制服の帰り道
第16話は、“結婚”と“新しい未来”をテーマに描きました。
今回は、
* 悠斗の警察官への就職
* 結婚式
* 「家族になる」実感
など、人生が大きく変わる瞬間を中心に描いています。
ただ、このシリーズらしく、
派手さよりも、
「安心できる相手と未来を歩く」
という空気を大切にしました。
二人の新しい人生の始まりを、楽しんでもらえたら嬉しいです。
秋。
空気が少し冷たくなり始めた朝。
奈々はキッチンへ立ちながら、小さく欠伸をした。
「……ねむい。」
リビングから悠斗が吹き出す。
「奈々ちゃん最近それしか言ってない。」
「だって眠いんだもん。」
奈々は苦笑いしながらお腹へそっと手を当てる。
妊娠してから、眠気はかなり強くなっていた。
でも、その表情はかなり穏やかだった。
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テーブルの上には、一枚の封筒。
奈々はそれを見ながら、小さく笑う。
「……まだちょっと信じられない。」
悠斗も照れながら笑った。
「ぼくも。」
その封筒の中には――警察学校の合格通知。
悠斗は、正式に警察官への道を進むことになった。
⸻
奈々は椅子へ座りながら、小さく息を吐く。
「悠斗くん、ほんとに警察官になるんだね。」
「うん。」
悠斗も少し緊張した顔で頷く。
昔から、悠斗は誰かを安心させられる人だった。
困っている人を見ると放っておけない。
誰かが不安そうだと、自然に隣へ行く。
奈々はそんな悠斗をずっと見てきた。
だからこそ、小さく笑う。
「……すごい悠斗くんっぽい。」
悠斗が苦笑いする。
「そうかな。」
「うん。」
奈々はかなり優しい顔で頷いた。
「安心するもん、悠斗くんいると。」
その言葉に、悠斗は少し照れながら笑った。
⸻
数週間後。
結婚式の日。
空は綺麗に晴れていた。
大きすぎない式場。
でも、暖かい空気に包まれている。
美咲は控室で奈々を見ながら、目を潤ませていた。
「……やばい、もう泣きそう。」
奈々が吹き出す。
「早いって。」
でも奈々自身も、かなり緊張していた。
白いドレス。
鏡の前の自分。
そして、お腹の小さな命。
全部がまだ少し不思議だった。
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その頃。
別室では、悠斗もかなり緊張していた。
ネクタイを直しながら、小さく息を吐く。
悠斗のお父さんが苦笑いする。
「顔固いぞ。」
「……緊張してる。」
その返事に、周りが少し笑った。
でも、その緊張は嫌なものじゃなかった。
大切な日だから。
奈々と、
これからの家族と、
ちゃんと歩いていきたい。
その気持ちが、悠斗を真っ直ぐにしていた。
⸻
式が始まる。
静かな音楽。
柔らかい光。
奈々はゆっくり歩きながら、悠斗を見る。
悠斗も奈々を見ていた。
その瞬間。
奈々の緊張が少しだけ消える。
安心した。
昔からずっとそうだった。
悠斗がいると、安心する。
⸻
誓いの言葉。
悠斗は少し照れながらも、真っ直ぐ奈々を見る。
「これからも、安心できる場所を一緒に作っていきたいです。」
奈々の目が少し潤む。
奈々も小さく笑った。
「……わたしも。」
派手な言葉じゃない。
でも、それが二人らしかった。
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式のあと。
控室。
奈々はかなり疲れた顔でソファへ座り込む。
「……つかれたぁ。」
悠斗が吹き出す。
「奈々ちゃん今日ずっとそれ言ってる。」
「だって緊張したもん……。」
奈々は苦笑いする。
でも、その表情はかなり幸せそうだった。
⸻
その時。
悠斗が奈々の隣へ座る。
そして、小さく笑った。
「……名字変わったね。」
奈々が一瞬止まる。
それから、少し照れながら笑った。
「……ほんとだ。」
不思議だった。
でも嫌じゃない。
むしろ、かなり安心した。
“家族になった”
その実感が、ゆっくり胸へ広がっていく。
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夜。
新しい名字になった二人は、静かな家へ帰る。
奈々はソファへ座りながら、小さく息を吐く。
「……なんか今日、一生分緊張した。」
悠斗も苦笑いする。
「ぼくも。」
二人は顔を見合わせて笑った。
そして、自然に寄りかかる。
安心できる人。
帰れる場所。
そして、これから生まれてくる家族。
窓の外には、静かな秋の夜。
二人の“帰り道”は、
これからもゆっくり、
続いていく。
第16話「制服の帰り道」を読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、
“安心できる恋人”
から、
“安心できる家族”
へ変わっていく二人を描きました。
悠斗が警察官を目指したのも、
「誰かを安心させたい」
という彼らしい優しさの延長にあります。
そして奈々も、
そんな悠斗の隣で、
安心しながら未来を見られるようになっていました。
結婚式という大きなイベントでも、
二人の中心にあるのは、
“隣にいると安心する”
という、とても静かな気持ちです。
これから二人が、
どんな家族になっていくのか。
またゆっくり描いていけたら嬉しいです。




