ヘルベルトの第一関門!
様々な事を、思い返しながらキーナンへの道を急ぐ。
久しぶりに一人きりだが、これから行く先を思うと少し萎える。
なぜ、俺が。。。
指名した師を少し恨みたくなる。。。
キーナンのカマバランと言う街が今回の目的地だ。
ナナル装備店。。。
大きな店構えは、古くからの歴史を感じさせる。
入り口は小さく、そこには屈強な男達が来る人を拒む。店が、客を選ぶのもこの店ならではだ。
それでも、長い列はいつも変わらずだ。
だが、俺は少々奥の手を使う。
手には、魔術で作った鳥。。
「行け。その羽を持って。我が伝言を伝えよ。」
。。。鳥は、いつものようにあの窓から入る。
な、懐かしい。。くもないか。。。
。。来るか?。。はーー。憂鬱。。
「あーん!ヘルベルト〜。会いに来てくれたのね〜。」
やっぱ、来たかぁ。。
店から物凄い勢いで突進してきた背の高い厳つい男がそう叫びながら、俺に抱きつく。
「離れろ!とにかく抱きつくな!」
暑苦しい。しかも馬鹿力で苦しい。。
「いやーん。やっぱ、かっこいいーわ。」
全く聞いてない。。変わらないのか、やっぱり。
だ、ダメだ。気が。。。
「あらいやだ。また絞め技かけちゃた。
ヘルベルト!ヘルベルト!。。。
ダメね。。。気絶してるわ。運ばなくっちゃ。」
オネエ言葉の厳つい男は、ウキウキした様子でヘルベルトを抱き上げた。
あー、またこの天井かぁ。
絞め技食らったな。。。
はっ!服、。良かった〜ちゃんと着てる。
「あっ、もう気がついたのね。」
「お前なぁ。。」
「お前なんて。。ちゃんとゼラールって呼んで!」
ふー、相変わらずのテンションだな。。
「久しぶりだな。だが絞め技はするな!何度言ったら。。。
まぁ、とにかくお前に頼みが…」
「だ・か・ら・ゼラールよ!」
「ふー。そんなとこまで変わらないなんて。。悪夢だな。。では改めて、ゼラール。
頼みがある。」
「ドワーフの国へ行く装備かしら。。それとも、精霊界へでも行く気かしらね。」
これだ。。オネエ言葉に誤魔化されると大変なことになる。
これで、切れ者だって言ってるんだから本当に油断ならない。。。昔から。
「そこまで知ってるなら話は早い。装備を…」
「はーい。そこまでよ。
ヘルベルト。あんたの頼みでもそれはダメ。
知ってるでしょ。我ら装備屋の掟。。」
「今回は、別だ。なにせザバスの長。
エルダー殿の書き付けだ。ほらっ。」
。。。
ほー、珍しいものを見た。
真顔で驚くゼラールとは。。
「ヘルベルト。お前マジで言ってるんだな。
見せて見ろ。。。マジかよ。
あのトンネル使えねえはずだろ。」
今度は、俺が驚く番だ。
なぜなら、ゼラールの言葉使いが。。
「ヘルベルト。俺の言葉どころじゃねーだろ。
これは、一大事なんだ。
あちら側がどんなところか。。。知らない訳じゃないだろ!!」
ゼラールの真剣さに、少し勇気が湧く。
俺だって、あちら側を知らない訳じゃない。なにせ、長く冒険者してるからな。。。
「それでもだ。ゼラール。
それでも。。だから、お前に頼みにきたんだ。」
。。。
長い沈黙が続く。
ゆっくり顔を上げて真剣なゼラールの目が俺を見た。
「わかった。お前の装備は俺が引き受けた。
だから、必ず戻って来いよ。
その時は、私がお嫁さんになってあ・げ・る!」
ゼラールのいつも通り?のセリフになぜかホッとする。
「今回は、仲間の分も頼む。」
「えー。まぁいいわ。でもこの借りは高くつくから。楽しみ〜。」
。。。
少し。。いや、だいぶ不安があるが。。。
まぁ、腕前は充分信頼しているが。。。
はー。これで第一関門突破かな。
とにかく、ゼラールと圭のところへ戻る。
本人に会わない限り、装備は作れない。
それが、装備屋だからな。。
な、なるべく早く帰ろう!
一週間後、ヘロヘロのヘルベルトとウキウキのゼラールは、ザバスへと到着する。




