第3話 後編
そこからもモンスターに遭遇したら、ハチが速やかに倒してくれた。
俺なら決して敵わない相手でも、彼女はほぼ一撃で仕留めていく。
ハンターの等級で言えば、最低でもBランクは下らないだろう。
これでも万全の性能には程遠いのだから恐ろしい。
(俺も少しは活躍したいんだけどな……)
そんなことを考えつつ、ロボットの親機を操縦する。
移動は自動歩行に頼っていたのだが、楽をしすぎるのは申し訳ないのでハチから基本操作を教わったのだ。
ぎこちない動きで進むロボットは、拳を掲げて前方のスライムに殴りかかる。
攻撃の直前、ロボットがよろめいて転倒した。
苦し紛れに振り下ろした拳がスライムを掠め、その衝撃で爆散させる。
スライムが再生することはなかった。
「お、おぉ……」
ほとんど空振りでも即死とは。
親機もハチに負けず劣らずのチート級スペックである。
惜しむらくは、それを操る俺のテクニックだろう。
今後のためにも不自由なく機体を動かせるようにならなければいけない。
(俺はSランクハンターになるんだ……!)
決意する俺のもとにハチが来て、倒れた機体を支えて起こしてくれた。
俺は頭を下げて謝る。
「ありがとう。足を引っ張ってばかりでごめん……」
『マスターをサポートするのが私の役目です。このくらいはお気になさらず』
そこからさらに数度の戦闘を経て、ダンジョンの出口が見えてきた。
出口を抜けると大勢のハンターがいた。
彼らは俺達を見た途端、驚愕しながら武器を構える。
「おおっ、ロボット!?」
「敵か!」
「迎撃態勢に入れっ!」
一触即発の中、ハチが俺の前に進み出た。
彼女は冷徹な雰囲気で確認してくる。
『敵性行動を確認。三十秒以内に制圧可能です。マスター、実行しますか?』
「ちょ、ちょっと待って!」
俺は大慌てでハチを止め、その場のハンター達に事情を説明した。
話を聞いた後、一番強そうなハンターが困惑気味に訪ねてくる。
「……つまり、このロボットは君がダンジョンの未探索区域で発見したアーティファクト兵器ということか?」
「はい、そうなりますね……」
「Fランクの君が都合よく見つけられるとは思えないが……」
ハンターが首をひねると、ハチが再び威圧感を放ち始めた。
彼女は真顔でそのハンターを凝視する。
『マスターの主張はいずれも真実です。疑う者は粛清します』
「いやいや、駄目だって! 落ち着いてくれーっ!」
結局、ハチを落ち着かせるのに一時間ほどかかった。




