シーン4(エピローグ):【黄金のオアシス】祝福の戴冠式と、永遠の溺愛
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ルリアおめでとう。
あれから、数ヶ月の時が流れた。
世界を救った『真の聖女』がもたらした奇跡により、砂漠の帝国は大陸で最も水と緑に溢れる、豊かな『永遠のオアシス』へと生まれ変わった。
そして今日。王都は建国以来最大の熱狂と歓喜に包まれている。
「よく似合っているぞ、俺の美しい妃」
王城の最も高いバルコニー。
眼下に広がる数万人の民衆の割れんばかりの歓声を背に、レオン様が私の腰を背後から抱き寄せ、耳元で甘く低く囁く。
今日の私は、帝国の国母としての『戴冠式』を迎えていた。最高級のシルクで仕立てられた、深い海のようなブルーの豪奢なドレス。その頭上には、先ほどレオン様自身の手によって、きらびやかな水滴を模したティアラが乗せられたばかりだ。
「ありがとうございます、レオン様。……でも、なんだかまだ夢を見ているみたいで」
「夢じゃない。君が自分の手で掴み取った、確かな現実だ」
レオン様が私の額に優しく口づけを落とす。
ちなみに、あの後……大陸中を滅亡の危機に陥れた私の祖国は、激怒した周辺諸国からの猛烈な非難と武力制裁を受け、完全に『国家解体』の憂き目に遭った。
かつて私を虐げていた見栄っ張りの王族や貴族たちは、すべての財産と身分を剥奪され、今は自分たちの手で荒れ果てた大地を耕し、泥にまみれて井戸を掘る一介の労働者として、ゼロから水のありがたみを学ぶ日々を送っているという。
地下牢に入れられていたザイードとアリスがその後どうなったかは、グレン宰相が「ルリア様の美しい耳に入れる価値もない、実に滑稽な末路です」と冷たく笑って教えてくれなかったけれど、もう私には一切関係のないことだ。
『キュウ! キュキュッ!』
私の腕の中で、いつもの小さな姿に戻ったチクタクが、誇らしげに胸を張って鳴く。
チクタクの背中の棘からこぼれ落ちる清らかな水滴が、バルコニーの欄干に落ちて、陽の光を反射してキラキラと宝石のように輝いている。
「君は世界を救ったが、これからは俺が、君のすべてを永遠に甘やかしてやる。……もう二度と、絶対に俺のそばから離さないからな」
レオン様の猛禽類のような黄金色の瞳が、極上の熱を帯びて私を射抜く。
国境で大軍を前にしても微塵も揺るがなかった私の心臓が、彼の底なしの溺愛の言葉には、あっさりと白旗を上げて早鐘を打ってしまう。私の頬は、またしても林檎のように真っ赤に染まった。
「はい……。私も、ずっとレオン様のそばにいます。あなたが、私の心を満たしてくれる永遠のオアシスですから」
歓声が響き渡る青空の下。
私たちは互いの体温を確かめ合うように、深く、甘い誓いの口づけを交わした。
もう、誰も私を縛ることはできない。過去の亡霊も、不当な搾取も、すべては砂漠の彼方へと消え去った。
真の聖女は今、世界で一番優しくて強い覇王の腕の中で、世界で一番幸せな笑顔を咲かせていた。
(了)
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