第24章 惑星間戦争その2
火星自治政府と日本国政府は協業しながら、少しずつ火星攻撃を実施した実行犯を絞り込んでいった。そのうち、ことの重大さに気が付いてインド政府とEU政府が日本国政府に協議を打診してきた。お互いの諜報機関が収集した情報を統合して、今後の対応を協議することとなった。日本国政府は、インド政府とEU政府に対して、火星自治政府も交えて協議を行うことを提案し了承された。地球と火星間は、かなりの遠距離のため、実際の遠隔会議の開催はかなり不便であった。なんせ、火星から発した音声が地球に届くまでに、平均して12~13分程度かかるのである。こればかりは、光速のしばりがあるため、どうしようもなかった。よって、この時差を解消するような会議システムが開発されている。具体的には、対となった粒子の量子もつれ現象を通信に応用する方法であった。量子もつれの現象については、古くから知られていたが、なぜそのような現象が起きるのかは、この時代になってもまだ解明されていなかった。だが、光速による速度の縛りを受けない技術として、いろいろな応用技術が開発されている。
日本国首相「本日は先日の火星への攻撃をうけて、緊急に会議を開催いたします。火星自治政府からも代表者が遠隔にて参加しております。その前に、われわれ日本国政府に先日送付されてきた、ビデオメッセージを見ていただきます。」
インド政府、EU政府もいきなりのビデオメッセージの視聴ということで、少し面食らったようだった。ビデオメッセージがクリスタル内の会議場の中空モニターに映し出された。そこには、中国の前主席とロシアの前大統領が跪き、そして彼ら二人を取り囲むようにして、武装した男たちが武器を持ってこちらをにらんでいた。その中のリーダーらしい男性がゆっくりと話し始めた。
Huang「私は中華人民共和国改め、中華新国代表主席のHuangだ。そして、ここに跪いているこの男は、最後の中華人民共和国の主席である、Zhao前主席だ。」
Petrov「私はロシア共和国大統領のPetrovだ。そして、ここに跪いているこの男は、最後のロシア連邦共和国の大統領である、Ivanov前大統領だ。」
Huang「まずは、Zhao氏からメッセージがあるようだから、聞いてもらおう。」
Zhao氏は、しっかりとした目線でカメラのほうを見ているようだった。特に暴力を振るわれた様子はなかったが、数日間監禁されていたのは明らかで、顔中の無精ひげが生え、髪の毛もボサボサだった。
Zhao「彼らはテロリストだ。われわれはテロリストとは交渉しない。それは国際社会においても同様だ。彼らの要求は呑んではいけない。国際社会は彼らの打倒に向けて団結して欲しい。」
Zhao氏が全ての言葉を言い終わる前に、横にいた男性が彼の脇腹に蹴りを加えた。たまらず、Zhao氏は倒れこみ、そのまま起き上がれずにいた。
Huang「われわれも誰とも交渉はしない。われらが中華新国とロシア共和国は火星自治政府の存在を認めない。火星の独立を認めない。われわれは、火星自治政府に対して、宣戦布告する。君たちの資産は、われわれ地球人民の血税で築かれたものだ。われわれはその所有権を主張する。」
Petrov「日本、インド、EU、アメリカの4か国は、火星の資産を放棄したと理解している。だが、われわれはその資産の放棄は拒否する。火星はわれわれのもとで繁栄の道を歩めばよい。」
Huang「もし、他国がわれわれの動きに干渉してくるようであれば、われわれへの宣戦布告とみなされ、われわれからの攻撃対象となる。このメッセージは日本国政府にのみ送る。他の関係国には、日本国から適宜通知していただきたい。くれぐれも誤った判断をしないように切に願う。」
ビデオメッセージはそこで終わっていた。会場からは、大きなため息が漏れた。結局、中国もロシアも前政権と今の革命政府は全く同じことを言っているではないか。彼らは、結局のところ、火星資源の独占を目指しているのだ。前の政権では、その野心があからさまに出てくることはなかったが、この革命政府からは中国人とロシア人の本音がもろに語られていた。彼らはレアアースと貴金属資源を独占することにより、世界の資源市場と金融市場を独占しようとしているのである。中国とロシアは、火星で採掘される金・銀・プラチナ・ダイアモンドなどを裏付けとした新貨幣の発行を目論んでいるのだ。そう、数百年ぶりに、金本位制の貨幣体制を確立しようとしているのだ。実際の価値を持つ、これら貴金属の物量に裏付けされた新貨幣が発行されたら、現在の信用という実体のない虚構に裏付けされた各国の貨幣制度は明らかに駆逐されてしまう。そして、その実物に裏付けされた貨幣で、世界の金融市場を独占するつもりなのだ。はるか昔にアメリカが金本位制から離脱して依頼、世界は実体のない信用という幻に支えられて貨幣の供給量を増やしてきたが、ここにきてそのツケが回ってきたというわけだった。そういった意味では、かれらテロリストには先見の明があると言えるかもしれない。
火星自治政府外務大臣「全く持って、受け入れられません。これで、先日の攻撃がどこからかがはっきりしました。われわれも、別世界にミサイル部隊を展開しており、いつでも地球への攻撃をすることができます。」
日本国首相「いや、中国もロシアもわが国の近隣国です。攻撃は最終手段です。まずは、交渉すべきではないでしょうか。」
EU大統領「彼らは新政府の代表とはいえ、所詮はテロリストです。Zhao氏が言うように、テロリストとの交渉はすべきではありません。」
インド首相「かと言って、火星自治政府と彼らが全面戦争に突入したら、われわれも確実に巻き込まれます。テロリストとの交渉は確かにするべきではありませんが、今はあらゆる選択肢を検討すべきです。」
火星自治政府外務大臣「それと、先般よりわれわれの中央銀行のシステムに侵入している勢力があります。われわれの通貨供給量を意図的に増やし、インフレを起こそうとしている勢力が確認されております。地球側のどこかの勢力と思われますが、何か把握されておりますか。」
日本国首相「いや、その件についてはわかりません。わが国では、そのような他国の通貨システムを錯乱させるような活動は行っておりません。」
インド首相「わが国でも、そのような活動は行っておりません。それは国際法で禁じられているではないですか。」
EU大統領「EU側としても、国際法は遵守しております。アメリカに関しても、彼らにはそのような工作をする動機が見当たりません。おそらく、あのどちらかの国の勢力と思われますが、そのうちわかるでしょう。われわれの諜報機関でも調査を実施してみます。」
火星自治政府首相「物理的な全面戦争になれば、物量的にはわれわれは不利です。彼らほどの兵器のストックがありません。われわれとしては、彼ら首謀者の排除を提案したいと考えます。まずは、HuangとPetrovの物理的排除をして、それから交渉でも遅くないと考えます。」
インド首相「何か具体的な案があるのですか。」
日本国首相「火星自治政府より5人ほど人員を預かっております。5人のうち3人は優秀なサイキック能力者です。あとの2人は日本人ですが、しかるべきタイミングで時空を移動できる能力がある者たちです。」
EU外務大臣「時空を移動できるとは、どういうことですか。」
日本国首相「実は、時空を移動できる者は3名おります。2名は火星自治政府から派遣されておりますが、もう1名はわが国の者です。彼らは、実際250年前の日本から来た人物たちです。」
インド外務大臣「でも、なぜ彼らがその首謀者排除に適任だと言うのですか。」
火星自治政府首相「彼らは、その任務のためにこの世界に来ているからです。任務完了と同時に、彼らは元の世界に戻れる。」
EU大統領「ということは、逆に言えば、彼らは彼らの任務を終えないと、元の世界に戻れないということですか。」
日本国首相「そういうことです。彼らは任務完了後にすぐに時空を超えて、元の世界に戻りますので、敵からの追跡の心配もありません。」
インド政府首相「それで、具体的には。」
その後、火星政府関係者と日本国関係者より作戦の詳細が説明された。だが、インド政府関係者とEU政府関係者には、その作戦の中身が信じられないという感じだった。そんなことが、本当に可能なのかということが議論になったが、最終的には4か国共同でその作戦を支援していくこととなった。
インド政府・EU政府代表「内容はわかりました。随時、われわれにも情報の共有をお願いします。」
日本国政府「本作戦の主導権はわが国と火星自治政府にあります。皆様には、軍事的、経済的、技術的な側面支援をお願いしたい。情報はできるだけ速やかに共有をさせていただきます。」
インド政府「4か国共同の情報共有スキーム構築を提案したい。暗号技術も含めてです。これはある意味、情報戦にもなります。」
日本国政府「合同タスクチームを至急作りましょう。また、合同軍事オペレーション・チームも至急作りたいと考えております。本部は、ここ東京のクリスタル内。サブの副本部はブリュッセルでよろしいですか。」
インド政府・EU政府代表「それで構いません。われわれからも、サイキック、軍事、心理戦、暗号技術、その他の専門家を派遣します。」
火星自治政府「皆様のご協力に感謝いたします。この戦争が終わったら、日本、インド、EUとは経済協力協定を結び、レアアースの安定的供給、火星における各種科学実験の支援、各種先端技術の共同研究を実施したいと考えております。」
火星自治政府「それと、もうひとつ皆様に提案があります。」
日本国政府「どのような提案ですか。」
火星自治政府「ご存じのとおり、われわれの食料自給率は極めて低く、ほとんどの食料は地球からの輸入で賄っております。われわれとしては、食料の供給は極めて重大な死活問題となっていると同時に、これはわれわれの安全保障の問題でもあります。そこで提案ですが、われわれは日本、インド、EUからのみ食料を輸入する代わりに、皆様からは食料の安定供給を約束していただきたい。必要があれば、条約を締結しても構いません。」
インド政府代表「もちろん、賛成です。われわれとしても、人口減少による耕作地の放棄が社会問題になっておりまして、安定的に食料を輸出できる見込みがあれば、非常にありがたいかと。」
日本政府代表「火星からは貨幣の裏付けとなる資源の提供を受けるのですから、われわれからは食料の提供をするのは理にかなっております。わが国としても賛成です。」
EU代表「そうですね。わが国も反対する理由はなにもありません。是非協力させていただきたい。」
火星自治政府「これで、食料の安定的な供給が受けられます。食料安全保障の件は、われわれにとって長年の懸念事項でしたので。」
その後、これら4か国にて早くも戦後の貨幣体制の見直しを協議することとした。彼等もまた、もはや信用という虚構に基づく貨幣供給には限界を感じていた。よって、今後は火星資源の共同開発を実施し、各種貴金属に裏付けされた共通基軸通貨の発行を目指すこととした。また、各貴金属と宝石類の交換比率を変動相場で決定することとしたが、共通基軸通貨と金の交換比率のみは、固定比率にすることとした。よって、共通基軸通貨の価値は、金によって裏付けされることとなる。また、この4か国で新しい中央銀行を設立し、その本部をムンバイに置くこととした。初代総裁は、EUから派遣とし、その後5年ごとに、各国持ち回りで総裁を送り込むこととした。金の保管は、火星と地球に分散保管とし、保管庫の場所は各国財務省の管轄下に置かれた。結局、アメリカはすでに200年あまり継続している孤立主義を貫き、この計画には参加をすることはなかった。ただし、彼はこの戦いにおける中立の維持を確約することには同意した。
ということで、結局はこの戦争は基軸通貨の覇権を争う戦争になりつつあった。そして、この戦争はテロリストのクーデターが実施される前から、静かに進行していた戦いだった。会議では、以上のような取り決めが行われ、無事に閉会することとなった。
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Kyno「ここが、250年後の東京か。いや、元の世界でも東京には行ったことがないから比較できないけど、案外人がすくないなぁ。」
Naomi「そうね。思っていたよりも、空気もきれいだし。なんか、元の世界の東京とはかなり印象が違うわ。」
Lun「われわれCheng兄弟は、初めて地球に来ました。いや、少し体が重いですね。やはり火星の居住区内では重力の調整を行ってはいますが、やはり地球の重力は応えますね。」
Ren「全くだ。でも、この空気はものすごく気持ちがいい。これが自然の空気なんだって思います。やはり、たかが200年程度では、人間の遺伝子情報は変わらないってことです。」
Xin「ところで、迎えが来ると聞いていますが。」
彼ら5名は火星自治政府から、日本国政府に今回の件で派遣されてきていた。茨城県内にある、宇宙空港に降り立った5人は、無事に入国審査を終え、日本国政府の担当者の迎えを待っていた。
Calyx「あの、火星自治政府から派遣された皆様ですね。迎えに参りました、Calyxです。」
5人は驚いた。いきなり脳の中に、この女性の声が届いたのだ。彼女は全く声を発していないにもかかわらず、声がはっきりと脳に届いたのだ。その様子を見て、Calyxが続けた。
Calyx「私は生まれつき声が出せないのです。ただ、耳は正常ですから、みなさんはそのままお話しくださって結構です。」
Xin「はい、われわれ5名が火星から派遣されてきました。よろしくお願いします。しかし、脳に直接声が届いている。これは、何かの能力なのですか。」
Calyx「まあ、そうですね。あまり詳しい説明はできませんが、この声は私の能力のひとつです。こちらにリムジンを用意しておりますので、ご乗車ください。東京のクリスタルまでご案内します。どうぞ。」
Lun「ありがとうございます。私は、Lunです。」
Kyno「Kynoです。はじめまして。」
Calyx「あなたがKyno君ね。Jay君からはいろいろ聞いているわよ。」
Naomi「Naomiです。よろしくお願いします。」
Calyx「Naomiちゃんね、いらっしゃい。」
Naomi「ありがとうございます。お世話になります。」
Ren「Renです。よろしくお願いします。」
Xin「Xinです。よろしくお願いします。」
一行は挨拶を終えると、順番にリムジンに乗り込んだ。最後にCalyxが乗り込み、茨城宇宙空港から、一路東京のクリスタルに向かった。周囲にいた他の人たちは、彼らの会話の様子を見て、不思議そうな顔をしていた。5人がCalyxに次々と話しかけているのにも関わらず、Calyxは一切声を発していないのである。不思議な光景だった。
Lun「中国とロシアはわれわれの動きにはすでに気が付いていますかね。」
Calyx「今のところ、彼らの動きは把握できていませんね。何か彼らの動きは感じますか。」
Xin「かなり妨害されており、遠隔透視は上手くいっておりません。ただ、火星からよりも、地球からの透視のほうが上手くいくのではと思っております。」
Calyx「クリスタルで何か食事を用意しておきますが、何がよろしいですか。」
Kyno「この250年後の日本にはどのような食べ物があるのですか。」
Calyx「なんでもあるわよ。Jay君はマクドナルド食べてご満悦だったわよ。」
Naomi「マックがあるのですか。あのハンバーガーのマックですよね。」
Calyx「あるわよ。マック、ミスド、ケンタ、吉牛、なんでもあるわよ。」
Kyno「いや、僕たちの元の世界と変わらないじゃないですか。いや、驚いたなぁ。」
Calyx「で、何をご所望ですか、皆様。」
Lun「Calyxさんにお任せします。われわれは特に好き嫌いはありませんし。それに、日本は食事が美味しいと聞いておりますので。」
Calyx「わかりました。それでは、私のお勧めを用意させますわ。ところで、フライトはいかがでした。」
Xin「いや、退屈でしたよ。地球と火星の最近接時を狙って移動したのですが、1か月以上かかりましたよ。」
Calyx「長旅でしたね。せっかくですから、日本を楽しんでください。」
Lun「先日の会議はどうでした。会議の議事録はすでに公開されていますか。」
Calyx「いえ、まだ一般には公開されていないようですが、少しずつですが、内容が聞こえてきております。結局は、火星自治政府は独立を断念し、日本、インド、EUとの同盟関係になるようです。火星で採掘される各種資源は、これら4勢力にて管理されることとなりました。」
Xin「それでは、なおさら中国とロシアの新政権は黙っていないのではないですか。でも独立を断念ということですが、われわれは日本、インド、EUの植民地になるということですか。」
Calyx「いや、独立を断念というのは、少し言葉の選択を誤りました。独立に関しては、何も言及せず曖昧なままにしておくということです。肯定も否定もしないということらしいです。でも、まだこの決議は一般公開されておりません。これが公開されれば、明らかに中国とロシアに対する宣戦布告に等しいですからね。」
Lun「そうですね。これが中国とロシアに漏れたら、かなりややこしい事態になりますね。もしかしたら、地球上でも戦争が始まる可能性があります。」
火星政府から送り込まれた一行は、クリスタル内の宿泊施設に案内された。それぞれが個室を与えられた。到着後、1時間ばかりたったところで、全員がCalyxからの呼び出しを受けた。全員、個室から出て、アンドロイドに案内された部屋へと移動した。そこには、Calyxがおり、テーブルには料理が並べられていた。
Calyx「食事ができました。せっかくですから、みなさんお揃いでと思いまして。」
Lun「ありがとうございます。いや、すごい料理ですね。」
Xin「やはり地球の食材は、本格的ですね。火星では、ほんと味気ない加工食品ばかりで。まあ、栄養は調整されておりますが、食の楽しみというものが無いですから。」
Kyno「おお、すごいご馳走ですね。ウナギに、イセエビに、ステーキまである。Jayのやつに見つかったら、怒られそうだな。あいつは、マックで満足していたんですよね。」
Jay「ここにいるよ。」
Naomi「ああ、Jay君、やっと会えた。」
3人は、久しぶりの再会に抱き合って喜んだ。なんか、元の世界に戻ったような安らぎを感じることができた。
Kyno「Jay元気だったか。よかったよ、また会えて。まじで心配していた。」
Jay「いや、俺にも何が何だかさっぱりわからねえよ。あれから、250年後のあの神社にひとりで降り立って、小さいおじさんに訳のわからない話を延々と聞かされて。まあ、話したいことはたくさんあるけど、とりあえず食べよう。」
Calyx「よかったわね、Jay君。友達と再会できて、しかもご馳走も食べられるなんてね。」
Jay「全くですよ。しかし、この偽ウナギ、本物みたいに美味いな。すごいですね、この食品加工技術は。」
Kyno「え、偽ウナギってなんだよ。これは、ウナギなのだろ。」
Jay「バカだね、こいつ。何にも知らないんだ。もう、この世界では、肉も魚も食べないんだよ。これ全部、植物性タンパク質で作られた食材なのだぜ。」
Naomi「これは、イセエビだけど、イセエビじゃないってこと。」
Jay「そういうこと。でも、味はそのまんまだから、美味いだろ。」
食事を終えたあとは、各自が部屋で休むことになった。Calyxによると、明日にでも日本国政府関係者との面談があるとのことだった。Kynoは部屋に戻って、今までのことをいろいろと考えてみた。1940年の自分と1984年の自分は、今頃何をしているのだろうか。今頃という考え方が、おかしいのかもしれない。物事は時間軸にそって、進んでいき、ある物事の前には別の物事が起きている。そして、ある物事のあとには、別の物事が起きている。もし、1940年と1984年の自分が歴史を変えるようなことをしていたら、今の2233年の自分は存在していないかもしれない。考えれば、考えるほど、パラドクスのような考えが頭のなかをめぐった。あちらを立てれば、こちらが立たないというような現象である。いろいろ考えてみても、何も変わらない。明日の面談でどのような指示があるかわからないが、果たすべき使命を果たそうと思った。




