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第12章 NaomiとJayとKyno

 Jay「さっき、Naomiを見た。彼女を取り返しに行こう。」

 

 Kyno「お前、Naomiのことを思い出したのか。」

 

 Jay「思い出す?どういうこと?以前から、Naomiは失踪していたじゃないか。俺もずっと彼女がどこにいるか探していたんだ。」

 

 Kyno「いや、この1年くらい、お前はNaomiのことを話しても、彼女のことは知らないような感じだったじゃないか。なんだか、混乱してきたよ。で、なぜこの神社にいるんだ。」

 

 Jay「お前こそ、なぜこの時間にこんな場所にいるんだ。」

 

 Kyno「以前から、Naomiが戻ってこれるように、ここでお祈りをしていた。他にできることなんか、何もないし。」

 

 Jay「詳しい話は、あとでゆっくりしよう。彼女に通じる場所がようやくわかった。」

 

 Kyno「彼女に通じる場所?どこだ、その場所というのは?それに、どうやってそのことを知った。」

 

 Jay「さっき、お前に会った。いや、あれは見た目はおまえだったが、おまえではなかった。なんか、仰々しい着物のようなものを着ていた。彼から、ある場所へ行くように言われた。」

 

 Kyno「さっき、Naomiを見たと言っていたが。どういうことだ。」

 

 Jay「見たというよりも、見せてもらったと言ったほうが正しい。そのおまえにそっくりの男性が見せてくれたあれは間違いなくNaomiだ。」

 

 Kyno「何を見せてくれたんだ。」

 

 Jay「ある駅で、他の20代くらいの女性といるところを映像で見せてもらった。どこの駅かよくわからなかったけど、あればNaomiだ。」

 

 Kyno「駅?あの以前テレビ番組で放送していた、あの駅か。あれはどこの駅なんだ。その駅にNaomiはいるのか。」

 

 Jay「テレビ番組ってなんだ。俺はそんなテレビ番組のことは知らない。そんな番組をやっていたのか。」

 

 Kyno「そうか、お前は見ていなかったのか。まあ、とりあえずその場所につ入れていってくれ。どこなんだ。」

 

 Jay「あの音無谷商店街に電話ボックスがあるらしいが、そこに行けば何かわかるらしい。」

 

 Kyno「あの本屋のとなりにある電話ボックスか。」

 

 Jay「あ、それそれ。あの商店街って、そこしか電話ボックスはないはずだから、そこだと思う。」

 

 JayとKynoは、取り急ぎ、その商店街に行くことにした。神社からは、歩いて最寄りの駅まで行き、そこから2駅先だった。駅前に昔ながらのアーケード商店街があるのである。いわゆる、日本のどこの町でも見られるような、いろいろな小売店、パチンコ屋、定食屋、本屋、クリーニング店などが、軒を連ねている商店街である。そこに、確かに電話ボックスはある。Kynoはその電話ボックスを使ったことがないし、誰かが使っているのを見たこともなかった。ただ、あまり印象に残るようなものではなかった。

 

 電車で2駅移動し、駅の南口改札を出て、大通りを渡ればそこが商店街の入り口である。最近はあまり来なくなったが、以前はよくここのゲームセンターに行ったりしていた。地方の商店街なので、それほど人通りも多くないが、夕方はやはり買い物客が訪れる。

 

 Kyno「あのさ、俺も神社で奇妙な人に会ったよ。」

 

 Jay「小さいおじさんだろ?」

 

 Kyno「えつ?なんで知っているんだ。」

 

 Jay「見てた、お前らのやり取りを。」

 

 Kyno「いや、あの時、お前も周りの世界も止まっていたんだぜ。まあ、信じてもらえないだろうけど。」

 

 Jay「いや、確かにそうだったけど、時間の感覚って個人ごとに違うんだなって思った。俺からは時間が止まっているような感覚はなかった。」

 

 Kyno「なんか、お前が嘘をつくとは思っていなけど、全く理解できないことばかりが起こっている。」

 

 Jay「難しく考えるなよ。そのうち、なにもかもがすっきりとわかる時が来る。」

 

 Kyno「お前が会った俺っていうのは、いったい誰なんだ。」

 

 Jay「詳しいことはわからないが、電話ボックスの先の世界でわかるかもしれない。」

 

 Kyno「電話ボックスが別の世界につながっているってことなのか。」

 

 Jay「俺はそう思っている。」

 

 Kyno「そういえば、その小さいおじさんが、記号がどうとか言っていたけど、なんのことかわかるか?」

 

 Jay「いや、まだわからない。でも、電話ボックスの先の世界でわかるかもしれない。」

 

 そうこうしているうちに、二人は電話ボックスの前までやってきた。電話ボックスのなかには、ど派手な20代前半と思われる女性が受話器に向かって長々と話をしていた。水商売の女性という感じだった。仕方ない、待つしかない。その若い女性は、外の二人のことは全く気にする様子もなく、長々と電話を続けていた。


 しかし、記号というのはいったい何なんだろうか。チャンスは一度切りとも言っていた。記号については、何も思い当たるものがなかった。チャンスが一度切りと言われても、この先どのような出来事が待ち構えているのか、さっぱりわからなかった。一体、なんのチャンスなのだろうか。


 だいたい30分近く待ったところで、ようやくその女性が電話ボックスを出た。その女性は彼ら2人を見て怪訝そうな表情をした。確かに、普通だったら、そこの電話ボックスが使えないなら、駅にも公衆電話があるのでそちらに行けばいいだけである。でも、彼はそこの電話ボックスに入る必要があったのである。Jayは目で合図をしてきたので、早速電話ボックスに入った。そして、そこはもはや電話ボックスの中ではなかった。そこには、Jayの姿さえもなかった。もちろん、すぐそこにNaomiが現れたわけでもなかったのである。


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