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安心できる帰り道  作者: たい


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16/22

制服の帰り道

第16話は、“結婚”と“新しい未来”をテーマに描きました。


今回は、


* 悠斗の警察官への就職

* 結婚式

* 「家族になる」実感


など、人生が大きく変わる瞬間を中心に描いています。


ただ、このシリーズらしく、


派手さよりも、


「安心できる相手と未来を歩く」


という空気を大切にしました。


二人の新しい人生の始まりを、楽しんでもらえたら嬉しいです。

秋。


空気が少し冷たくなり始めた朝。


奈々はキッチンへ立ちながら、小さく欠伸をした。


「……ねむい。」


リビングから悠斗が吹き出す。


「奈々ちゃん最近それしか言ってない。」


「だって眠いんだもん。」


奈々は苦笑いしながらお腹へそっと手を当てる。


妊娠してから、眠気はかなり強くなっていた。


でも、その表情はかなり穏やかだった。



テーブルの上には、一枚の封筒。


奈々はそれを見ながら、小さく笑う。


「……まだちょっと信じられない。」


悠斗も照れながら笑った。


「ぼくも。」


その封筒の中には――警察学校の合格通知。


悠斗は、正式に警察官への道を進むことになった。



奈々は椅子へ座りながら、小さく息を吐く。


「悠斗くん、ほんとに警察官になるんだね。」


「うん。」


悠斗も少し緊張した顔で頷く。


昔から、悠斗は誰かを安心させられる人だった。


困っている人を見ると放っておけない。


誰かが不安そうだと、自然に隣へ行く。


奈々はそんな悠斗をずっと見てきた。


だからこそ、小さく笑う。


「……すごい悠斗くんっぽい。」


悠斗が苦笑いする。


「そうかな。」


「うん。」


奈々はかなり優しい顔で頷いた。


「安心するもん、悠斗くんいると。」


その言葉に、悠斗は少し照れながら笑った。



数週間後。


結婚式の日。


空は綺麗に晴れていた。


大きすぎない式場。


でも、暖かい空気に包まれている。


美咲は控室で奈々を見ながら、目を潤ませていた。


「……やばい、もう泣きそう。」


奈々が吹き出す。


「早いって。」


でも奈々自身も、かなり緊張していた。


白いドレス。


鏡の前の自分。


そして、お腹の小さな命。


全部がまだ少し不思議だった。



その頃。


別室では、悠斗もかなり緊張していた。


ネクタイを直しながら、小さく息を吐く。


悠斗のお父さんが苦笑いする。


「顔固いぞ。」


「……緊張してる。」


その返事に、周りが少し笑った。


でも、その緊張は嫌なものじゃなかった。


大切な日だから。


奈々と、

これからの家族と、

ちゃんと歩いていきたい。


その気持ちが、悠斗を真っ直ぐにしていた。



式が始まる。


静かな音楽。


柔らかい光。


奈々はゆっくり歩きながら、悠斗を見る。


悠斗も奈々を見ていた。


その瞬間。


奈々の緊張が少しだけ消える。


安心した。


昔からずっとそうだった。


悠斗がいると、安心する。



誓いの言葉。


悠斗は少し照れながらも、真っ直ぐ奈々を見る。


「これからも、安心できる場所を一緒に作っていきたいです。」


奈々の目が少し潤む。


奈々も小さく笑った。


「……わたしも。」


派手な言葉じゃない。


でも、それが二人らしかった。



式のあと。


控室。


奈々はかなり疲れた顔でソファへ座り込む。


「……つかれたぁ。」


悠斗が吹き出す。


「奈々ちゃん今日ずっとそれ言ってる。」


「だって緊張したもん……。」


奈々は苦笑いする。


でも、その表情はかなり幸せそうだった。



その時。


悠斗が奈々の隣へ座る。


そして、小さく笑った。


「……名字変わったね。」


奈々が一瞬止まる。


それから、少し照れながら笑った。


「……ほんとだ。」


不思議だった。


でも嫌じゃない。


むしろ、かなり安心した。


“家族になった”


その実感が、ゆっくり胸へ広がっていく。



夜。


新しい名字になった二人は、静かな家へ帰る。


奈々はソファへ座りながら、小さく息を吐く。


「……なんか今日、一生分緊張した。」


悠斗も苦笑いする。


「ぼくも。」


二人は顔を見合わせて笑った。


そして、自然に寄りかかる。


安心できる人。


帰れる場所。


そして、これから生まれてくる家族。


窓の外には、静かな秋の夜。


二人の“帰り道”は、

これからもゆっくり、

続いていく。

第16話「制服の帰り道」を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、


“安心できる恋人”

から、

“安心できる家族”


へ変わっていく二人を描きました。


悠斗が警察官を目指したのも、


「誰かを安心させたい」


という彼らしい優しさの延長にあります。


そして奈々も、

そんな悠斗の隣で、

安心しながら未来を見られるようになっていました。


結婚式という大きなイベントでも、


二人の中心にあるのは、


“隣にいると安心する”


という、とても静かな気持ちです。


これから二人が、

どんな家族になっていくのか。


またゆっくり描いていけたら嬉しいです。

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