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終末ダンジョンの機装兵  作者: 結城 からく


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第9話 前編

 試験終了後、建物を出た俺はAランクの認識票を掲げて微笑む。


「ふふ、Aランクだ……!」


『マスターはその評価でご不満ではないのですか?』


「協会にも事情があるみたいだからね。そもそも俺の本来の実力はFランクなわけだし、むしろ過大評価されているくらいさ」


 俺は苦笑気味に返す。

 するとハチが真顔で詰め寄ってきた。


『過大評価ではありません。マスターの潜在能力を加味すれば、あまりにも不当な結果です』


「ははは……ありがとう、そんなことを言ってくれるのはハチだけだよ」


『いずれマスターの名声は世界中に知れ渡ります。私もそのために尽力してまいります』


 決意表明するハチの隣で、機体の内部からくぐもった声が聞こえてきた。


「ねえ、開けてよー」


 声の正体はミコトである。

 ハンター協会に身柄を渡すはずが、ハチが反対したのだ。

 戦力増強のために仲間に引き込むのだという。

 確かにハチと互角に戦えるほどの実力だから協力してくれるなら頼もしいかもしれないが、ちょっと厳しいんじゃないだろうか。


 ちなみに協会はハチの主張に難色を示した。

 しかしハチは「ダンジョンで見つけた戦利品はハンターのもの」という根拠でねじ伏せてしまった。

 実際はもっと細かい規定があるらしいが、今回は上層部が折れる形となった。

 上層部にあそこまで強くに出られるのはハチくらいだろう。


『マスター、どうされましたか? 顔色が悪いようですが』


「いや、ミコトのことが怖くてさ……俺の命を狙ってきた奴だよ。丸腰では絶対に敵わないし……」


『ご安心ください。万に一つもマスターを害する危険性はありません』


 ハチが自信満々に言った後、機体の一部が展開してミコトの顔が見えるようになる。

 ミコトは不満げに呻きながら言う。


「あのさー、そろそろ解放してくれない? 狭いし暑いし最悪なんだけどー」


『……調教が足りないようですね。電撃の出力を一段階上げましょう』


「うえっ、ちょ、ちょっとそれはあびゃびゃびゃびゃびゃ」


 ミコトが白目を剥いて痙攣し始めた。

 その様子に俺は戦慄する。


「電撃ってまさか……」


『こうして継続的に実行することで本人の反抗心を砕いています。その後、捕虜洗脳プログラムで人格矯正を施し、最終的にマスターを守護する忠実な人間に仕上げます。もう少々お待ちください』


 ハチは当然のように説明する。

 俺は改めて彼女の恐ろしさを痛感したのであった。

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