第4話 後編
「昇級試験……ですか」
場の空気が引き締まるのを感じた。
おそらくはこれが本題なのだ。
中央の女性は、俺とハチを交互に見てから続きを話す。
「未探索エリアを発見した功績に高性能なロボット兵器……ハチさんもあなたのアーティファクトの所有するアーティファクトとして解釈した場合、Fランクハンターのままにしておくわけにはいきません。なので実力を確かめなければいけません」
女性が一枚の資料を差し出してくる。
そこには昇級試験の概要が記載されていた。
「明日、指定のダンジョンを攻略していただきます。攻略にかかった時間や戦利品でランクを判断材料に試験結果を決めます」
「な、なるほど……」
「何かご質問はありますか?」
問われた俺は少し考えてから質問をする。
「攻略の手段は問わないということでしょうか。どんな手段でも使っていいのか、という意味で……」
「もちろんです。持てる力を尽くして攻略に挑んでください」
「分かりました……よろしくお願いします」
頭を下げた俺は退室する。
協会の建物を出た後、俺は大きく息を吐いて緊張を解いた。
「ふぅ、緊張したぁ……」
『お疲れ様です、マスター』
「色々と代わりに話してくれてありがとう」
『礼には及びません。当然のことをしたまでですので』
ハチは冷静に応じる。
あの部屋の圧迫感にやられていた俺とは違い、彼女は完全なる平常心だった。
人型とは言えロボットなので、その辺りの心理戦や話術は得意分野なのだろう。
(もっとしっかりしないとな……)
密かに反省しつつ、俺は試験概要の資料を改めて読む。
昇級試験に使われるのはBランクダンジョン。
様々なモンスターが出没するタイプで、地形も時間経過で変動するらしい。
ダンジョンの中でもそこそこ厄介な部類である。
しかもFランクの俺が挑むのにBランクだ。
通常の昇級試験は一つ上のランクに挑戦するものなので、今回はかなりイレギュラーな状態と言えよう。
ロボット兵器やハチがそれだけ期待されている証拠なのだと思われる。
(でも本当に大丈夫かなぁ……)
俺自身はFランクの雑魚である。
Bランクのダンジョンなんて近寄ったことすらなかった。
しかし、ここで臆病になっていてはSランクなんて夢のまた夢だ。
勇気を出してチャレンジするしかない。
試験は明日なので、それまでに準備をしていこうと思う。




