったが」

「あ~アレならもう終わりました」

「なんと、じゃあこの間の雷はやはりそのせいか」

 そんな言葉にシオンさんが自慢げに。

「そうよ、凄かったでしょう?」

 そんなことを言いますが。

「ああ凄いなんてもんじゃなかった。海は荒れて漁には出れんし音はうるさいしで大変じゃった」

 そんな言葉にシオンさんは。

「そ、その雷の後からはあんまり冒険者は来てないのね?」

 あたふたと話の方向を変えようとし始めました。

「う~んそうじゃのう、普段道理たまにお前さんたちのようなのが来るくらいかのう」

「そうですか。……わかりましたありがとうございます。それじゃあ俺達もう行きますね」

「おう、宿を探しとるんじゃったらその道を真っすぐ行ったところにある宿がおすすめじゃぞ、わしの採った魚が料理で出てくるからのう」

 そんな言葉に若干言葉に詰まりながら兄さんがお礼の返事を返す。

「あ、ありがとうございます。行ってみますね、それじゃあ」

 そう言って歩き出す兄さんの後を追って私達もおじいさんに各人バラバラの挨拶をして歩き出す。おじいさんに教えてもらった宿屋さんに向かいながら私達は先程の会話について色々と考えてみる。

「取り敢えずはアッチの奴らは来てないみたいだな」

「そうですね、後はお買い物の時にでも聞いてみましょう。それにしても凄いですね」

「本当の人間と会話してるのと変わらないなアレは」

「そうなの? 皆あんな感じだと思ってたわ、だってほらアックスも会ったでしょ最西の村のシスター」

 ラピスにそう言われ思い出してみると確かにあのシスターの受け答えも柔軟だったな。

「言われてみるとそうなんだよなぁ、あのシスターも凄い人間っぽかったんだよなぁ。あの時は制作陣が訳の解らないこだわりであんな感じになってるのかと思ってたけど」

「もっとちゃんとNPCの方々とお話した方がいいのかもしれませんね」

「ふむ、宿屋の人にも色々聞いてみるか」

 その時ちょうど通りを歩く私達の前に宿屋の看板が見えてきました。


「ここかな? こんばんは~」

 いかにもな両開きの木戸を開けながら兄さんが挨拶をすると。

「は~い、いらっしゃいませ~」

 そんな声とともにトテトテと一四~一五歳くらいの女の子がやって来ました。背丈はシオンさんより低く一四〇センチ位で腰まで在るくせっ毛をおっきな三つ編みにした赤茶色の髪が印象的ないかにも田舎の幼馴染キャラと言う感じです。

「お泊りですか?」

「はい、泊まりで五人と一匹でお願いします」

「はい、五人と…いっぴき?」

 台帳に記入しつつ首を傾げる店員さんに。

「あ、この子なんですけど」

 最後尾に居たシオンさんがクリスの頭を撫でながらそう言い。

「がう」

 とクリスが挨拶のつもりかひと吠えした所。

「ひゃあっ! ダ、ダイアウルフ!」

 と二、三歩後ずさる店員さんに。

「いやクリスは犬だよ」

 そんなリリィさんのツッコミが入ります……あのリリィさん問題はソコではないような気がするんですが、と残りの四人が呆れつつ。

「あ~こいつはテイミングモンスターなので大丈夫ですよ」

 そんな兄さんの説明に一瞬戸惑いながらも。

「へ? て、ていみんぐもんすたー? ……あっ! 聞いたことあります。そうでしたか、いやぁびっくりしました」

 なんとか理解を得られました。が、NPCなのにシステム的なことを知らないなんてことあるのでしょうか?

 その後は問題なく宿泊の手続きを終え部屋に向かおうとした所。

「はいお待たせいたしました、お部屋は三階になります。こちらが鍵となっております。それと晩御飯はどちらでお召し上がりになりますか? お部屋にお持ちできますけど」

 その声に皆さんの“どうするの?”と言う視線が兄さんに向けられその兄さんは。

「じゃあ部屋で食べようかな」

「はい、ではお部屋にメニューがございますのでお決まりになりましたらご連絡下さい」

「はい」

 そう答える兄さんの後ろで“ご連絡?”と首をひねる私達を置いて兄さんはスタスタと歩き出したので慌てて追いかける。

「兄さん“ご連絡”ってどうするんですか」

 兄さんに追いつき横に並びながら小声でそう問いかける。

「ん? オプションメニューじゃないの?」

「……でも今まで連絡をしてくださいとか言われたことないですよ?」

「そういえばそうだな。まあ部屋についてから考えよう」

 そう言うと兄さんは私の頭をポンポンと軽く叩きいつもの様に“兄ちゃんに任せとけ”と言う顔をしながら階段を登り始める。





「ここかな?」

 そう言いながらアックスが受付で貰った鍵を使いドアを開けると。良くあるログハウスのような中身と言うか。

「何となく漁村って感じだけど基本はレンタル小屋と似たような感じだね」

 と部屋の中を見たリリィが言う。私も中を見てみたところリリィの言う通り何時もアックスが使っているレンタルハウスと一緒だった。

「まあ特色を出そうとしても魚だもんねー」

「取り敢えずオプションメニューで寝室の設定をしちゃいますね」

 イノリがそう言いながらメニュー画面を開きポチポチと部屋の設定を変えていくのを横目に私はクリスと一緒にテラスに出る。この部屋でぱっと見でレンタルハウスと違うのがこのテラスだ。ドアのちょうど反対側に設けられたこのテラスからは夕暮れの港に並び漁船とその先に見えるハカタ湾、更にその先に日が暮れてうっすらと影が見える程度だが金印島が見える。

 その光景を手すりに寄りかかりながら見ているとクリスも手すりに前足を置いて器用に眺めだす。

「ふふ、綺麗ね」

「わふ」

 そんな風にゆったりとしている私の背後では。


「ね~アックス~ご~は~ん~」

「あーはいはい、わかったからってあれ? オプションメニューにご飯載ってないぞ?」

「それなんだけど……アックスこんな物を見つけたわ」

「メニューですね、でもタップしても注文できたようには見えないですね」

「ご~は~……ん?」

「なんだ腹減り過ぎて死んだか?」

「いや、アックスコレ何? どっかで見たことあるんだけど」

「ん~どれどれ……あ、えっと俺も見たことあるなんだっけ? 確か古い漫画とかに出てくる」

「電話じゃないの。凄いアンティークね」

「え? これが電話なんですか? 凄いですね兄さん電話ってこんなに大きい物なのですか」

「俺も漫画とかアニメでしか見たこと無いからもうちょい小さいもんだと思ってた」

「うちの別荘に置いてあるのに似てるから多分そうだと思うけど。たしかコレが受話器とか言うマイクとスピーカーがついてる所よ、ほら取れた……このコードは何かしら?」

「……電源じゃないのかな?」

「リリィここはゲームの中なのよ? 電気はいらないでしょ」

「ほ、ほらデザイン的に?」

「……ありえるわね」

 と、何やらうるさいのでクリスと一緒に部屋に戻り一言。

「ちょっと五月蠅いわよ折角風景を楽しんでるのにたかが電話ごときで邪魔しないでよ」

 ズビシッと指差しそう言い放つと一同は一瞬の静寂を得る。が「そんな事言っても~」などとぶつくさ言ってるので。

「あ~もうわかったわよ。それで、電話ってどれよ」

 金髪掻きあげけそう言った私に。

「はい、これが多分話すトコ」

「ってデカッ! おもっ! なにこれふざけてるのこんなの持って話してたら腕がしびれるじゃない!」

「……シオン五月蠅いよ」

 何やらしかめっ面で言うリリィ。

「騒々しいわね」

 呆れ顔で言い捨てるラピス。

「確かに一番うるさいな」

 苦笑しながらアックス。

「……」

 なんとも言えない表情のイノリ。そんななんとも言えない視線から逃げるように私は話を強引に進める。

「……こほん、取り敢えずご飯の注文しましょう。それでどうやってコレは使うの?」

 見たところホロメニューも何も出ていないしボタンも何もついてない、それにこのコードは確かになんなんだろう? こんなの付いていたら邪魔でしょうがない、とコードの先の本体? を触りまくっていたリリィが。

「おおう? ここの数字が書いてあるダイヤルっぽいの回るよ?」

「あ、そういえば昔の映画でそれを回して通話していましたね」

「つまりコレがテンキーね……でどうすればいいの?」

「お? ここにフロントは0番って書いてあるぞ」

「ゼロね、えっと指を差し込んでこうやって……どうするの?」

 じーーーーっと右のストッパーまでダイヤルを回したところで聞いてみる。

「たしか離せば良かったかと」

 イノリの言葉に離してみる。

 ころころころころ。元の位置にダイヤルが戻ると。

 プルルルルプルルルル。

「何かぷるるるって鳴ってるわ」

 普通何かしろの音楽が流れるんじゃないの?

「映画とかでもそんなだったような」

 その時スピーカー? からガチャッと言う音と共に。

[はいフロントです。いかがされましたか?]

 そんな声が聞こえてくる。

「あ、あの……」

 マイク部分? を塞ぎ私は皆に問う。

「で、ご飯何食べるの?」

「「「「あ!」」」」

 どうやらまだ決めていなかったらしく慌ててメニューをめくりリリィが読み上げる物を私がフロントに伝えると。

[え、えっと少し量が多いので三十分位かかりますがよろしいですか?]

 そんな事を言われたがどうしようもないので。

「はい大丈夫です」

 そう言って通話を終わろうとして……。

「これどうやって切ればいいの?」

 マイク部分を抑えながら周りに聞いてみる。

「ここに戻せばいいはずですよ」

 言われた場所にそっと置くと、チンッと言う鈴の音のような音がした。

「ふう。通話一つで冷汗かいたわ」

 そんな私の呟きに何かを閃いたのかクワッと目を見開き拳を握りしめリリィが叫ぶ。

「はッ! そうか“電話”で“通話”するから“電話する”なのね!」

 真剣な顔でそんな事を言うリリィにわたし達四人は揃ってため息をついていた。






「ふぅ、気持ちのいいものね」

 そんなラピスの艶のある声がうっすらと雲が浮かぶ薄闇の空に消えていく。


 料理が来るまでの間やることもない私達はイノリさんの「お風呂入りたいです」と言う言葉に一も二も無く賛成し、まあ極一名「あーとーでーいーいーうーごーきーたーくーなーいー」なんて言ってたけれどクリスに無理やり載せて連れてきた。

 そんな妖怪食っちゃ寝は今は湯船にぷかりと浮かび漂っている。

「それにしても眺めがいいな。ほらラピスも見ろよクリスタルタワーも見えるぜ」

 とアックスがラピスに言う。何故アックスが一緒にお風呂に入ってるかって? ここが混浴露天風呂だからよ。まあ流石に水着着用だけれども。部屋にも一応お風呂は付いていたのだけど露天風呂がこの時間まで混浴でその後は男湯、そして朝に成らないと女湯にならないようなので一回入ってみようということになり露天風呂に来てみたけれど思いのほか気持ちがいいものね。リアルでではあんまり露天風呂というものに入ったことがないから綺麗な夜景を見ながらお風呂に入ると言う物が新鮮に思える。その昔は大自然の中裸で入っていたらしいが今の世の中ドコから盗撮されるか解った物ではないのでめっきり露天風呂というものは減ってしまっている。在ったとしても全周をミラーで覆って外からは見えないようにしているので果たしてそれは露天風呂なのか? と言う代物になってしまっているしそこまでやっても盗撮しようと思えば出来てしまうのが今の世の中なのよね。

 などといろいろ考えていたところ。

「貴方この状況で何故景色ばかり見てるの?」

 ラピスが何やら言っている。

「え、何故って、露天風呂で他に何見るんだ?」

 何言ってるのお前? と言った表情でそんな返事を返すアックス。

「普通ここは私達の水着姿を食い入る様に見て“この変態っ!”とかイノリさんに“兄さんエッチなのはいけないと思います”とか言われるシーンじゃないのかしら?」

「おーそういえばそんな感じか、これは失礼を……んーでもなぁ俺あんまり水着は萌えないんだよな」

「あーそうだよねーアックスってパンチラは好きだけどパンモロは駄目だしねー」

「そうそう」

 紺の大人しめのワンピースの水着と言うか名前が入ってないスクール水着を着てぷかぷかと漂いながらそんな事を言うリリィの言葉に、うんうんと頷くアックス。変なこだわりね。

「それに水着はイノリので見慣れてるしな」

「兄さん何か誤解を招きそうなので余りそういうことは言わないで下さい」

 緋色と白が絶妙に交じり合う競泳水着のようなワンピースの水着を着たイノリが口をとがらせ、むーっとした表情でアックスに文句を言う。ちなみにこの水着はこの宿の売店で売っていた物で試着の際に何故かアックスが選んで買ってあげていた。ホントに妹に甘いわね。ちなみに少し前のアップデートでパーティーメンバーに異性がいるとその人にプレゼントする名目で買い物をする時に異性の服が閲覧できるように成ったらしい。元から異性の服なんて見ようと思わなかったからどうでもいいんだけど。

「え? そうなの?」

「そうね確かに傍から聞いてるとどんな兄妹なの? って感じね」

 湯船の中でおすわりしてぼへ~っとしてるクリスに寄りかかり金色の髪を湯船に漂わせ流石に金はなかったから黄色のワンピースの水着を着た私がそう追い打ちを掛ける。

「ふ~ん、そんなもんなのか~まあ他の兄妹の事はよく解んないしうちは昔っからそんな感じだしな」

 そんな言葉に私とラピスは“どんな感じなのよ”と言っった感じでイノリは呆れた感じでアックスに視線を投げかけその横でリリィは相変わらずぷかぷかと浮かんでいた。


 

 

 

 露天風呂を堪能した私達は頃合いを見て部屋まで戻ると。

「わぁっすっごい!」

 ご飯を目指して我先にと部屋のドアを開けたリリィさんがそう叫びつつ部屋の中へと突進していきました。それに苦笑しつつ私達も部屋の中に入るとそこには鯛やヒラメの舞い踊りとはこう云う物だと言わんばかりの海の幸が並んでいました。

「あら、コレはほんとに凄いわね」

 そしてラピスさんもそんな感想を漏らす。その横ではシオンさんがクリス用に作られた魚介盛り合わせを見て。

「よかったわね」

 と尻尾を振って喜んでいるクリスの頭を撫でていた。



「それじゃあ早速いただきま~っす!」

 各自席に座った瞬間待ってましたとばかりにリリィさんが高らかに声を発しソレにつられて私達も。

「「「「いただきます」」」」「がう」

 と言う声とともに料理を口に運び始め。

「ウマイなコレ」

「ホント凄いわね」

「このマグロっぽい赤身は何でしょうね? 味もマグロみたいですけど」

「マグロじゃないのか?」

「ん~昔見たデータベースにはマグロっぽい魚は載ってなかったような気がするのですが」

「あれじゃね、こないだのアプデで追加されたとか」

「やっぱりソレですかねぇ、だとすると他の物も色々と追加されてるということですよね」

「だろうな」

「と言うことは武器素材もでしょうか」

「あーそっか……多分追加されてるだろうなぁこの中だと情報が伝わるのが遅いからなぁ」

「昔のゲームにあったシャウト機能もありませんしね」

「アレをこの世界でやったら訳わかんなくなるだろうな」

「はうほひほうってはひ?」

 各人色々な料理を摘みながらあれこれ話していると何やらリリィさんがリスの様なほっぺたで声を上げますが何を言ってるのかわかりません……。

「えっと何t「あぁシャウト機能っていうのはな昔のネトゲは区画ごとにエリアが分かれてたからそのエリア内に聞こえるように発言できたり、あとはゲームによっては全エリアに聞こえるように発言できたりしたんだよ」

 アレで何を言ってるのか分かるんですか兄さん……。

「へぇそう言う物もあったのね」

「流石にVR系でそういうのはなく成ったなぁ、まあログに載せるだけってのはあったけどこのゲームは世界観を壊すって言うんでそう言うのも極力無いしな。プレイヤー同士の情報共有はもっぱらリアルでだったし」

「情報といえば天気予報というか天気予定くらいですかね?」

「そう言えば天気だけはしっかりと専用の物が出てくるわね、何故なのかしら?」

「ソレはですね魚釣りとか植物採集とかに影響が出るからです」

「後はレアモンスターの発生条件とかにも成ってるからな」

 ラピスさんの疑問に私と兄さんが答えるとシオンさんがあまり興味なさそうな声を上げました。

「ふ~ん」

「シオンは興味なさそうだな」

「まあね、私は別にそういう目的でやってたわけじゃないし」

「もぎゅもぎゅごきゅん。あれ? でも前に一人でレアなボスモンスター狩ってたような事言ってなかったっけ?」

「あ、アレは……その……丁度良い所に居たから」

「居たからってそんなノリでボスモンスターにソロで挑むか普通」

「……そういう時もあるのよ」

「さいですか」

「でもプレイヤー同士の情報共有方法が無いと言うのは少し不便ね」

「そうね」

「ん~まあその辺はそろそろ誰かが新聞でも作り始めてるんじゃないかな」

「もぎゅもぎゅごきゅん。へ~そんなことも出来るんだぁ」

「確かそんなスキルがあったような気がするぞ」

「そう言えばアメリカにいた時に簡単な新聞と言うかプレイヤーイベントお知らせ等が載っているチラシ等を作っている方が居ました」

「こっちの方でも何回か見かけたことはあるけどそういった奴がそろそろ新聞とか作り出す頃だろ」

「ホントになんでも出来るのねココは」

「まあ俺的にはシオンの方が色々すごい気がするけどな」

「ん、何がよ?」

「……いや変な魔法色々使えるし」

「変って……アレは暇つぶしに色々やってみたら出来ただけよ、元からある詩を組み合わせるだけだからそこまで難しい物じゃないわよ」

「そういうもんなの?」

「そういう物よ、あなた達みたいに敵の動きとかにそこまで合わせなくていいしね」

 そう言いながら隣で美味しそうにご飯を食べているクリスを優しく撫でるシオンさんを眺めながらリリィさんは「ふ~ん」と呟きつつ何かのフライっぽい物にタルタルソースっぽい何かをかけて頬張り幸せそうな顔を浮かべてはどうやら美味しかったようで次々に頬張っていきます。

「もっぎゅもっぎゅもっぎゅ」



「あ、それは良いのだけれど結局NPCがどうのという話はどうなったのかしら?」

 幸せそうにご飯を食べるリリィさんをしばし眺めていると、これまたいつもの様に優雅にご飯を食べていたラピスさんがそう言えばといった感じで聞いてきました。

「あ~アレな~やっぱり何か変と言うか何というか。例えばこの宿の受付の子がクリス見て驚いてたのは流石にどうかと思うな」

「ああいう物じゃないの?」

「NPCがテイミングモンスター見て驚くっておかしいだろ」

 と私も感じた違和感を兄さんもやはり感じていたようでした。が。

「もきゅもきゅごくん、でもペットモンスターって珍しいし咄嗟に解らなかっただけじゃないの?」

 とリリィさんが何かのフライを飲み込み疑問を口にします。

「う~ん……そう言う思考ルーチンの組み方してるならあり得るのかもしれないけどシステムで設定されているテイミングモンスターを見てあそこまで驚くか? ちょっと違うけど例えば動物園に言ってガラスの向こうにいるライオンに怯える感じだぞ?」

「そうですね動物園でもそう言う“ガラスで隔てられている”と言うシステムを知らないとかなり怖いはずですから」

「なるほど……でもちゃんと思い出してたし良いんじゃないの?」

「お前なぁ……じゃあお前は計算機で計算してたら答えが“あ~たしかその答えは2って聞いたことが在る”とか“え? それ2なのっ?”って出てきたらどう思うよ」

「……凄い計算機だなぁ?」

 小首を傾げ銀の尻尾を揺らしながらそう答えるリリィさんに兄さんは。

「ソウダネスゴイネ」

 無表情にそう答え見つめあう二人……と言うより睨み合う二人。それを見かねてかラピスさんが口を開きます。

「取り合えずその事は御飯の後にしなさいな、冷めると宿屋の人に悪いわよ」

「「は~い」」

 そんなラピスさんの言葉に仲良く返事をした二人はいつも道理に騒がしい食事に戻りました。


「おいこらリリィそれは俺の焼き魚だっ!」

「さっさと食べないのが悪いんでしょっ!」

「じゃあそっちの煮魚をよこせっ!」

「ふざけんなっコレも私のだっ!」

 ……仲がいいのか悪いのか、はぁ。


FF14が忙しすぎて書く暇がないでござる……

え?仕事中にサボって書いてるんだろうって? やだなぁサボってFFの攻略動画見てるから暇が無いんですよ。


まあソレは置いといてずいぶん間が開いてしまってごめんなさい。

とりあえずチョコチョコ更新していける状態には……なるといいいなぁ。


それで今回の話なんですが今までで一番書いてる期間がバラバラだったので作者自身たまにだれ視点かわからない時があったなんて言えない……一行毎に視点が変わってたなんて言えない……多分修正しきれてるとは思うのですが変なとこがあったらご指摘いただけると多分修正されます。


あ、それと前々回くらいにあった咲百合のお引越しと言うのは

その昔瑠璃の家の近所のマンションに住んでいたという設定があったりなかったり

二人の出会いがそもそも咲百合が幼稚園の帰りに「このお家おっきーすごーい」とか門の前で言ってる時に習い事に行こうとした瑠璃に出会ったと言うよくある話です。



ついしん


予定では次回から短編というか補足的な話が続く予定……だと思います。期待せずに待っててください。

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