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ファンタジークエスト  作者: 里山
三章 はじまりは唐突に

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くえすと31 久しぶりの再会

前話を上げた後にここまでまとめて上げればよかったと思ったけど気にしたら負けかなと思ってる

 色々ありながらも太宰府政庁に辿り着いたわけなのですけど……街の中央付近は政庁がありNPCの偉い人とかが居るらしく迂闊に入るとペナルティをもらうらしいので街外れの宿屋の一室に集まっての報告会が開かれてます。ちなみにクエストか何かを受けると中央にも入れるように成るそうなのですがクエストフラグがどこにあるのかわからないし別に入りたくないのでほったらかしの方向でいくようです。


「まずは再会おめでとう? かな」

 兄さんがそう切り出すと。

「おめでとー♪」

 リリィさんが元気よく答える、久しぶりに会えて嬉しいのかなやっぱり?

「いっただっきまーーーーっす!」

 どうやらご飯が嬉しいらしいです……。

「まあコイツはほっといてこっちから簡単に説明するな」

 そう言って兄さんはこの二十数日の特訓状況とデスゲームになって気づいた点を幾つか話してくれました。

「と言うことはラピスさんはレベル的には三十代ですが動き的には上級者レベルと考えてもいいのですか?」

「ん~まあ問題ないとは思うんだけどお前のさっきの動きを見た後だとあの動きにはついていけないぞ」

「ええ、あれは特訓で上げたレベルアップボーナスを極振りしたお陰ですから」

「なるほどな、んでパーティチャットでは“ふふ~んひっみつー♪”の一言で片付けられたけど結局レベルとスキルはどのくらい上がったんだ?」

 そうなのですデスゲームになって大きく変わった点の一つに他人のレベルがたとえPT内であってもわからなくなりました。

「流石に兄さんには追いつきませんでしたが私が70でリリィさんが74シオンさんが65です」

「なるほどな」

「私は別にサボっていたわけじゃないわよ」

 そこで、ご飯もっと~とハフハフ言っていたクリスにパンを分けていたシオンさんが言葉を挟む。

「スキル熟練に時間を割いてたんだろ? あの呪文を見ればそのくらいわかるよ、凄いなシオン」

「わ、わかってるならいいわよ」

 そう言ってもそもそと残りのパンを齧り出す、まさか! 兄さんに限っていきなりモテ期とか言うラノベの主人公的な展開はないとは思うのですけど……うーん。


「でお前は『素早さAGI』に極振りだとしてリリィとシオンは?」

「わひゃひは「飲み込んでから話せ」ごきゅん、私は『器用さDEX』だよ、当たらないとダメだからねぇ」

「まあお前は元からすばしっこいしな」

「褒めても何もでないよ?」

 リリィさん褒められてるのですかそれ?

「シオンは?」

「私は『賢さINT』よ」

「なるほどな、詠唱は自信ありってことか」

「当然よ」

 この世界の『賢さINT』は御多分にもれず魔法の攻撃力や回復力などに影響を及ぼします『器用さDEX』は若干異なり、詠唱速度は術者によって変わるので『器用さDEX』で何が違うかというと呪文の間違いの補正です、つまり『器用さDEX』を上げるといっぱい間違っても発動します、ですが『賢さINT』が低いので威力はお察しくださいとなります、ちなみに計算式はスキルレベル×『賢さINT』、ですが『器用さDEX』が高くても高位クラスの呪文だと間違いすぎると普通に失敗するくらいに呪文は長いので結局使われるのは中位クラスになってしまいます。


「シオンさんの魔法は凄いですよ」

「へぇ〈ダーク・ポータル〉も十分すごかったけどな」

「兄さんやっぱり知ってたんですねあの魔法」

「まあな、テストの時に攻城戦出たことあったけど最初見た時のインパクトはすごかったな、でも二回目見た時は使用者に同情した」

「なんでよ?」

 意味深な兄さんの言葉にシオンさんが聞き返す。

「ん~シオンであの呪文どのくらいで唱えられる?」

「ふ、三十秒よ」

 自信満々に答えるシオンさん。

「流石だな、その時いた奴は一分ちょっとかかってたんだけど、発動前にフルボッコにされてた」

「まあ遠距離職や回復職は先に倒すのが定石ですからね」

「って事はラピスはこれからは後衛の防御がメインに成りそうだな」

「そうなりますね」

「つまり私はリリィとシオンを守れば良いわけね」

「そいうことだな」

「もきゅもきゅごきゅん、あー私はよっぽどじゃ無い限りは自分で何とかできるからシオンをメインに護って上げて」

「わかったわ」

「よろしくねラピス」

「貴方は死なないわ、私が守るもの」

 その言葉に兄さんとリリィさんは満足気にラピスさんは無表情にサムズアップで意思疎通し私はやれやれと頭を抱えそれをシオンさんが小首をかしげて見ていた。







「ふぅ、お風呂はやっぱり気持ちいいねぇ」

「そうね」

「ここ数日入れなかったから尚更ですね」

「……」

 私達女四人は今部屋に備え付けの大浴場に浸かっている、友達と一緒にお風呂に入ったことの無い私は色々と目のやり場に困る、女同士だから問題は無いはずなのだけど.


リリィは目隠しをしていないせいでどう見てもエルフ娘だし、イノリはイノリでプロポーションが凄い、特に何処が大きいとかじゃなくて全体的に均整がとれていて色々おかしいこれで本人曰く「少しウエストを補正しただけです」との事だからまさに“なにそれふざけてるの?”と言わざるをえない。


 そして一番特徴がないといえるラピスは体型もそこまで際立ったものもなく平均値なのだが物腰がおかしい、明らかに優雅、良く分からないけど一挙手一投足が綺麗、イノリも結構大和撫子的な動きだったがそれとはもう次元が違う優雅さだ。聞けば生粋のお嬢様らしくそう言う習い事をこなしていたらこうなってしまったとの事。


 最後に私……なのだけど、胸はラピスより気持ち大きい程度でまあバランスはいいけど特徴と言う特徴はなく顔も童顔なのでカワイイ系だとはよく言われるが――私的には不本意だけど――それでもリリィのインパクトには到底届かない。


「むー」

「どうしたのシオン?」

 私の呻きに隣でボケ~っと気持よさそうにしていたリリィが答える。

「いや別に……皆凄いなと思って」

「何がかしら?」

 と今度はリリィの向こう側にいたラピスからの問にさっき思ったことを掻い摘んで話す。

「ふーん、それってそんなに凄いかな? 私の顔なんか生まれつきだし、まあ体型はちょっとは気にしてるけど」

「貴方のあの食べっぷりで何を気にしてるですって?」

 そんなツッコミを入れてからラピスが。

「私の仕草も生まれてからずっと色んなもので身につけた、と言うより身につけさせられた物だから別に自慢するものでもないわ」

「私もそうですね、食事にあまり気を使ったこともありませんし、どちらかと言うと兄さんが食事は気にしてましたね、私にばっかり体によさそうな食べ物買ってくるんですよ。だからアメリカに行ってからちょっとウエストが……」

 何やら顔に影を作りつつブツブツ言い始めたイノリを気にもせずに。

「それに凄いって言えばシオンの方が凄いじゃん、私の一つ年上なだけなのにもう働いてるし、歌もいっぱい売れてるんでしょ?」

「そうね、私達は何だかんだ言ってもただの学生だもの」

「そうそう、ですからシオンさんここで一曲お願いします」

 何やら嫌なものから目を背けようと必死なイノリが無茶苦茶なことを言ってくる。

「いきなり何を言い出すのよ……それにラピスは私の歌嫌いなんでしょ?」

「ん、そんな事はひとことも言ってないわよ?」

「でも昼間アニソンはもう歌わないでって」

「アレは作品感を全く考えない曲を歌ってるからよ、貴方の歌自体は嫌いじゃないわよ」

「そ、そう、ありがと」

 口ごもる私をニヤニヤ見ている3人……むー。

「仕方ないわね一曲だけよ特別だからね」

 そう言って場の雰囲気にあった歌を歌い出す……たしかこの歌はデビュー直後まだそんなに売れてなかった頃芸能界というまだ良くわからない世界で一人頑張っていこうと思って創った歌……あんまり売れなかったのよね、自分では好きな歌なのに。








「ふぅ」

 俺はひとりきりになった宿屋の部屋でため息をつく。

「がう」

 一人と一匹の間違いだ。

 しかしこれからどうする? 今のこのパーティだったらよっぽどの事がない限りリアルで死ぬことはないだろう。だけど万が一の時は切り捨てないといけない。まあそれでリアルで死ぬのかはわからないけど。なにげに皆しぶとそうだしな。

「はぁ~こういうのは早めに言っておいた方がいざって時には良いよな」

 そう思い俺は妹に個別チャットを繋ぐ。

[おーい莉乃~]

[どうしたんですか兄さんいきなり個別なんて]

[あ~うん、いや早めに言っておこうと思ってな……]

[……わかってますよ]

[……]

[どうせ“俺が本当に死にそうなピンチになってもお前たちが危険になりそうなら見捨てろ”とか言うんでしょう?]

[お、おう]

[じゃあ私からも言いますけど、私が死ねば他の皆が助かる状況なら遠慮なく見捨ててください]

[ごめんな……]

[何言ってるんですか私達なら悲しむのはお互いだけですけど、彼女たちは家族がいますから、それに]

[それに?]

[私達そんなに簡単に死なないでしょ?]

[そうだな、この世界の痛みなんてあの時の苦しみに比べたら一瞬で消える仮想の痛みだもんな]

[そうですよ、こんな仮想の世界で死ぬくらいならもう私たちは死んでます。ですから……みんな一緒に帰りましょう]

[そうだな。……そうだ帰ったらみんなでオフ会でもするか、あ、でもシオンはさすがに無理か]

[大丈夫だと思いますよ結構お休みの融通利くみたいな事いってましたから]

[そっかじゃあパーッとやるぞ]

[兄さんのおごりですね]

[……なんだろう微妙に釈然としないこの気持ち]

[年上ってだけで私達よりあの三人のほうがお金持ってそうですからね]

[世知辛い世の中だな、まあまた後でな]

[はい]



「ふぅ」

 個別チャットを切った俺はソファーに深く腰掛け溜息をひとつつく。

「がう?」

「なんでもないよ、お前も俺に何かあったらあいつ等のこと頼むぞ」

 そういってクリスの頭をガシガシとかいてやるとベシベシとなぜか前足で叩かれた。

「ぐるるるがうがう」

「怒ってんの?」

「がう」

「んじゃ俺も死なないように何とかがんばるんで一緒にがんばろー?」

「わふ」

 首を縦に振って答える。

「お前中に人入ってないか?」

「わふ?」

 小首を傾げられた。

「……まあ良いけど」

腰が痛くて死にそうです まる

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