第7話 後編
十秒ほどの作戦会議の後、ミコトが笑いながら突進してきた。
蕩けそうな表情でまっすぐ襲いかかってくる。
「ほらほら、次は何するのぉ! 楽しく殺し合おうよぉっ!」
「……ッ」
その迫力に俺は気圧される。
やはり怖いものは怖い。
戦闘経験の浅い俺には、その本能を抑えることが難しかった。
代わりにハチが飛び出し、ミコトの鉈を防御してくれた。
何度目かも分からない高速の攻防を繰り広げつつ、ハチは俺に呼びかける。
「マスター、お願いします」
「わかった!」
俺はロボットを操縦し、勢いをつけてハチを飛び越えた。
そこから落下しながらミコトに攻撃を試みる。
迫る俺に対し、ミコトはニマニマと嫌な笑みを向けてきた。
「まだ学習してないのぉ? ザコザコ君は足手まといなんだって!」
ハチを投げ飛ばしたハチが鉈を振りかぶる。
落下に合わせて斬撃を繰り出すつもりらしい。
その瞬間、俺は操縦席のレバーを引いた。
(――今だ!)
緊急脱出装置が作動し、俺は椅子ごと機体から飛び出した。
空中で動けない俺を見て、ミコトはこれ見よがしに爆笑する。
彼女は舌を出して跳躍してきた。
「何それ! 馬鹿じゃん!」
「うるせえええぁぁあああああああぁぁッ!」
負けじと叫ぶ俺は、素手で殴りかかる。
ミコトは首を傾けただけで躱すと、鉈を俺の胸に叩き込んだ。
鋭い刃はしかし、外骨格に阻まれて肉体を切り裂くことはない。
衝撃で骨は折れた気がするが、それでも致命傷ではなかった。
その直後、乗り捨てた機体の背部が展開し、無数のアームが生えてきてミコトを捕まえた。
アームはミコトを機体の内部に引きずり込んで素早く格納する。
内部でミコトが暴れているがびくともしない。
その間にハチが起き上がって解説する。
「機体の捕獲機能は頑強です。戦闘中に計測した彼女の身体能力で破壊できる確率は1%未満でしょう。未知のスキルを使用した場合でも対処可能です」
「それはよかった……ひとまず安心だね」
地面に倒れ込んだ俺は、脱力して両手足を投げ出した。




