試練の街。。エタマラン。。
少しシリアス寄りです。
。。
感謝。その一言に尽きます。
。。
ここへ来るのは、いつ以来やら。。
ため息と共にこみ上げるのは、懐かしさより後悔かもしれない。
すでに、冒険者などは引退していたにもかかわらず、いつの間にやらあちら側へ行くとは。。。
寄りにも寄って。。。このワシが。。
見えて来たのは、ムルクンドの南方に位置する小高い山々。
ここは、ある物の産地として有名だ。
その名は。。。『真実の目』
大層な名前たが、盾の中でもここで取れる鉱石しか、その名の盾は作れない。
大変貴重なそれは、滅多に取れない鉱石として有名だ。だからこそ。。。
見えてきたな。。相変わらずの風景という訳か。。
ムルクンドの南方の街「エタマラン」
この街こそ、『真実の目』を扱う唯一の街。。
街の入り口には、門番はいない。
いや。。。要らないのだ。
「ああ、待ってくれ。貴方の為なら僕は僕はー。」走り出す若者。
「ワッハッハ。これで儂も大金持ちだー。」
笑いの止まらない冒険者風の男。
「これよ。これなのよ。私の美しさを引き立てる物は。手に入れたわー。」
グルグル回る女性。
。。。。
これこそがこの街の風景。
幻影を見続ける人達が彷徨う街。それがエタマランなのだから。
試練を受け、失敗すれば夢の国の住人と言う訳だ。。。。
とにかく、宿屋へ向かう。
おー、ここも変わらない。
試練を受ける前の人間でいつも満載だわい。
「親父。部屋はあるかい?」
「部屋か〜。うーん。
あぁ、今日試練を受けた若者がいたから、空くだろう。」
試練を受けた後に、ここへ戻れる者はほんの僅かだからか、ここの親父の相変わらず淡白な事。。
「おや、アンタは。。。
こりゃ驚いた。ドルタンドじゃないか。
よくこの街に顔を出せたな!
カリアをあちら側へ連れ去って置いて。。。
アンタに貸す部屋などない!出て行け!!!」
あっという間に、追い出される。
ふー。歳を取ったんで分からんと思ったが。。
仕方ない…あそこへ行くか…
街の外れへ向かう。。。
まだ、居るだろうか?それとも。。
緑の屋根に長い煙突が見えた。
トントン。。。不在だろうか?
諦めるか。。。
ガチャ。扉が開いた。
「おやまあ驚いた。ドルタンドじゃないの。
よく来たね。さあ。お入りなさい。」
「ナーラも変わらない美しさだな。
突然すまん。」
「いいのよ。うふふ。さては宿屋の主人に追い出されたね。あの人は、未だにカリアの事が好きだからアンタにヤキモチ焼いてるのよ。」
「実は。。、」
言いかけたところへ、ナーラがお茶を持って来た。
「ドルタンド。さぁ、暖かいお茶飲みなさい。
珍しいお客さんだから、美味しいの入れたわ。」
懐かしいナーラのお茶だ。相変わらず美味い。
「大丈夫よ。貴方の顔を見れば分かるもの。あちら側へ行くのね。だから『真実の目』の盾が欲しいのね。」
「参ったな。しばらく振りにナーラに会ったのに。。、見抜かれたな。」
これだから、ここへ来るのは。。、
「うふふ。萎れないのよ。
貴方が私の娘のカリアをあちら側へ連れて行ってくれたのには、感謝してるんだから。
あの子は、あまりにもエルフ寄りだったから。
あのまま、ここに居たら。。。
命懸けで連れて行ってくれた貴方に感謝したくても、全く近寄らないんだから。
。。。
でも、まぁいいわ。
今日こそは、恩返しが出来そうね。」
感謝など。。。あれは、儂のワガママの様なもの。だが、それもだいぶ昔の話か。
「ドルタンド。『真実の目』をあげるわ。
試練を受ける必要はないのよ。」
「えっ。」
。。。。
あまりの衝撃に固まる。
なぜ?
「私が持っているから。
娘が、あちら側へ行って暫くして、夫が戻ってきたのよ。まさか、私も驚いたわ。
本当にエルフって気まぐれね。
娘にやるつもりだ。なんて言ってね。
ふー。本当に、ごめんなさい。
でも、貴方にこの『真実の目』を渡したら、やっと肩の荷が下りるわ。
ここへ、来てくれて本当にありがとう。」
ナーラに手を握り締められながら、あの試練を受けなくて良いと思うと、心の底から安堵した。
それから、しばらくして街を出た。
もちろん、盾を持って。。。
帰り際に
「もしよ。もし万が一カリアに会う事があれば、こっちは元気だと伝えて。」
ナーラに言われた。
「わかった。約束するよ。」
答えた後に、苦いものと少しばかりの期待が胸をよぎる。。。
さあ、帰るか。。
圭が、ランバラルをさぞや困らせておる事だろう。。。




