第10話 前編
溢れ出すモンスターは恐竜に酷似していた。
サイズは一メートル程度から四メートルほどの巨大な個体まで幅広い。
どいつも狂ったように叫びながら人々を襲っている。
知能はあまり高くないのか、建物に頭突きをしたり、齧りついている個体もいた。
ハンター達は数か所に固まり、陣形を作りながら対抗している。
魔術で防御を張り、避難する人々を庇って戦っているようだ。
攻撃を担当するハンターは、恐竜の突進や噛み付きを避けつつ、得意の武器を叩き付けてダメージを与えていた。
既に何体も倒しているが、周囲にはまだ大量の恐竜がおり、さらに時空の歪みから際限なく溢れ出てきている。
(ハンター側がやや劣勢か……このままだと被害が広がりそうだ)
状況からそう判断した俺は、加速をつけて近くの恐竜をぶん殴る。
人間サイズのその恐竜は、激しく回転しながら吹き飛び、別の個体を巻き込みながら爆散した。
相変わらずの破壊力に俺は感心する。
「よし、これなら戦えそうだ……!」
『マスターを援護します』
ハチが俺の隣を走り抜けて跳んだ。
建物の壁を駆け上がったハチは空中で身を捻り、食らい付こうとする恐竜の顔面に蹴りを浴びせる。
その衝撃で高度を維持し、迫る恐竜達を次々と蹴散らしていた。
彼女の一撃を受けた個体は大半が一撃で昏倒している。
脳を揺さぶられたことで行動不能になっているようだった。
(俺も加勢したいけど、まずは人々の避難を終わらせるべきだ!)
ハチが恐竜の注目を集めている隙に、俺は人々をその場から逃がしていく。
意図を察したハンター達も手伝ってくれた。
そのうち一人が笑顔で話しかけてくる。
「なあ、あんた! ロボ使いのハンターだろ! SNSで見たぞっ!」
「えっ、あ、ありがとうございます」
「助けてくれてありがとうな! おかげで犠牲者を出さずに立ち回れそうだ!」
避難活動が完了したところで、ハンター達は攻勢に移った。
ハチの動きに釣られない個体にターゲットを絞り、一匹ずつ着実に倒していく。
俺も恐竜の突進を受け止めては投げ飛ばし、力任せに殴ってサポートする。
そうしてダンジョンブレイクの被害を抑えていった。




