第3話 前編
その後、俺はダンジョン内を進んでいく。
隣にはロボットから飛び出した女ハチがいる。
移動中にハチは自己紹介をしてくれた。
曰く、彼女はロボットの機能の一部であり、単独行動に特化した子機らしい。
親機――つまり本体の燃料が補充されたことで機能が回復し、分離できるようになったのだという。
『これで行動の幅が拡張されました。引き続きマスターのサポートをさせていただきます』
「ははは……助かるよ」
俺は苦笑いして応じる。
ロボット及びハチの性能が上がるのは嬉しいが、ちょっとチートすぎて驚いている。
Fランクの俺にはもったいないくらいである。
『ところでマスター、今後の計画は決まっていますか?』
「えっと、ひとまず地上に帰還して態勢を整えたいな。それから上のランクのダンジョンに挑戦したいけど……」
『素晴らしい考えですね。賛同します』
「あ、ありがとう」
『可能であれば、帰還後にマスターの強化も実施したいですね。遺伝子変異を好まないようですので、通常装備による戦力増強が望ましいでしょう。亜空間に保管中の素材やアーティファクトを改造することで、装着型の外骨格を作成可能です。製作時間は……』
ハチの説明を聞いていると、前方に四匹のゴブリンが現れた。
ゴブリン達はボロボロの剣や斧を持っている。
俺だけでは勝てるか怪しいところだ。
しかし、今はもう怯える必要がなかった。
威嚇してくるゴブリンに対し、ハチは毅然と前に進み出る。
彼女は両手を緩く開いて身構えた。
『マスター、ここはお任せください』
ハチがまっすぐに疾走し、ゴブリンの胴体に掌底を打ち込んだ。
そのゴブリンは悲鳴を上げて吹っ飛んで壁に激突する。
あまりの衝撃で頭部が割れて即死していた。
残る三匹が慌ててハチに反撃を試みるも、彼女はひらりと回避して華麗に蹴り飛ばす。
俺の目ではとても捉えられないスピードでゴブリンを瞬殺していった。
「す、すげぇ……」
あっという間に戦闘を終わらせたハチは、ゴブリンの死骸を引きずってくる。
ロボットの側面が開き、彼女はそこに死骸を放り込む。
『当然の結果です。単独行動時は装甲が減って防御力が下がりますが、代わりに機動力が上昇します。この程度の魔物でしたら徒手格闘で制圧可能です』
ハチは涼しい顔をしているが、どことなく誇らしげだった。




