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安心できる帰り道  作者: たい


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15/22

おかえりが増える日

第15話は、“家族へ伝えること”と“結婚”をテーマに描きました。


今回は、


* 両親への報告

* 親友への報告

* 妊娠による変化

* 「結婚しよう」の言葉


など、“二人の人生が大きく進む瞬間”を描いています。


また今回は、


“安心優先”


というテーマを、妊娠後の奈々の変化にも繋げています。


このシリーズらしい、穏やかな家族の空気を楽しんでもらえたら嬉しいです。

夏の始まり。


窓の外では、蝉が鳴き始めていた。


奈々はソファへ座りながら、深く息を吐く。


「……緊張する。」


「奈々ちゃん今日それ何回目?」


悠斗が苦笑いする。


奈々はクッションを抱えながら顔をしかめた。


「だって今日はさすがに緊張するもん。」


今日は、両親へ報告する日だった。



テーブルの上には、小さな箱が置かれている。


中には、エコー写真。


奈々はそれを見ながら、小さく笑った。


まだ少し不思議だった。


でも最近は、


“本当に家族になるんだ”


という実感が、少しずつ増えてきている。


その一方で、奈々の身体は少しずつ変化し始めていた。


夜になると疲れやすい。


眠気も強い。


そして最近は、安心するとかなり気が抜けるようになっていた。



最初は奈々の実家。


玄関の前で、奈々はかなり固まっていた。


悠斗が小さく笑う。


「ぼくまで緊張してきた。」


奈々が吹き出す。


「悠斗くんもじゃん。」


でも、そのおかげで少し力が抜けた。


悠斗はそっと奈々の手を握る。


奈々も安心したように握り返した。


昔から変わらない。


不安な時ほど、

隣にいると落ち着く。


その感覚が、今もちゃんと二人を支えていた。



リビング。


少し静かな空気。


奈々のお母さんが、お茶を置きながら二人を見る。


「今日はどうしたの?」


奈々は一瞬悠斗を見る。


悠斗も静かに頷いた。


奈々は小さく深呼吸する。


それから、少し照れながら笑った。


「……赤ちゃん、できた。」


部屋が静かになる。


奈々のお父さんがゆっくり目を丸くした。


お母さんも数秒固まる。


奈々はかなり緊張していた。


でも、その直後。


お母さんの目が少し潤む。


「……ほんとに?」


奈々は小さく頷く。


その瞬間。


お母さんが泣きながら笑った。


「おめでとう……!」


奈々もつられて少し泣きそうになる。


悠斗はそんな奈々を見ながら、安心したように息を吐いた。



そのあと。


奈々のお父さんは少し照れながら咳払いする。


「……ちゃんと幸せにするんだぞ。」


悠斗はすぐ背筋を伸ばした。


「はい。」


その返事は、かなり真っ直ぐだった。


奈々はその横顔を見ながら、小さく笑う。


安心した。


本当に。



実家からの帰り道。


奈々はかなり疲れた顔で、悠斗へ寄りかかっていた。


「……つかれたぁ。」


「今日はかなり緊張してたもんね。」


悠斗が苦笑いする。


奈々は小さく頷く。


妊娠してからは、疲れるとかなり眠気が強くなる。


身体も少しずつ変わってきていた。


奈々は照れながら小さく笑った。


「……最近ほんと安心すると気抜ける。」


悠斗は一瞬奈々を見る。


それから優しく笑った。


「無理しなくていいよ。」


その言葉だけで、奈々はかなり安心した顔になる。



夜。


二人の部屋。


奈々はお風呂上がりにソファへ座りながら、大きく息を吐いた。


「……なんか今日どっと疲れた。」


悠斗は飲み物を渡しながら、小さく笑う。


「いっぱい頑張ったもん。」


奈々は嬉しそうに笑った。


それから少し照れながら、小さく呟く。


「……最近、夜ちょっと不安なんだよね。」


「不安?」


奈々は頬を赤くしながら頷く。


「寝ちゃうと、かなり深く寝ちゃうし……。」


妊娠してから、身体の感覚は少し変わっていた。


疲れるとかなり眠ってしまう。


安心すると、さらに気が抜ける。


だから最近は、夜も“安心優先”で過ごすことが増えていた。



悠斗は奈々の隣へ座る。


そして、小さく笑った。


「無理して我慢するほうが心配。」


奈々は少し安心したように笑う。


「……悠斗くんそう言ってくれるから安心する。」


その夜。


二人は寝室で並んで横になる。


静かな空気。


暖かい部屋。


奈々は少し照れながら、小さく笑った。


「……なんか最近、ほんと安心しきってる。」


悠斗が吹き出す。


「前からじゃん。」


「妊娠してからもっと。」


奈々も笑った。



部屋の照明が暗くなる。


奈々は毛布へくるまりながら、小さく息を吐く。


「……ねむい。」


「奈々ちゃん今日ずっとそれ言ってる。」


悠斗が苦笑いする。


奈々は半分眠そうに笑った。


「だって安心するんだもん。」


その声はかなり穏やかだった。


安心できる部屋。


安心できる人。


帰れる場所。


その全部に包まれて、奈々の身体からゆっくり力が抜けていく。



翌朝。


柔らかい朝日。


奈々はゆっくり目を開ける。


「……ん。」


かなり深く眠っていたらしい。


奈々は数秒ぼんやりしてから、小さく吹き出した。


「……めちゃくちゃ寝た。」


悠斗も目を開けて苦笑いする。


「奈々ちゃん完全熟睡だった。」


奈々は少し照れながら笑った。


「……最近ほんと安心しすぎ。」


でも、その表情はかなり穏やかだった。


不安がゼロなわけじゃない。


これから大変なこともあると思う。


でも今は、


“一緒なら大丈夫”


そう思えた。



後日。


美咲の家。


三人で食卓を囲みながら、奈々はかなり落ち着かない様子だった。


美咲が吹き出す。


「奈々、分かりやすすぎ。」


「だって緊張する……。」


悠斗も少し照れている。


そして奈々は、小さく笑った。


「……結婚することになった。」


数秒の沈黙。


そのあと、美咲は一気に笑顔になった。


「え、ほんと!?」


奈々が頷く。


美咲は目を少し潤ませながら笑った。


「よかったぁ……。」


その声には、昔から二人を見てきた優しさが詰まっていた。



帰り道。


奈々は悠斗の隣を歩きながら、小さく笑う。


「……なんか幸せすぎて変な感じ。」


悠斗も静かに笑った。


「ぼくも。」


奈々はそっと悠斗の手を握る。


悠斗も自然に握り返した。


安心できる人。


帰れる場所。


そして、これから増えていく家族。


夏の夜風は暖かい。


二人の“帰り道”は、

これからもきっと、

ゆっくり続いていく。

第15話「『おかえり』が増える日」を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、


“恋人”

から、

“家族”


へ変わっていく二人を描きました。


奈々と悠斗は、


ずっと「安心」を探してきた二人です。


そして今は、


“安心できる帰り道”


そのものを、自分たちで作ろうとしています。


また今回は、


妊娠によって少しずつ変化していく奈々の身体や、

「無理しなくていい」

と支えようとする悠斗の空気も大切に描きました。


これから二人が、

どんな家族になっていくのか。


またゆっくり描いていけたら嬉しいです。

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